プロレス専門誌が観たハッスル・マニア2005
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2日遅れましたが・・・毎週火曜日は、「前週発売分」から独断と偏見で最も印象に残った記事をカクトウログが選ぶ「プロレス週刊誌MIP」の日です。第41回で選んだのは・・・
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1か月以上ブランクが空いてしまい、週刊連載としては失格だが、ちょっとここは総括しておきたい。何を?
もちろん、11・3横浜アリーナ「ハッスル・マニア2005」をプロレス専門誌がどう伝えたかということ。専門誌よりも早く意見を発信してるブログで、ボクがよく観ているブラックアイさん、angle JAPANさん。そこでの記事も並べてみる。
抜粋。長いですよ、心して読むべし。
11/3 23:54
・ angle JAPAN: 元彌が、インリンが、HGがレスラーを食った! 「時代は動いている」
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例の如く長州や天龍は“いつも通り”のプロレスをしていたが、逆にそういう試合が浮いてしまうほど、ハッスルの世界というのは確立した感がある。奇しくも高田総統がこの日の最後に「時代はどんどん動いているぞ、よく考えるんだな」と言っていたが、プロレスファンも「プロレスとはこういうものだ! こうあるべきだ!」という固定概念を捨て去り、こういう世界を楽しめるようになったほうがいいのかもしれない。少なくとも世間一般には結構ウケているのだから、自分たちが大好きなプロレス界からこういうモノが生まれたことを歓迎すべきだろう。
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11/4 1:00
・ カクトウログ: プロレスが世間に勝った日・・・11・3ハッスル・マニア2005横浜アリーナ観戦記
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途中、小川直也のプロレス技の組み立てがまどろっこしく感じる、それくらいインリン様やHGのプロレスの方が観客の目を引き込み続けた。そりゃそうだ。世間でのお笑い・芸能界の世界では想像でしかないところを、プロレスは実際に目の前でやってみせるんだよ。ものすごいエンターテインメントなんだよ、プロレスは!
おそらくハッスル主催者は、この面白さに開催前に気づいた。手ごたえを感じた。だから、当初は高田総統のプロレス復帰の場だった「ハッスル・マニア」なのに、高田を温存した。
世間的注目の元彌、HG中心の大会となったことは、既存プロレスの敗北と言ってもいいだろう。プロレスが冷え込んでいるのも納得がいく。プロレスの大会という“まな板”に並べてヨーンドン。そこで、既存プロレスが勝てたかと言うと、そうではなかった。
だけれども、お笑いやバラエティでは現出させられない極上の面白さを体現した手段が「プロレス」であることはハッキリしていた。だから、あえて前向きにまとめたい。
11・3ハッスル・マニア。この大会で、プロレスは世間に勝利した。
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11/5 4:08
・ ブラックアイ2:語ろう ハッスル マニア~試合後に居酒屋で「乾杯フォー」ってやった人は手を挙げて
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興行終わって横アリ近くの居酒屋へ。あちらこちらから「フォー」の声が飛ぶ。まさに「家に帰るまでがハッスル」状態。こんなプロレス興行最近ない。
「イイモノヲミタ」と誰もがニコニコ。立ち上げ以来、迷走しまくりだったハッスルが、いよいよその居場所を確保した。
HGが締めたハッスルマニア。彼が間違いなく主役。
「小川はどうした? プロレスラーが主役でなくていいのか?」
・・・いいんでしょう。もともとプロレスファンを排除してここまで成りあっがってきたハッスルですから、プロレスラーを排除することがあってもおかしくありません。
実際、この日ハッスル初登場となった天龍源一郎は、まったく出た意味が無かったと言っていいでしょう。猫ひろしの声援の方が多かった現実。
ハッスルの向かう道は定まってしまったのかも。
ただ、ハッスルは未だ発展途上。今回の興行でも100点はつけられない。
相変わらずストーリーは行き当たりばったり。サプライズを記者会見で使い切る。
「ココをこうすれば、もっと面白くなるのに」という点が多々ある。
「ハッスルマニア=最終戦争」なんて雰囲気はゼロ、あれじゃ「HG&元彌祭り」。
ビッグイベント直前になってネタ詰め込むばっかりじゃ某老舗団体のドーム大会と同じになっちゃう(そこまでヒドクはないが)。もっと先を見てストーリーは組んで欲しい。
まぁ、でも、ここまでよく来たなってのは正直な感想。
よく頑張って続けた。これからは恐いモノ無し。
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11/9
週刊プロレスNo.1288(11/23号)
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・ 「レイザーラモンHGは、ハッスルそのものです」
現在の主流は芸能人路線。世間に通用するエンターテインメント路線へと成長していた。もはやプロレスと同一線上で語るのは、ナンセンスと言えるかもしれない。
今後は高田総統のように小川、川田、大谷らプロレスラーが、ファイティングオペラの部分で、芸能人をアッと言わせてほしい。そうなれば今以上のマンモスイベントになるはずだ。
・ 「狂言和泉流ハッスルじゃ!」
(元彌は)動作がいちいちきっちりしていて、品がある。初めて見たときに強く思ったのは、ハッスルというのは品のない(下品とは違う)リングだなぁだったが、和泉元彌は品格をもって観客を魅了してみせた。
ただ、翌日のワイドショーでさっそく話題になるのはいいこととして、どれもプロレスとして取り上げていたから困る。世間が見て、これがプロレスだと思われたらたまったもんじゃない。
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11/9
週刊ゴングNo.1099(11/23号)
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・ 「プロレス、スんゲ~じゃん!」
この感情の起伏こそが本来プロレスを見る者の至極の楽しみであった。ある意味、ハッスルのやろうとしていることはプロレスの原点回帰であり、底辺拡大にもつながっている。
あとは小川らプロレスラーが、この世界観の中で、自分をどこまで印象づけられるか。個性豊かなエンターティナーたちと正面から競いあえるプロレスラーが出てきたとき、ハッスルは次の扉を開くことができるだろう。
・ 「狂言和泉流ニ十世宗家 ハッスルのリングにござる~!!」
失敗が許されない本番の舞台で伝統芸能を披露している元彌は、世界は違っても同じく失敗が許されない本番のリングに命を懸けるプロレスラーを尊厳の念を持って見ていた。相手が誰でも試合を成立させることを誇りにする健想と、プロレスに真摯な姿勢で取り組んだ元彌・・・その2人だからこそ、プロレスの試合として成立したのだ。
・ 「11・3プロレスが世間に勝利宣言した日 ハッスル・マニアはWWEをも超えた!?」(金沢克彦氏)
プロレスを“イロハ”の3段階で分けるなら、イは肉体と体力作り、ロは技術の習得、ハは感性とパフォーマンスを磨く・・・こう理屈付けられるかもしれない。彼ら(参戦した芸能人)は、イとロでは全くもって追いつかない。ハの部分に関して言えば、元彌、HG、インリン様、ヒロコの4人は明らかにレスラーを上回っていた。
改めて、プロレスには多様な顔、様々な世界が存在する。ハッスルの成功に顔をしかめる時代は終わった。これもまたプロレスというジャンルの度量の広さが生み出した奇跡である。
11月3日、プロレスが世間に勝利した! 敢えて、そう記しておきたいと思う。
・ 「編集後記」(吉川編集長)
彼らはプロレスにリスペクトを持ったパフォーマーであった。観客の拒絶反応もなく、小川のいう「究極の異種格闘技戦」は、芸能人に軍配が上がった格好だ。間違いなく世間の注目を集めたが・・・でもやはり、本末転倒ではなかろうか。表紙の“このままでいいのかプロレス”という見出しは、漠然とした不安を抱く己への自問自答もあれば、脇役に終わったプロレスラー達へのメッセージでもある。
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ゴングのターザン山本!氏は省略。
さて、いかがだったでしょう?
こうして並べると、もうテキストに関してはブログも専門誌も関係ない。ただ、微妙に立ち位置が感じられていて面白い。あれをプロレスって見られたくないって気持ちが出ているものもあれば、あれこそがプロレスの面白さとの見方もある。
抜群に面白かったものをどう定義するか。フツフツと湧き出る反発心を出すかどうか。そんなところを文章にする楽しさにあふれていたんじゃないかな。あとは、ハッスルほどマスコミ露出しなかったものの観客動員で勝った純プロレスのノア日本武道館大会(ハッスル2日後)を両誌とも巻頭に持ってきたことが、無言の主張でもあった。
その点で、ブラックアイさんの批評は頭ひとつ抜け出している。ハッスルをプロレスの中で定義するんじゃない、脈々と続いていくハッスルの方向性の中での完成度を問うている。「今回の興行でも100点はつけられない」さらに注文。ちょっと、うならされるなぁ。
相対的にプロレス専門誌はインパクトが弱いものの、いくつか印象に残った箇所を挙げる。
・ 週プロの見出し「インリン様、激しく揺れる股間の中で昇天! 棺桶入り!!」
・・・HGの三角絞めに苦しむシーン。何の雑誌だよ、これ(笑)
・ ゴング「和泉元彌&HG ゴング名物連写分析!」
・・・これは映像が観れなかった、観戦できなかったものの“攻防の妙”を味わいたいファンにはタマらなかったのでは。芸能人の技を連続写真で振り返るという企画が秀逸。
・ ゴング、金沢氏の記事一部がカクトウログとそっくり。
・・・<カクトウログ>
「プロレスが世間に勝った日」
「あえて前向きにまとめたい。11・3ハッスル・マニア。この大会で、プロレスは世間に勝利した。」
<ゴング金沢氏>
「プロレスが世間に勝利宣言した日」
「11月3日、プロレスが世間に勝利した! 敢えて、そう記しておきたいと思う。」
こんなこともあるんですね。金沢氏の見解にはいつも勉強させてもらっているので、光栄なこと。もちろん、文脈は違いますが。
さて、「プロレス週刊誌MIP」としては、週プロvsゴングの決着をつけないといけない(早く寝て朝からの仕事にも備えなきゃいけない)。決め手はあるかな・・・困った。
・・・ありました!
ここ、今まで気づかなかった。もくじのページ。
週プロ51ページ「水曜日の主役!」。
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HGはファン時代、渕正信の渋いプロレスやWWEが好きで、元・学生プロレスの王者。だから、1つ1つの動きがプロレスの形態に則っていた。
アン・ジョー司令官が右手を上げて力比べをしようとすると、HGは左手ではなくて右手を上げる。(中略)その瞬間、それまで華麗なロープワークに魅了されていた観客の目が、静かにリング上の2人へと注がれていた。また、チョップを食らうシーンでは、ハルク・ホーガンのムーブを独自に解釈したのか、腰を振って耐えていた。
総合エンターテインメント空間でプロレスの魅力を伝えたのは、HGだったのかもしれない。
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単純じゃないプロレスの“技術”に踏み込んで、さりげなくハッスルした小さな記事。今回はこちらに星をつけます。
第41回で選んだのは週プロのこの記事。
「水曜日の主役! レイザーラモンHG」
おめでとうございます!
=通算MIP獲得数 週プロが星18個目の受賞です!=
週プロ >>>☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
ゴング >>>☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ちなみに、レイザーラモンHGの「フォ~!!」はアメリカンプロレス、リック・フレアーを真似たところから始まっている。そこにHGの本質ありなわけで。
■□T.SAKAi
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