田村潔司VS高阪剛■980627リングス
中野&坂井=テーブルトーク
※公開作品 田村潔司VS高阪剛(1998/6/27リングス東京ベイNKホール)
◆坂井 この日の興行は、次の月に横浜アリーナ(7・20前田日明リングスラストマッチ)が控えていたこともあって、空席がめだったね。それに、セミまでの試合も淡々としてて、
このままメインもあっさり終わってしまうかと思ったけど…。
●中野 そうだね、1週間前に後楽園でBattle Genesisもあったし、チケットの「買い控え現象」だったね。メインまでの試合もそこそこ味わい深いカード(例えば成瀬VSヤマケンのタイトルマッチ)があったんだけど意外とあっさり試合は進行していった。それというのも、試合形式の変更の影響が大きかったように思う。(→タイトルマッチは30分1本勝負、5ダウンでTKO。それ以外は20分1本勝負、3ダウンでTKO。ラウンド制は5分3ラウンドで1ラウンド2ダウンでTKO)
…しかしメインは内容が濃くて長い試合だった。しかしいまいち田村の技のキレがないように感じたんだけど…。
◆坂井 田村はヒザの故障でじゅうぶんな走り込みができなかった。スタミナ不足は否めないけれど、田村本来の動きを高阪が封じた向きもある。ここでもう結論を言っちゃうけど、この試合のどこにボクが心を動かされたかと言うと、両者の「負けられない」という気持ちと気持ちのぶつかりあい。
●中野 うん。
◆坂井 田村は大阪でオーフレイムに破れ、その後にタリエルに王座を奪われた。数戦欠場のあと、このNK1週間前の後楽園大会もカードを変更してまで休んだ。リングスマット登場以来ある意味順風満帆だっただけに、連敗のダメージは大きい。だから、欠場明けであろうと、田村には負けられない背景があった。
一方の高阪にしても、前回対戦の1年数か月前の対戦ではいいところなく負けちゃってる。まさかここで、負傷あがりの田村に負けるわけにはいかない。高阪自身、横浜でのタイトルマッチを控えていたし。
●中野 あー。リングスジャパンの頂上決戦にふさわしく技術と技術の攻防もあったけど意地と意地のぶつかり合いのほうがこっち(観客)のほうに響いてきた。
◆坂井 前田なき後の新生リングスを象徴する試合…マスコミではそういう書き方もあったけれど、確かにそう。ただ、それ以上にボクの気持ちを動かしたのは、両者の「負けられない」という気持ちなんだ。そういう気持ちがこの2人の場合、技の切り返しの連続とか、技の応酬というカタチになってくるからタマらない。やっぱボクらもわかるよね、技の組み立てとかたたみかけ方から、その選手が本気で勝ちにいってるかどうかが。
●中野 でも田村のキレのなさは負傷によるものだけではなかったような気がする。いまいち気持ちの充実度が落ちていたような気が僕にはするんだが。田村は十分に練習を積んでから試合に臨むタイプ、練習不足が気持ちに影響しているんだ…というふうに素直に捕らえることがいまいちできない部分が僕にはある。
◆坂井 リングス登場以来、田村が見せつけてきた試合内容・結果は、観客の側からも他選手にとっても、リングスへの意識を変えるに十分な内容だった。試合内容でも結果でも文句を言わせない。その勢いは圧倒的だった。だから、数回の欠場で高阪に追いつかれる現実は見たくなかった。確かに、のぼり調子の高坂と負傷欠場明けの田村がクロスした一戦ではあったと思う。
●中野 リングスで大方の選手に勝って、前田に勝って、トーナメントで優勝してベルトも巻いて…なんていうか、行き詰まりのようなものはなかったのかな。
◆坂井 「頂上をめざす」という目標は達成されたわけだよね。もしかしたら、田村の目標っていうのは、前々から田村自身が言ってる「この競技(リングス)を確立すること」という方に重点がかなり移ったのかもしれない。だって、田村が強くなろうとなるまいと、観客の入りには直接は影響しないからね。
●中野 まあねぇ。リングスって旗揚げした当時は、前田のたった一人の理想団体だった。前田日明というプロレスラーが格闘技の夢を徐々に追求しようとした団体だった。
しかし今は前田引退がきっかけなのか、だんだんとリングスという一つの競技の確立に向けて進んでいる、…それは前田の手によるものでなく田村や高坂などという旗揚げを前田と一緒に経験していない選手によって。さっき言った試合形式の変更、各選手のジム設立(田村に続きヤマケンが先日ジムをオープン)なんかがその顕著な例。あと長井がリングスを辞めてしまったのもまたひとつの象徴的な事件だったような気がする。
◆坂井 今回の田村VS高阪のような試合を観ると、「やっぱNK遠いけど、観に行ってみるもんだなぁ」という気になる。第2次UWF分裂後、U系は顔ぶれとかではけっして満員にできないようになった。刺激的なカードや因縁が格段に減ったわけだから。そういう中で生き延びて行くとしたら、来たお客さんを1回1回満足させていくことは最低条件でしょ。
田村や高阪、そして山本宜久らがやろうとしてるのは、単なる前田以後の主導権争いじゃない。ジャンルの確立に燃えているわけだし、その意志を見せつけてくれる試合はこれからも大歓迎だよ。■□
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