橋本真也の想い出「肝心なところで負ける。しかし・・・」
O.FUJIi=文 橋本真也の魅力はどこにあったんだろう。カクトウログ連載「真理の疑問」回答役のO.FUJIiさんが橋本真也についてつづった・・・
* * *
「どう考えても絶対勝つと思って観てんのに、
いつも負けちゃうんだよな」。
橋本真也は、肝心なところで負ける。
それがボクの彼に対する印象だった。
ヤングライオン杯決勝で蝶野正洋に負ける。
トニー・ホームにボコボコにされて負ける。
記念すべき第1回G1も準決勝で武藤敬司に負ける。
そして、小川直也のデビュー戦でも負ける。
引退をかけて、また負ける....。
彼の歴史は、ライバルに対する「負け」の歴史
だったのかもしれない。
しかし、ストーリーの中心にいるのは橋本。
ボクらは何度、橋本真也に感情移入して、
彼の試合に没頭したことか。
蝶野のようなクレバーさはカケラもない。
武藤のナチュラルなポテンシャルにも及ばない。
小川のような知名度もない。
あるのは、カッコよくないアンコ体型と、
ケサ斬りチョップと
一撃必殺の垂直落下式ブレーンバスター。
でもそれで十分だった。
外敵に対してはめっぽう強く、「星」を譲らなかった。
Uインターとの対抗戦では、
武藤に勝った高田延彦を破ってIWGP奪還。
ZERO-ONEで武藤・川田利明の最強タッグを
迎え撃ったときも、大方の予想を裏切って川田を粉砕。
東京ドームで、もがく高田を垂直に担ぎ上げたときの、
新日ファンの歓声とUインターファンの悲鳴。
川田の延髄斬りを、ケサ斬りチョップで叩き落したときの、
両国国技館のどよめき。
橋本真也を応援することは、
「新日本プロレス」を、
「ZERO-ONE」を
応援することだった。
だから橋本が勝った試合は、
「新日本コール」「ゼロワン・コール」が起こる。
ありがとう、破壊王。
(敬称略とさせていただきました)
■□O.FUJIi
[ひとこと]
FUJIiさんと1995年10月「新日本プロレスvsUWFインターナショナル」全面戦争(東京ドーム大会、メインは武藤敬司vs高田延彦、セミは橋本真也vs中野龍雄)を観戦。そのときボクは、新日とUが交わる非日常に思わず「高田は本当にきょう来るんですかね?」なんて電車の中でFUJIiさんに声をかけたことを思い出す。
1996年4月には新日本ドームで橋本真也vs高田延彦。高田にIWGPベルトが流出していたが、垂直落下式DDTで高田を仕留めた橋本が奪回してくれた。あのときはプロレスも盛り上がっていて、ボクは10人くらいと一緒に観戦。東京ドームの2階で観戦仲間を2列に分けて観戦していた。勝った後にボクが「やりましたね」と後ろを向くと、FUJIiさんが右手を差し出してきた。プロレス会場で観戦仲間と握手したのは、あれが最初で最後じゃないだろうか。
橋本の思い出は、プロレスの思い出か。橋本の死という現実による脱力感・・・思わず弱い気持ちになってしまう。だからこそ、プロレス界。がんばってほしい、手を結んでほしいよ。
(T.SAKAi)
★1965年7月3日 岐阜県土岐市に生まれる
★84年4月 新日本プロレスに入門
★同9月 後藤達俊戦でデビュー
★87年3月 ヤングライオン杯決勝で蝶野正洋に敗れ準優勝
★同10月 海外遠征(カナダ・カルガリーなど)に出発
★89年7月 凱旋帰国
★同9月 マサ斎藤と組み、長州力、飯塚孝之組を破り、IWGPタッグ王座獲得
★90年4月 武藤敬司、蝶野正洋組に敗れ同王座陥落
★93年9月 グレート・ムタを破りIWGPヘビー級王座獲得
★94年5月 藤波辰爾を破り同王座を獲得し、以後9度防衛
★95年5月 武藤敬司に敗れ、同王座陥落
★同7月 平田淳嗣と組み、IWGPタッグ王座獲得
★96年4月 高田延彦を破り、IWGPヘビー級王座獲得
★97年4月 プロレスデビュー戦となる小川直也と初対戦し敗北
★同5月 IWGPヘビー級選手権で小川に勝利し防衛
★同8月 佐々木健介に敗れ、同王座陥落
★98年8月 決勝戦で山崎一夫を破りG1クライマックス優勝
★00年4月 小川直也との引退をかけた一戦に敗れ、引退を表明
★同10月 新日本マット復帰
★同11月 新日本プロレスを解雇。ZERO-ONE創設
★同12月 ノア初参戦。大森隆男と対戦し勝利
★01年3月 ZERO-ONE旗揚げ戦で永田裕志と組み、ノアの三沢光晴、秋山準組と対戦
★同12月 小川と初タッグ結成。ハワード、ケア組に勝利
★同12月 NWA世界ヘビー級王座獲得
★02年5月 NWAナショナルヘビー級王座獲得
★同10月 小川と組み、NWAインターコンチネンタルタッグ王座獲得
★03年2月 ムタを破り、全日本・3冠ヘビー級王座獲得
★04年1月 ハッスル1参戦。以後同シリーズに継続参戦
★同10月 ハッスル6参戦後、右肩を痛め長期離脱
★同11月 ZERO-ONE活動停止
★同12月 右肩を手術
★05年5月 ハッスル・ハウス札幌大会への来場を呼びかけていた小川に、「完全な状態になって戻りたい、まだ2、3カ月かかるが、闘うならハッスル」と連絡
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