週刊ゴング・吉川義治編集長、退社
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カクトウログでもpick upだけしてた「某雑誌も近々、編集部に嵐が起こりそうです」という記事。このことだったのか!?
2/8発売分『週刊ゴング』No.1112(2/22号)で、吉川義治編集長自身が明らかに。
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・ 突然ですが、読者の皆さまに報告があります。私事で恐縮ではありますが、一身上の都合により、今週号をもって16年間在籍した日本スポーツ出版社を退社することになりました。この16年間は非常に有意義で充実感に満ちたものでした。悔いがないと言えば嘘になります。
・ ただ、これだけは言えます。誌面上で若い選手を押し上げてきたことに間違いはなかったと。この世界、新陳代謝に時間を要するのが常ならば、新世代と共に一気に打ち破る流れを作ってしまおう―――そんな決意と意気込みを持ち続けてきました。冬の時代と言われてひさしいプロレス界だが、新世代が情愛でそれを溶かしてくれると信じながら・・・長い間、本当にありがとうございました。
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2004年11月から、GKこと金沢克彦氏の後任として編集長に。35歳という若さでの就任には驚きと希望を感じさせたが、1年3か月で退社とはびっくり。
吉川氏が編集部を引っ張ってつくった新誌面。ファンによるレスラーへの質問企画、若手登用、ステッカー、DVD、インディーサミットなどは、まさにプロレスの間口を広げようとしたものだった。
就任当時のメッセージを振り返る。
・ カクトウログ: ゴング新編集長の所信表明 2004.11.03
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米大リーグ、ヤンキースの松井の「平常心を保つというか、常に『ふつうでいる』のがいちばん難しい。でも、何よりだいじなこと」という言葉が耳に残る。新しく編集長になったからといって、必要以上に力むつもりもないし、チームとして動く以上、自分が前面に出るつもりもない。誌面における主役はあくまでも選手であり、私は週刊ゴングの統括者として“ふつう”でありたいと思う。
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雑誌としての“かくあるべし”を吉川氏がつくり、ベテランならではの“独自情報”や“愛のある毒”を金沢氏が投下する。プロレスへの愛情を吉川氏と金沢氏がそれぞれ‘ふつう’にカタチにしたのが、2005年のゴングだったように思う。吉川氏がいたから、金沢氏はターザン山本!氏との座談会ができた。金沢氏がいたから、吉川氏は“選手が主役”路線という軸づくりに集中できた。
プロレス界が底冷えした中で、ゴングの奮闘は頼もしかったのだが・・・。
それにしても、2005年11月に前編集長・金沢氏が退社。2006年2月になって現編集長・吉川氏が退社。ゴング(日本スポーツ出版社)が異常事態にあると言ってもいい。同社は2004年夏に身売りしたと伝えられ、それ以降も経営陣が二転三転。
(『月刊 紙の爆弾』8月号より。部数減はゴングもベースボールマガジン社『週刊プロレス』も起こっているが、プロレス特化の日本スポーツ出版社とは違って、他のスポーツ雑誌も豊富なベースボールマガジン社ゆえ週プロはいきなり廃刊にはならない、とも)。
ここ数年のゴングには、従来のプロレス誌からすると違和感のある広告が挿入されてきた。察するに、買収した経営陣と金沢氏、吉川氏が対立。辞任・・・実質追放に近いというのが真相ではないだろうか?
印象で言うと、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』解説を張っている金沢氏を擁していたことがゴングの信頼の砦だった。そして、金沢氏が託した吉川氏がいるゴングという図式から「もう少しゴングにつきあってみようか」ってファンもいたと思う。嵐に見舞われたゴング・・・。
ボクは毎週のように週プロとゴング、両誌を買っている。今週号でまず印象的だったのは、棚橋弘至(新日本プロレス)が北海道・月寒大会後に雪上で寝そべったシーン。これをゴングは表紙にし、週プロは1ページ目にもってきた。
昭和プロレスファンなら、“新日本プロレスの2月、雪の札幌”とくれば、藤波辰巳vs長州力での藤原喜明乱入事件を思い出す。試合不成立に失望した藤波はレスリングトランクス1枚、裸のまま雪の札幌に飛び出す。そんなところまで“ドラゴンスタイル”の棚橋。ピンときて大きく扱う両誌。
毎週展開されるプロレス界との呼吸。その予定調和に飽きたファンもいるだろうし、絶妙な呼応ぶりに安心するファンもいる。日本プロレス界での文化ともなっているプロレス誌も未来は厳しくなっていることは確か。吉川編集長の無念を誰かが晴らす日は来るのか。プロレス専門誌、がんばってほしい。
※追記1 金沢克彦氏が吉川編集長辞任について触れた。
携帯サイトkamiproHandから。
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・ 2004年8月、ゴングの版元である日本スポーツ出版社の身売りに伴い、私は編集長を辞任した。新体制の経営陣から全権を委任された(君が君のやりたいように組織を作って、いらない人間はリストラしなさい。社員の給与も君の査定で決めなさい)。俺にできるわけもないし、やりたくもない。辞意を表明、次の体勢が整うまでということで10月15日まで編集長を続行。
・ 私の後任には吉川義治が就いた。彼の1年4か月は獅子奮迅の頑張りであったように思う。GKカラーとの闘い、編集部内の軋轢、団体とのトラブル、経営陣との折衝事・・・。私の“超”円満退社とは違って吉川は“新体制”ゴング最大の功労者である。なぜ彼は会社まで去らなければならないのだろうか? もう私の故郷は、故郷でなくなったようだ。
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何をもって『週刊ゴング』なのか。それは、金沢氏や吉川氏をはじめとする編集者がプロレスという業界に根ざして、しっかりとした記事を書いていくこと。金沢氏にいたっては、テレビ朝日やサムライTVとも連携している。なのに、金沢氏を慰留しなかったゴング経営者。金沢氏を残すことにこだわった吉川氏も、ゴングを去ることに。
金沢氏にとっての故郷がなくなったというレベルじゃない。ゴングはゴングじゃなくなったのかもしれない。
※追記2 ブラックアイさんがピックアップされていましたが、こんなニュースも。
・ ゆびとま、株式一部譲渡で日本スポーツ出版社の子会社へ(VentureNow)
部数減で景気は悪いはずなのに、違和感があるニュース。知人からはこんな見解が。
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これはようするに、帳簿ごまかしゲームが始まったというだけ。相乗効果なんか、はなから期待してない。ライブドアと一緒で、本業でどうやっても黒にならないとなると、次々に帳簿上でグループ会社をつくり、まさに投資組合を通じて、すでに役目を終えている会社を買う。ライブドアが価値のなくなった人材派遣会社を買ったのと同じケース・スタディ。
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どうなんでしょうか。追加情報があったら追いたいと思う。
■□T.SAKAi
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