春のGI総括・・・新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」
毎週火曜日は「前週発売分」から独断と偏見で最も印象に残った記事を選ぶ「プロレス週刊誌MIP」の日です。第28回で選んだのは・・・
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「春のGI」こと「NEW JAPAN CUP」(新日本プロレス、トーナメント戦)は4・24大阪府立体育会館でフィナーレ。準決勝、決勝戦が行われ、第1回を制したのは棚橋弘至だった。
昨年の夏の「GIクライマックス」では第三世代の天山広吉が、棚橋ら新世代の台頭を阻止。「ならば“春の本場所”から世代交代する」という意地を、棚橋が見せた格好となる。“昨年夏”を制した天山が両国国技館前でそうしたように、棚橋は大阪府立体育館前でオープンカーによるパレードを行った。
苦しいシリーズだった。本来の闘いよりも、4冠王・小島聡と新日の舌戦、アマレス最強四銃士結成などに話題が奪われていく。このシリーズの結果に関係なく、シリーズ後の5・14東京ドーム大会でのメイン・イベントが「小島聡(王者)vs天山広吉(挑戦者)」のIWGP選手権と決まっていたことも、トーナメントのトーンダウンを招いたと言えよう。
ところが、最終日4・24大阪大会の準決勝2試合は、なかなかの面白さだった。4・30土曜深夜に『ワールド・プロレスリング』では、この2試合のみ放映(決勝は翌週放送へ)。顔合わせは、ケンドー・カシンvs中西学、天山広吉vs棚橋弘至。
余談だが、5・14東京ドームに向けての記者会見も放送されて、藤波辰爾がいきなり「三沢光晴選手をタッグパートナーとする」ことを蝶野正洋に抜き打ちで告げていた。アタフタ気味に答える蝶野の映像はめずらしい。また、大阪試合後に“極秘特訓”するアマレス最強四銃士の様子もカメラが追っていた。闘いへの意欲がわいてきたのか、4人がとてもうれしそうにトレーニングしていたのが印象的。
さて、話を戻して・・・ハイライトは、天山vs棚橋だ。新日本そしてGIらしい“勝ちに行く”プロレス、耐えて耐えて最後に返しに行く棚橋のプロレスがそこにはあった。ボクが今年の新日本でいちばん画面釘付けで観てしまった試合だ。
▼「NEW JAPAN CUP」無差別級トーナメント準決勝
30分1本勝負
○棚橋弘至(19分45秒、首固め)天山広吉×
※アナコンダバイスをかけられたまま切り返す
まわりの“雑音”に負けることなく、試合の質にこだわり続けた棚橋の姿勢がにじみ出ていた。雑誌を読んでいると、棚橋は開幕戦(トーナメント1回戦)からこの日まで、シリーズ全日程のメイン・イベントをまかされたとのこと。これもまた、新日本のGIらしい。かつて、試合内容が抜群だった年の越中詩郎が連日メインに据えられたこともある。GIでは前日までの試合内容により、メインをまかせられる選手が当日になって変わる場合があるのだから。
さて、カクトウログの毎週火曜日は、「前週発売分」から独断と偏見で最も印象に残った記事を選ぶ「プロレス週刊誌MIP」の日。したがって、『週刊プロレス』1258号(5/11号)と『週刊ゴング』1071号(5/11号)が本日の対決。「春のGI」レポートについて、対決させてみる。
週プロは、営業関係者のコメントをていねいに拾いつつ、「最終戦は夏は両国、春は大阪で定着させたい」などといった意欲を記していた。なかなかよかったけれども、さらに目をひいたのは、ゴングの金沢克彦氏(当日のTV解説もつとめる)によるレポート。
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・ すでに5・14ドームでのIWGP挑戦が決まっていたとしても、途中敗退すれば天山の挑戦資格が問われる。だからこそ、そこが問題となった。天山が敗退すれば、5・14ドームの営業妨害ともなりかねない。大会前の『ワールド・プロレスリング』チームのミーティングでも、この1戦に関しては喧喧囂囂となった。
・ 最終的には松本仁司統括の「そのためのトーナメントですから、結果は結果で受け止めるしかないでしょう。天山にとってそれは避けては通れないテーマなんですから」の一言で全員が納得した。
・ 天山-棚橋戦は素晴らしい内容だった。放送席も熱かった。中丸アナの期待感と非情さが背中合わせの実況(「我々に優勝を約束してくれた天山!」など)には鬼気迫るものがあった。
山崎一夫さんも「まだまだ猛牛・天山じゃないです」。
私の方は「10年前、23歳で凱旋帰国した時の天山の勢いは、今の棚橋、中邑の比ではなかったはずだ」。
どれもこれも天山の勝利を前提としていたからこそ言えるセリフ。
・ 棚マジックともいうべき返し技に天山が勝利目前で3カウントを聞いてしまった。府立体育館が爆発。休憩前だが、私の感覚で言えばもうお腹いっぱい。非情なる結末を含めて100点満点の試合。
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ボクがテレビでついつい熱心に目をやってしまった試合は、「休憩前なのにお腹いっぱい」になる試合だったのか、なるほどと納得。ファンやスタッフにとって「ロード・トゥ・東京ドーム」としてはハッピーエンドではなかった試合。だけれども、舞台裏でのTVスタッフの葛藤と努力、試合で起きた事実を金沢氏の見解たっぷりで伝えた記事が、そこにはあった。
プロレスに関わる者が「そんなもんだろう」と諦めてしまったら、プロレスはダメになる。だけれども、複雑な“事情”の中で行われた「NEW JAPAN CUP」でスタッフは踏ん張ったし、選手も頑張った。これを積み重ねていけば少しずつ花開くんじゃなかろうか。そう思わせてくれた金沢氏の記事に、今週は星をつけたいと思う。
週刊ゴング「巻頭激場!スペシャル 4・23大阪府立体育会館大会総括レポート」
おめでとうございます!
=通算MIP獲得数 ゴングが星16個目の受賞です!=
週刊プロレス ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
週刊ゴング ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
■□T.SAKAi
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