新日、K-1、PRIDEタブー大全☆2006/書評
pick up テーブルに「新日本プロレス」と書かれたダルマ・・・7・17月寒でのブロック・レスナーIWGP戦決定┃2006年度新日本プロレス入門オーディション概要┃15日に手術を受ける蝶野正洋の左ひじ深刻┃星野総裁「棚橋にはワシが爆弾を用意してある」/補足@多重ロマンチックさん┃曙、UFCにも興味あり「レスナーと金網で闘いたい」┃武蔵が仮面ライダーに変身「必殺技? それは秘密です」┃女子プロレスを引退した後の広田さんの苦悩や葛藤を赤裸々に“ぶっちゃけた”作品┃16日(金)にチーム3Dが水道橋で記念撮影&サイン会┃後藤&ケロに呪文がかかり、ファンタジーのDDTが元新日本を撃破@angle JAPANさん/スポーツナビ詳報┃6・4PRIDE 武士道結果/瀧本誠、右眼窩底骨折で全治3カ月┃PRIDE道場「Dreamers」オープン┃キングスロードvsZERO1-MAX全面対抗戦へ┃小橋建太1年3カ月ぶり王座┃KENTA破れる、杉浦貴2年3カ月ぶり頂点
格闘技・プロレスを扱ったムック本が大量に出される中で、価値のある情報とはなんだろう? 『新日、K-1、PRIDEタブー大全☆2006』(宝島社)を読みながら考えてみる・・・
* * *
プロレス・格闘技情報(紙面・誌面)業界にかかわる潮流は、大きく3つあると言っていい。
(1)業界専門誌・紙系
週刊プロレス、週刊ゴング、週刊ファイト、格闘技通信、ゴング格闘技、紙のプロレスなど
(2)業界スポーツ紙系
日刊スポーツ、デイリースポーツ、スポニチ、サンスポ、スポーツ報知など
(3)実話誌系
週刊現代、週刊大衆、実話GONナックルズ、実話マッドマックスなど
スタンス、特徴を簡単にまとめる。
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(1)業界専門誌・紙系・・・試合会場に最も足を運び、選手にもインタビュー。プロレス愛の高さを自認する一方で、団体の隆盛と自らの売上が直結するため、業界批判が大きく制限される。
(2)業界スポーツ紙系・・・スタンスは(1)と同様だが、「プロレス・格闘技以外の情報も扱う」「団体発表情報・スピード重視」である。
(3)実話誌系・・・よく言えば「反権力」、悪く(?)言えば「ゴシップ」「スキャンダル」。(1)(2)とは異なり、業界批判としてのインパクトがある記事のみが誌面を飾る。
※最近では、PRIDE・フジテレビと暴力団の癒着を追及。
この春に多く出版されたプロレス・格闘技のムック本。それらを見ていくと、(1)系の書き手で編集されているもの、(1)+(3)系の書き手で編集されているもの、両方ある。ゴシップ系と思われることを嫌っているということか、(3)系の書き手が「編集部」あるいは通常とは違うペンネームで表されることも多い。
そんな中で、このムック本は、他と一線を画し、(3)系の書き手で一貫して編集されている。異色の一冊。
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別冊宝島/責任編集=タダシ☆タナカ+シュート活字委員会
~プロレス&格闘技業界、究極のスキャンダル読本降臨!~
▼業界騒然の暴露証言!
「イノキボンバイエ2003」プロモーターが沈黙を破る!
闇社会に追われる男 川又誠矢ロングインタビュー!
DSE、K-1、猪木、日テレ、暴力団・・・・・・・
大みそかTV格闘技戦争「闇の相関図」
▼「前田日明」BML離脱の真相!
▼初の対談!
草間政一(前・新日社長)×ミスター高橋(元・新日レフェリー)
「知りすぎた、私たち」
▼新たな負債発覚、ユークスにも見捨てられる!?
総力特集! 新日本プロレスの「断末魔」
身売りと長州力現場監督復帰の舞台ウラを徹底解説!
▼魔裟斗の悲劇!
選手生命を切り刻んだK-1疑惑の判定
▼PRIDEの闇、再燃!
森下・DSE前社長を自殺に追い込んだ“影”
高田延彦の暴露本「泣き虫」に書かれなかったこと
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掲載されている話の目玉は、いわゆる実話系の雑誌(『週刊現代』や『実話ナックルズ』など)に載ってきたこと。断片的であったものがつながれて、読み応えのあるもの、検証が深まったものとなっている。さすがにボクは、ふだん実話系雑誌までは追えない。立ち読みやカフェで目にして、たまに衝動買いする程度。だから、知らない話も多かった。おそらく、今回書き下ろしの情報もずいぶんあるのだろう。
とにかく確認できる事実の量、深さには圧倒される。
実話系雑誌は原稿採用が厳しい世界だ。特に人気が下降しているプロレス記事は掲載されづらい(ボツもある)。プロレス界的には“新日本プロレス前社長・草間政一氏による暴露”と騒がれた記事も、一般人にとっては「アントニオ猪木の借金地獄」という切り口でしか認知されない(『週刊現代』2005年6/18号)。
政治やアイドルへの告発・スキャンダルが雑誌の中に同居していくから、格闘技やプロレス記事はよほど大きな権力を批判するものでなければ並び立たない。記事の“質”が求められるといっていいだろう。その世界で取材の第一線に立ってきた記者たちの情報であるから、読み応えがあった。
改めて、他のムック本と何が違う?
ひとつは、「新日、K-1、PRIDEで2003~2005年に起きてきた事件にこだわって編集している」こと。この点は、「自分が知っている話を書きました」という“寄せ集め感”ただよう他のムックとは違う。
もうひとつは、徹底した事実の掘り起こしで展開されていること。PRIDE隆盛の裏面史、K-1勝敗操作疑惑追及は生々しい。そして、プロレス関連の追及記事にもボリュームが割かれている。
一例を挙げると。
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・ ビッグマウスがプロレス興行用に「ビッグマウス・ラウド」を新たに登録したのはトラブル回避のため。ビッグマウスの設立資金の半分はK-1幹部が出したものの、ビッグマウス上井文彦氏とK-1の関係は切れている。
・ 草間(新日本プロレス社長当時)は癒着記者たちに会社の利益に反する裏情報を流す坂口征二CEOや田中秀和リングアナウンサーを更迭、もしくは左遷した。さらにギャラが高い外敵招聘、ビッグマッチ乱発の上井文彦取締役の首を切った。選手契約部分を解除して1試合ごとの契約にした途端、藤波辰爾はセミリタイア状態から現役復帰して05年夏のG1クライマックスに毎晩出場。経理操作に追っている部分があるにせよ、黒字に戻した草間は真の功労者だったはず。
・ 従来のプロレス村のオキテに従わない手法が反感を呼んだのか、草間はプロレスマスコミの記者たちの手で、必要以上に悪人として伝えられた。ファンに虚偽を信じ込ませる活字プロレスの影響力こそが、業界低迷の原因の一つ。
・ ユークスによる新日本買収は、新日本の内紛。経営危機を救う売却先を見つけた者が主導権を握るため、「サイモン猪木一派」と「猪木事務所」が争った。経営者の会見そのままの「敵対的買収回避のため」と見出しをつけた朝日新聞などの記事は間違い。
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これらの記事は、プロレス団体の運営や猪木の行為を正しく見ていくうえで“教科書”ともなるものだ。ボクらはついつい感覚・印象だけで「猪木は・・・」「草間氏は・・・」なんてやってしまうけれども、事実は押さえておかなければならないだろう。
そして、記事は新日本プロレスの節目節目での試合にも及ぶ。
天山広吉vs小島聡の四冠戦、アントニオ猪木による中邑真輔鉄拳制裁の背景、佐々木健介vs藤田和之の事情、天山広吉G1クライマックス優勝などへの筋書きへの評価へと続く。
こういったことを明らかにすることは、“単なる暴露”なのか“業界発展のための大人の楽しみ方促進”なのか。それは議論を分ける。ただ、この本は“暴露”だけでは終わらない。
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・ (2003年新日本G1)天山は「新日ラリアットプロレス」と揶揄されたスタイルから、より緩急のついたファイトができるようになり、フィニッシュ技には“アナコンダ・バイス”なる関節技を使っていた。ドイツのハノーバーやブレーメンでがんばっていた頃から注目していた筆者としては、プッシュに応えていく姿を見るのが嬉しかった。会場には勝敗を心配して祈るように見ている純粋なファンもいれば、誰が勝つのかはわかっているけれども試合内容を楽しみに来た層もいた。強靭な肉体を酷使し、最高の舞台で自己表現するプロレスラーの素晴らしさを実感しに来たのだ。
・ (2003年新日本アルティメットクラッシュ、バーリトゥード5試合後のメインイベント)小橋建太(ノア)vs蝶野正洋は格闘技の隆盛に立ち向かった、壮大なプロレス絵巻の完結編であった。筆者は、緊張感がすべてのVT試合の間は友人とおしゃべりをしていたのだが、小橋vs蝶野の試合では、リングを食い入るように見つめていた。蝶野のバックドロップ4連発。小橋のハーフネルソン・スープレックス5連発。総合格闘技でこれはやれない。蝶野の首がぐにゃりと曲がり、小橋の汗が飛び散る。「プロレスこそがアルティメットである」「作られたスポーツ芸術こそが、格闘技を超越した崇高なる価値を持つのだ」という大会のテーマを見事に魅せてくれた。
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純粋なプロレス論評。反権力というのとは少し違う。実話誌では掲載されないところ。ライターたちの“引き出し”が披露されたところではないだろうか。
本の巻頭にはこのようにある。
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タブーは健全な批判をはねつける。批判なき業界はやがて朽ち果てることだろう。それは興行主にとっても、そしてファンとっても、不幸なことなのである。どんな試合であれ、テレビ局の視聴率主義や、興行を裏で仕切る連中の利権のためだけに存在してはならない。(中略)直近の事件や出来事について、ここまで赤裸々に書いたものは他にないと自負している。
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この巻頭言での「タブー」とは、けっして表には出てこない利権争いや事件性を指している。だけれども、読み進めていくうちに、「プロレスの大人の楽しみ方までもタブーにしてないかい?」と問われている気がした。
プロレスファンはどこかで、自分が「筋書きの有無を超えた楽しみ方をしている」ことを知っている。だけれども、それを正しく指南する活字媒体は皆無に近い。格闘技に比べると、プロレスは「正しい批評が少ない、成熟しない」ジャンルとの見方もある。当ブログだって、“大人”には相手にされない。
いや、正しい・正しくないなんて自分で決めればいいんだが、「プロレスラーの技量がどこで問われるかということをもっと考えると、プロレスはもっと楽しくなる」というのもまた事実。タブーを考えることは、プロレスを考えることである。そう思った。
というわけで、ムック本で何か買いたいと思われた方は、この本も候補にされることをオススメします。
※追記
当記事を脱稿したのは6/4(日)深夜。6/5(月)深夜更新分として用意したが、その前(6/5夕刻)にフジテレビがPRIDE放送打ち切りというニュースが駆け巡った。なんというタイミング・・・。
■□T.SAKAi
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