栗原あゆみ
この4月、GAEA JAPAN、全日本女子と相次いで団体が解散。業界の危機が叫ばれている女子プロレスではあるが、突如として“救世主”と呼ばれる選手がデビュー。その選手は・・・
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名前をいくつかの記事で見るようになった女子プロレスラーを取り上げたい。振り返ったとき「あのとき取り上げた選手がこんなに成長して・・・」と思える日が来ることを期待しながら・・・。
その選手のデビュー戦、結果。
▼M’s Style 1周年記念トーナメント(4・24ディファ有明)
・ 1回戦 時間無制限1本勝負
○栗原あゆみ(9分8秒、エビ固め)GAMI×
※フェースロックを切り返して押さえ込む
・ 2回戦 時間無制限1本勝負
○植松寿絵(6分54秒、体固め)栗原あゆみ×
※顔面ドロップキックからのダイビングボディープレス
デビューした選手は栗原あゆみ。デビュー戦勝利は、あの神取忍(女子柔道日本一、23歳で女子プロレス入り)でも果たせなかったという。彼女のプロフィールをつくってみよう。
▼栗原あゆみ(20歳)
本名・栗原亜弓
1984年7年13日生まれ、東京都三鷹市出身
164センチ、55キロ
得意技 ドロップキック
・ 多くの格闘家が訪れる東京・神楽坂の焼肉店を経営する父親。 幼少時からプロレスが“身近”な環境で育つ。
・ 小2のとき、北斗晶の試合を観て熱狂的ファンに。
・ 区立文京五中でバスケットボール部。都で準優勝。
・ 滝野川女子学園高でもバスケ部に入るが、指導法に疑問を感じて高2の夏に退部。
・ バスケをやめてから、実家にたまっていた女子プロレスのビデオを観て、「これだ!」とプロレスラーになることを決意。進路を決定付けたのは、北斗晶vs神取忍(1993年4月、横浜)。
・ 2004年1月から女子プロレス全団体の試合を観て回り、若い選手が一番多かったAtoZを選ぶ。
・ 2004年11月、AtoZを退団。慕っていたAKINO、GAMIらが旗揚げしたM’s Styleに合流。
・ 基礎練習の反復に明け暮れて、15か月間の苦闘の末にデビュー。プロテスト合格後は技の練習が解禁され、ドロップキックを1日に200本は反復した。
・ 2005年4・24デビュー戦。
格闘技経験はない。栗原が注目されるのは、そのルックスとハートだとされる。
「ハンパに見栄えのいい技を使いたがる新人が多いが、彼女がこの日(デビュー戦)に使ったのは、ドロップキック、ボディースラム、何種類かの丸め込みといった、ごくごく基本的な技のみ。しかし判官贔屓を差し引いても、彼女の試合は非常に面白かった。2回戦の植松戦は今大会でも一、二を争う盛り上がりを見せた(引き出した植松も見事だった)」
(週刊プロレスモバイル、火曜女子プロレス)
「ミラクルやサプライズを起こせる子。ビジュアル的要素はもちろん、最も必要な『魂』を持っている選手です」
(大向美智子)
「団体化を目指すM’s Styleには栗原を成長させる環境づくりが急務。栗原をどう伸ばしていくか。M’s Styleに明確なテーマが見つかった」
(週刊プロレスNo.1071=5/11号)
GAEA JAPANと全日本女子プロレスの解散が大きく影響し、団体としての運営費をかけない選手主催興行、イベント興行が女子プロレス界で増える傾向にある。観客に認められる選手でなければ認められないというサバイバルにはなる反面、下手をすると業界の卵が育たない局面にも突入してしまう。
業界として“育てたい”選手が現れたことはとても嬉しいこと。M’s Styleの“団体化をめざす”という宣言も頼もしく感じる。まだまだ、業界として成長していこうという姿勢が随所にあるからこそ、女子プロレスという灯はまだまだ消えない。
その灯を大きくするために大きく貢献する可能性を秘めた栗原選手は、北斗に憧れるだけではなく、北斗と同じ誕生日だという。男子プロレス界のカリスマ「前田日明」ファンが興じてプロレスラーになった北斗晶。北斗と同じ誕生日で、北斗に憧れてプロレスラーに鳴った栗原あゆみ。
栗原のドロップキックは、胸をヒザに付けて蹴り出すのだという。つまり、跳躍力を使ってジャンプした後に、空中で両足が折りたたまれる。そこから勢いよく伸びていくことで“館内が沸く”ドロップキックができあがる。このプロレスの原始的な技の復活に、女子プロレス界の復活をかぶらせて見てしまうのは早すぎるか。いや、そうあってほしい。
今までの女子プロレス界のスターは、どこかしら“宝塚”の乗りがあったようにも思う。それを否定はしないが、もし栗原がスターになったとしたら、“闘い”の色合いが強い選手になれる可能性は大きい。GAEA JAPANが目指したであろう「しっかりトレーニングした選手をマットに上げていくことでのマット界づくり」が、小規模ながら始まったのか。GAEA解散後の今では厳しさは拭えないけれども、M’s Styleと業界ぐるみで知恵を絞るしかない。だって、ボクらはプロレスが大好きなんだから。
「女子プロレスの人気が落ちているのは、私もわかってます。自分たち若い人間は、頑張っていれば必ず報われると信じてやっていくしかない。どうやってお客さんを沸かせられるか? それを一生懸命考え、練習し、リング上で表現していきたい」
(栗原あゆみ)
=参考記事=
東京スポーツ5/10発売分、週刊プロレスNo.1259(5/18号)、週刊ゴングNo.1071(5/11号)、同No.1072(5/18号)
■□T.SAKAi
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