ローブローの真相 魔裟斗と山本“KID”徳郁が明かす
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ふだん「K-1 MAX」に興味がなかった人にも十分すぎるほどのインパクトを放った一戦。2004年大晦日のベストマッチは、魔裟斗vs山本“KID”徳郁であった。この試合にあったのは、スピーディな攻防だけではなく、「ローブローから帰還したKID」というドラマ。
▼K-1ルール 3分3R(延長1R)
○魔裟斗(3R判定 2-0)山本“KID”徳郁×
※28-26.5,28-27.5,28-27 ※0.5P差はドロー
都合3発にも渡って魔裟斗の蹴りがKIDの急所に入った。特に3発目は、試合続行不可能と思えるほどの大ダメージ。相手の魔裟斗までが気づかうそぶりを見せる。そこから続行した瞬間、この試合で魔裟斗がヒールと化した。
いや、それだけではなく、格闘技界での“格”をKIDは大きく上げたと言っていい。出世試合である。あのようなシチュエーションを招いたことが“神がかり”とも思わせた。
この一戦について主に語った両者のインタビュー記事が、『格闘伝説』Vol.5(ナイタイ出版/月刊)に巻頭で取り上げられていた。魔裟斗10ページ、KID6ページとたっぷり。
読んでいくと、両者とも相手を認めているところがありながら、魔裟斗には王者としての格を崩さないスタンス、KIDには「経験を積まないと・・・」という謙虚なスタンスが見て取れた。ローブローに関する見解も両者たっぷりと語っているので、興味のある方はぜひ読んでもらいたい。その価値ありだ。
一節だけ紹介しておく。
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(インタビューアー)KID選手、あのまま試合を中断することは考えなかったんですか。あの状態で闘うことは明らかに不利だったと観ていて思っていたんですが。
KID それはないですよ。そんなの絶対ありえない。あれがもしスポーツじゃなくて喧嘩だったとしたら、確実にオレがやられていたと思うんだよね。そりゃそうでしょ、手段なんて選ばないんだから。それを考えたら、あんなところで甘えてられないと思うよ。(中略)ああいうのを食らってもすぐに立ち上がれるようにしなきゃいけないというのはあるよね。まあ、鍛えることはできないかもしれないけど、同じようなことをやられないような練習はしなきゃいけないと思っている。
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すさまじいほどに「闘い」を意識したコメントに、はっきり言って震えた。
ボクらは最近もううんざりするほどに、ルールがどうとか、判定がどうとか、そんなコメントや見解を目にしてきた。「あの判定はおかしい」「オレの勝ちだ」・・・不平を言ったファイターたちの存在がKIDの言葉の前で一気に霞んでいく。
ルールや判定は闘いを競技化させるためのものであり、闘い本来の姿からはかけ離れさせる側面もあるものだ。だけれども、いつしかファイターたちは、ルールに頼った闘いや思考をするようになっていた。だが、KIDは違う。
もちろん、大晦日の大観衆を裏切れないということもあったとのこと。だけれども、それ以上に格闘家KIDに貫かれた強い意思が大晦日の感動を呼んだのである。「競技者」とは異なる「格闘家」としての思考が試合にあらわれた結果だったのだ。
ルールがファジーな世界で闘うプロレスラーの発言を凌駕する勢いが確かにそこにはあり、『週刊ゴング』プロデューサーのGK金沢克彦氏が「(プロレスの試合もすべて含めた上での)2004年ベストバウト」に選んだことにも合点がいく。
また、このコメントや様々な見解に対応するインタビューアーの問いかけの一つ一つが長い。魔裟斗やKIDの見解を突っ込んで引き出したことが感じられたことも付記しておきたい。これは以前の『格闘伝説』もそうであったから、この雑誌特有のスタイルかもしれない。
■□T.SAKAi
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┏以前にも格闘伝説記事を取り上げました
□ カクトウログ:ジョシュ最長証言 ミルコ戦後はここに!
┏スポーツナビ
□ KID、魔裟斗戦を超える! 武田戦にKO宣言
□ K-1 PREMIUM 2004 Dynamite!! 魔裟斗vsKID試合経過
┗今回のインタビューほどハッキリ言ってませんが、同様なことを試合直後にもKIDはすでに言ってます・・・恐るべし。
=追加 カクトウログ記事=
□ 魔裟斗はなぜローブローを放ったか(vs山本“KID”徳郁)
┗超不定期カクトウログ寄稿者の僕ですが 管理人のSAKAiさんと話しているうちに 大晦日の魔裟斗ローブローにひとこと言いたくなりまして・・・
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