前田の怒り爆発! 新日本対Uインター全面戦争 プレイバック■951009東京ドーム
1995年10・9東京ドーム、新日本プロレス対UWFインターナショナル(メインは武藤敬司VS高田延彦)のテレビ放送、そして武藤発言「1・4ドームで前田とやりたい」等に対して、
前田日明の怒り爆発!「高田の蹴りはハーフキック(半分の力の蹴り)。あの試合を見て、高田が弱い、武藤が強いと・・・
・・・本当に思っているなら、ファンとマスコミにも失望するよ。あれが“真剣”と言うなら、見る目がない。なぜ、ファンは怒らない? ブーイングしないんだ? どうしても(武藤が)やりたいと言うなら、本当の“潰し合い”が条件だ!」(週刊ファイトより)。一方の武藤は、「あの人(前田)は誌面で成り上がった人!」と反発した。
今日は、そんなアキラ兄さん激怒の興行を伝えよう。
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新日本プロレスの禊ぎ T.SAKAi
※週刊プロレス実施の1995年「10・9ドーム観戦記」選外佳作受賞
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最近の新日本プロレスのレスラーあるいはマスコミによる言葉の中に、「新日本を出て行った人たち」なる表現がある。「出て行った人たち」が指すのはUWF。今回の10・9ドーム決戦を新しいファンの視点で見れば、「新日本を裏切った者と新日本との対決」という単純な図式になる。だが、新日本をずっと見続けてきたファンから考えれば、その図式はちょっと違っていた。
たとえば前田日明は、タッグマッチでのカットプレーで放った顔面キック一発によって新日本から追放された過去を持つ(1988年3月)。この事件に象徴されるように、新日本には「UWFを取り込む器がなくなってしまった」という転換期があるのだ。ポリシーの違いといえばそれまでだが、新日本ファンにとって、あれほど裏切りを新日本に感じた事件はなかった。格闘技プロレスを標榜するレスラーの居場所は新日本にはなくなっていく。裏切ったのは「新日本を出て行った」レスラーではなく、新日本プロレスのほうだったのである。
その証拠に、かつて新日本プロレスの代名詞だった「過激なプロレス」「ストロングスタイル」という言葉は、すっかり聞かれなくなった。逆に「プロレスは芸術だ」「お客さんに見せる試合を考えなきゃいけない」など、勝負論からかけ離れた言葉さえ出てくる。命懸けの異種格闘技戦や気迫あふれる軍団抗争を敢行し、新日本イズムを築いてきたA・猪木の功績は、近年まったく生かされていないのだ。
こうした歴史を乗り越えて10・9ドーム決戦が実現に至ったのは、「失った新日本イズムを取り戻し、UWFと対峙する」力量を新日本が再び身につけたという背景だった。「選手は立派に成長した。GIで見せつけられたよ」とは長州力の言葉だが、“冬の時代”に歯を食いしばってきた若い選手たちは切磋琢磨を重ねてきた。他団体の追随を許さない選手層の充実が、新日本に生まれている。UWFインターとの遺恨云々というよりも、選手の成長ぶりを見て対抗戦のGOサインを長州が出した・・・そんな気さえするのである。
そして出陣した新日本の選手たちの闘いぶりは、想像を超えるスケールのものだった。特に、腕ひしぎ逆十字やひざ十字固めなどの決め技に目を奪われがちだったグラウンドでの攻防。ここで新日本の選手は、押さえ込みやタックルといった“決め技へのプロセス”の技術こそ勝敗を左右することをまざまざと見せつけた。顕著だったのが、佐々木健介がマットに仰向けに寝そべって垣原賢人にかぶらせたシーン。しばらく好きにさせておいた次の瞬間、いとも簡単にひっくり返して、逆にけさ固めで押さえ込んだのだ。
いわゆるプロレス技も、相手にダメージを与えておけば“かけられる”技であることが証明されていく。長州のラリアットや橋本真也の垂直落下式DDTは、勝負の決め手となる衝撃度だった。そして、武藤敬司。必要のないエルボードロップやムーンサルトプレスをあえて出していった姿には、かわされたとはいえ自信と余裕を感じさせた。そして、足4の字固めでの勝利。勝負には有効なはずのUWF流の技のほうが、実は見せ技や小手先のテクニックに過ぎない・・・そんなパラドックスさえ感じた一連の試合だった。
プロレスには聖域がある。ルールにのっとった競い合いでは言い尽くせないこと。団体の枠を超越した技術的・専門的な解説がなされないこと。決して明かされない領域が、プロレスにはあるのだ。だからこそ、最強の標榜=格闘技スタイル(UWF)という思想が生まれていく。だが、それは幻想の域を脱し得ない。幻想を振り払うものがあるとすれば、それはリング上の真っ向勝負だ。真っ向勝負をしてくれなかった新日本に対しては、マスコミ・ファンは幻想でUWFを感じるしかなかった。それに対して、10・9で新日本が一つの答えを出した。本当の強さというのは、スタイルの違いでは決してない。長州が「マスコミに問いたい」のは、このことだったのだ。こんな問いかけなら大歓迎である。
願わくば新日本には、「過激なプロレス」「ストロングスタイル」という代名詞が戻るまで、積極的な問いかけを続けてほしい。Uインターを破ったことで、新日本が背負うべき課題はおのずと広がっていく。UWFから進化を遂げたパンクラスには、いかに対処するのか。世間を騒がせているグレイシー柔術をどう退治するのか・・・。
新日本に見たいのは、平成維新軍によるインディー巻き込みといった企業戦略じゃなく、実力行使での怖い姿なのだ。「新日本じゃなければプロレスじゃない」くらいのダイナミズムがほしいのだ。新日本の禊ぎ(みそぎ)は始まったばかり。その手ごたえと次への期待感を得たからこそ、前代未聞の「シンニッポン」コールが起こったのだと私は思っている。■□
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高田延彦~これは交流戦じゃない。団体の潰し合いだ!
・・・
はどっちだ?
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» 新日本vsUWFインターの複数問題交渉(1) [プロレスで学ぶMBA]
以前に書いた複数の問題を話し合う場合(必勝交渉術(6)を参照)の具体的な事例。これは、新日本対UWFインターナショナルの抗争がすぐに思いついた。もっと具体的に言うと1995年10月9日の武藤対高田が決定する過程でいろいろと話し合われたということだ。ちなみにこの時...... [続きを読む]
» 新日本vsUWFインターの複数問題交渉(2) [プロレスで学ぶMBA]
まずは、10・9東京ドーム大会を軸に考えてみよう。メインは武藤対高田となった。これは当時の頂上対決である。これを含めて全9試合が組まれた(実際には蝶野対宮戸が中止になって全8試合)。結局メインの武藤対高田は足四の字というプロレス古典的な技で武藤の勝利。団...... [続きを読む]
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