前田リングスラストマッチ■980720前田VS山本
▼未公開作品「前田リングスラストマッチ(中野&坂井)」1998/7/20
前田日明VS山本宜久(1998/7/20リングス横浜アリーナ)
◆坂井 いゃあ、文句なしの超満員だったね。リングスでは、ホントひさしぶりの横浜アリーナ。前田VSコピィロフ、ハンVSフライとかを岡山から観に来たときから、ホント長い時間がたってるよね。別にそれから横アリを使ってないわけじゃないんだけど、ボクにとってのリングスの横アリは2回目。
●中野 うーん、すごかった。僕は試合開始1時間前に会場に着いたんだけどすごい入り。ほしかったTシャツも売りきれ。
◆坂井 金原弘光あたりの入場で感じたのは、「こんな大会場で試合できるなんて、金原選手、移籍してきてよかったね」っていうのと、「この先、前田日明なしでこの横アリを満員にするくらいの夢を持ってやってほしいな」ってこと。もちろん、本人、そして他の選手もそのつもりだろうけど、あのフライ相手に、フライの長所を引き出しながら最後は圧倒して勝った金原には未来を感じた。
●中野 金原はヤマケンに比べてもうひとつチャンスを与えられていなかったような気がする。やっと回ってきた大物との試合。金原は確かに強い…けどなんていうか花がないんだよ。だからもう一つインパクトがなくてチャンスをもらえなかった。それがまだいまいちリングスが前田が言ういわゆる挌闘の場としてシステムができあがってない部分なんだけど…。ここまでこつこつと積み重ねてきたものを崩さずに勝ち残ったね。
それと対象に高坂はいいところなくタリエルに敗れた。それはそれで新しい選手の勢いやいわゆる新しい総合格闘技の流れ(=アルティメット,バーリツゥード)だけでは勝ち残ることができないというリングスのリアリティを僕は感じたよ。
◆坂井 それにしても、山本宜久にあれだけの絵心があるとは思わなかった。はっきり言って、ボクはもう前田にこれで引退してもらってもいいね。いや、引退してほしいとさえ思う。そんな試合だった。山本が主導権を途中から握ったこの試合、前田の体力のなさ、現実というものが世間にあからさまになったんじゃないだろうか。
●中野 そうなんだよ。相手が山本宜久で本当によかった。山本宜久の素晴らしさを僕は存分に見せてもらった気がする。正直言ってこの試合に対しての会場の雰囲気、インターネットなどによる試合の感想はあまりよいものではなかった。
ファンはこの試合に「完成品」を求めていたんじゃないだろうか。なんていうかよくできた名勝負、物語になるような試合を。でもさっき坂井君が言ったとおり現実はそうはいかない。
そんな中で山本の真向勝負の試合を観つづけている僕にとっては非常に納得のいく、それでいて正面からのぶつかり合いの試合を堪能できて本当によかった。
◆坂井 山本は、あの試合に求められるものをホントよくわかっていたんだと思う。ハンでもなく田村でもなく山本な理由。以前からシバき合いがしたいことを公言し、それをついに実行に移すべきときが来たわけだよね。グラウンドを切り上げるためにどんどんロープブレイクする。前田に向かって来い来いと打撃を誘い、自らは絶対にダウンしない。それどころか、前田に怒涛の打撃ラッシュでダウンを奪う。それで、自らのロストポイントをイッキに帳消しにしてしまう。特に、あの山本の打撃の受けっぷりはスゴかった。
●中野 前田と正面から殴り合えるのは山本だけ…そう言いきることはできないのかもしれないけど、正面からの殴り合いをしても冷たい試合にならないのは山本の素晴らしいところだと思う。
前田を思い切り殴り蹴飛ばし、前田の掌打、パンチを思い切りもらう。ボディブローやミドルキックを食らってぐらついても歯をぐっと食いしばって耐える。シバキあいを宣言したこの試合でダウンするわけにはいかないという伝わりやすい心構え。
しかし引退セレモニーがなんともじみにみえたのは、やっぱり新日の興行と比較する気持ちがどっかにあったからだろうか。
◆坂井 長州・猪木と引退興行を近い時期に観てきたからねぇ。…前田とってイチバン世話になった人、理想を共有した人は、リングスの選手たち。猪木や山本小鉄ってわけじゃない。リングス選手たちによる胴上げが最終シーンっていうのが、また前田らしい。前田ってさ、4・16前田日明大阪ラストマッチでも別に客寄せカードを組むわけじゃなくて、リングスの未来を託せるような人に地道にスポットライトを当てる。田村に勝ったオーフレイムとかね。
●中野 あれが前田の世界なんだなぁと思ったし、なんともここ地いい世界だったよ。試合以外の刺激的な場面、例えばどっきりするようなマイクアピールや発表もなかった。僕は9・21横浜での田村vs山本宜にドッキリしたけどね。
◆坂井 前田引退のボルテージを落とさず、そういった注目カードに確実に重厚な内容を付け加えていくこと。それが、残されたリングスの選手たちにホント求められている。全日本の四天王ばりに「この選手たちが絡めばゼッタイ面白い試合になる」そんな世界をつくるのも、ボクは夢じゃないと期待している。リングスのこれからの反映を予想する人は圧倒的に少ないだろうけど、ボクは1回1回の興行の満足度からは好感触を得てるんだ。
●中野 最後にひとつ。いい興行はいい席で観るべき。この興行はたくさんのファンがきていて心無い野次も多かったと聞くけど、僕たちの座っていたアリーナリングサイド(15,000円)の席ではまったくそんな声は聞こえてこなかった。リングに集中することができたのもこの興行を堪能できた理由の一つなのだ。■□















































