「無言の雄弁」1・4柴田勝頼vs棚橋弘至
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このコーナー、2か月ぶり。ぜんぜん“毎週”じゃないけれど、ビッグマッチのプロレス週刊誌報道についてはチェックするコーナーにしていければと(マイナーチェンジということで)。
カクトウログの毎週火曜日は、「前週発売分」から独断と偏見で最も印象に残った記事を選ぶ「プロレス週刊誌MIP」の日。年始は足並みの揃わない発売だったが、1・4新日本プロレス東京ドーム大会について大きく報道していたのはこちら。
・ 『週刊プロレス』No.1298 1/29号増刊 新日本1・4東京ドーム大会詳報号。
・ 『週刊ゴング』No.1108 1/25号。
週プロは増刊号を出して、1冊まるごとで各試合を詳しく報じた。一方のゴングは他団体と同居状態にしたものの、「噂の真相 新日本は本当に分裂してしまうのか!?」との視点で斬った。
実は、週プロの増刊号、近くには全然売ってなかった。1/10には出てたはずなのに。しょうがないので珍しく“取り寄せ”、土曜に注文していたら昨日1/16に手に入った。無事に対決記事が書けることになった。
まずは、“総論記事”対決。
ゴングの総括レポート。
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・ ここ数年の新日本の凋落の原因は、間違いなく他団体との対抗戦に負け続けたことにある。毎年のように人気選手が退団していったにもかかわらず、ビッグマッチ連発。話題になるには他団体やフリーの選手を投入するしかない。その過程でノアが対抗戦に強いというイメージをファンに植えつけたのだから本末転倒。ドーム興行は、メリットよりもデメリットが大きかった。
・ マスコミやマニアが勝負論を軽視してきた弊害もある。プロレスにとって勝敗は重要な要素であり、対抗戦ともなれば内容よりも星取りが全てと言ってもいい。ドーム大会での黒星とリキプロ興行での白星では、持つ意味が明らかに違う。
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なるほど、確かに新日本ドーム興行が全盛だったとき、ファンは勝敗に一喜一憂していた。橋本真也が小川直也(デビュー戦)に敗れる。そのドームの帰り道、ファーストフード店か何かの呼び込みに対して「うるせぇ、橋本が負けたんだよ!」と噛み付くファンを見た。選手を本気で応援していた時代。
されどゴングの総括は「内部分裂&新団体設立説の真相を追う」という目的まで満たそうとよくばっていたところがよろしくなかった。突っ込んで取材できる立場にありながら、噂だけの中身の薄い飛ばし記事。これはもったいない。表紙から「噂の真相 新日本は本当に分裂してしまうのか!?」と謳ったが、やや“看板倒れ”な感はあった。
一方、週プロの総論はゴングに勝つという勢いほどではないが、山本尚史の控え室での怒り、10月ドームから続く葛藤にスポットを当てていた。こちら、きっちりとした取材にもとづいており、こういう記事は専門週刊誌ならではだと参考になった。
総論では引き分け。試合別レポート対決でいこう。ひと通り読んで印象に残ったのは、やはりこの一戦。柴田勝頼vs棚橋弘至のレポート。
週プロを取り上げる。
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・ この対戦が決まってからというもの、柴田はついに棚橋戦についてのコメントを一言も出さなかった。対照的に棚橋は懸命にこの闘いと、新日本のドーム大会を盛り上げようとコメントを出し続けた。
・ 柴田の無言は棚橋に対してというよりも、今回のカード決定についてと言った方が適切だろう。柴田は自分が新日本と闘うタイミングが現在ではないことを知っている。温めて実現させたNOAHでの闘いは始まったばかり。簡単に気持ちを切り替えることはできない。その葛藤の結果がノーコメントという姿勢だったのだろう。
・ それでも棚橋戦を受けた以上、棚橋戦を楽しみにしていたファンへ柴田はリングで答えを出す必要がある。その答えは棚橋を蹴りまくるという単純明快、それでいてもっとも柴田らしい闘い方だった。
・ 必死に耐えて受けて、吼えて立ち上がる棚橋もまたじつに棚橋らしさに溢れていた。かつて第一次UWF勢が新日本に戻ってきたとき、その身を差し出して前田日明の蹴りを受けまくったのが藤波辰巳だった。
・ 結果、この試合は両者の持ち味が存分に出る試合となった。二人とも試合後は揃ってノーコメントだったが、その無言の中にこそ棚橋vs柴田の雄弁があった。再会した意味を説明するには、言葉ではなくリングを見れば十分だ。
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この“柴田vs棚橋”は“前田vs藤波”という例えは、ゴングもレポートの中でやってるんですね。でも、柴田vs棚橋の持つテーマを検証した深さは週プロの方にうならされた。
ボクが思うのは、この試合を柴田・棚橋の飛躍のきっかけにしてほしいということ。2人はまだキャリアが浅いし、それを補うようにアグレッシブな攻防をいつも披露する。でも、技を急ぎすぎて攻防が浅く感じられるときがある。よろしくない。天龍源一郎が「チョップをよけてまで勝っても、次にまた勝てる気がしない」とテレビ番組でコメントしていたように、本当の勝負に踏み込んだ奥の深さがあるのがプロレス。
棚橋には違う闘い方でリベンジなんてしてほしくない。一方的な要望なんだけれど、連敗してでもいいから柴田戦を続ける過程で“立ち上がる姿をファンに見せられる”レスラーになっていってほしい。それが本当のドラゴン魂だとボクは思うから。
実は、この棚橋。試合後にコメントしています。正確には、『週刊ファイト』紙のコラムを試合の数時間後に執筆した“紙上”コメント。1/18号(No.1954)から。
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・ 張り手を打ち合っているときの柴田の顔が印象的だった。目には鋭い光を放っていた。それは何かに突き動かされて相手を痛めつける戦場の兵士そのものだった。重くなった打撃には、彼が新日本プロレスを飛び出して何を思い練習をしてきたのか、その証しが込められていた。そしてキック。新日の選手よりも蹴りの間が短い。防御する体勢が整う前に次の蹴りが飛んできたので非常に厄介だった。
・ 柴田に負けたことはボクの記憶に残り、ファンの記憶に残る。この作った借金を返していくのは大変な作業かもしれない。また無視されるだろうがあえて言いたい。この闘いのステージは必ず次に進む。柴田とはこれで終わりにしたくない。時間をかけて、また試合をするときが来ると信じている。
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なんだか棚橋の今後に興味が出てくる。両者の闘い、次のステージを期待したいと思った。そして、両者の“雄弁ぶり”を見なかった週プロが読み取った「無言の雄弁」に星をつけたい。
それでは、カクトウログのいつものセリフを。
発売日前日に前週号を振り返っておく企画。第43回「プロレス週刊誌MIP」において選んだのは、週プロNo.1298(1/29号)のこの記事です。
「痛めつけ合うことは決して哀しいことではなく・・・棚橋、柴田に蹴られまくって敗れるもそこにあった無言の雄弁」
おめでとうございます!
=通算MIP獲得数 週プロが星19個目の受賞です!=
週プロ>>>☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゴング>>>☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
■□T.SAKAi
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