柴田勝頼のREAL TALKよ、BML分裂劇を吹っ飛ばせ!
ビッグマウスラウド“空中分裂”騒動を報道ドキュメントとしてまとめました。また、永田裕志が“自主的に”参戦したと思われていた8・20BMLだが、長州力の指示があったことが判明・・・
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かなり長文になったが、おつきあいください。
柴田勝頼・村上和成、そして上井文彦プロデューサーが揃っての“最後”の大会となった8・20ビッグマウスラウド後楽園ホール決戦。あれから2週間たつ。
↓最初の1週分の報道などまとめ
・ カクトウログ:分裂にスキャンダルはつきものなのか・・・BML柴田勝頼退団から一夜明け 2006 8/23
・ カクトウログ:柴田勝頼、「希望と期待」のビッグマウス退団 2006 8/22
・ カクトウログ:「このリング、潰すな!」 8・20ビッグマウスラウド後楽園ホール、速報観戦記まとめ 2006 8/20
追いかけてきたファンとしては間違いなくショッキング。“ああそうですか”では済まされない。見切りをつけるにせよ、追いかける仕切り直しをするにせよ、情報が必要だ。しかも、スポーツニュース(パソコンサイトニュース)で流れる以上の突っ込んだものが・・・。
分裂から2週目の報道(1週間分)をまとめる。すべて、自動的にはネットに流れていない専門誌・専門紙・東京スポーツ紙から情報をピックアップ。
『週刊ファイト』No.1986(8/29発売、9/6号)から。
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▼BML空中分解!?
・ エース柴田勝頼 → 退団、フリー
・ 上井文彦プロデューサー → 離脱
・ 石川稔久専務、幸英信取締役、臼田勝美、原学は村上和成社長に追随するよう。
・ 村上和成は上井氏が“重大な裏切り行為”に絡んでいたとし、近々、その内容を会見なりで白日の下にさらすつもりだという。業界全体の信用失墜につながるとして、法廷闘争も辞さない構え。村上「真実は一つしかない」(8・24新宿FACE)
・ もともと8・20村上社長のパートナー「X」について、上井氏は村上に一任。ところが、「X」が新日本の永田裕志とわかると猛反対したという。しかも、19日には一部スポーツ紙で「X」に永田が急浮上と報道された。この日、本紙(ファイト)の取材に上井氏「大会前日にそんな情報を出すべきじゃない」。
▼永田裕志インタビュー サプライズ参戦の裏事情
・ 永田「(大会2日前の18日)昼ぐらい、BMLサイドが会社(新日本)を通さないで『出る意志はありますか?』。絶縁状態だからおかしいし、そういうのを抜きにしても今回は遠慮しておこうと」
・ 永田「(18日)夜に今度は現場監督(長州力)から『出てくれ』って連絡があった。
(永田が参戦を直訴したのではなく、長州さんから要請された?)そう。あの時(8・20での試合後)、オレの言い方が悪かったんで違う感覚になっちゃったけど、監督から『申し訳ないけど。心情的にいろいろあるだろうけど出てほしい』と。詳しくは話せないけど、新日本にとってはどうしても出なきゃいけない状況というのもあったし。詳しくは言えないけど、そこには納得できる理由もあったんで」
・ 永田「(村上選手と上井さんが分裂したなら、村上選手に新日プロ、永田選手が協力したのも納得がいきますが)いや、あの日(8・20)の時点でも上井-村上は一緒だと思ってた」
▼ゼロワン中村祥之社長「1人だけ逃げるのか」
・ 「ゼロワンMAXvsBMLをやってて、上井文彦、1人だけ逃げるのか? 9月22日の後楽園には上井さんにも来てもらいたい。フリーの選手だけを使って(上井氏が押さえている10・8後楽園ホールで)興行をやろうとかいうんじゃなくて。BMLをなぜ作ったのかという原点に返って。そこに村上選手たちが上がるなら、ウチの選手たちを派遣してもかまわない。これ以上、細分化する理由がどこにあるんだ?」
▼編集部談話室
B 「(BML分裂の原因は)オレのところに入ってきた情報では、こうしたゴタゴタには付き物の金銭絡み。それも相当なもんだよ。ただ、昔から上井氏をよく知る者にとっては、にわかには信じられないような話もあるんだって。それこそ、この話が本当なら上井さんはどうしちゃったんだろう、おかしくなってしまったの? みたいな」
A 「ま、こういう時には全く根も葉もなくて、ビックリするようなウワサや憶測が飛び交うからな」
D 「(上井氏が抜けたことでBMLと前田日明&船木誠勝が復縁することは)それはない。和田友規容疑者が逮捕された時、前田はすぐに福田典彦取締役に『大丈夫ですか?』と電話をしたけど、BMLが心配だったわけではなく、UWF時代の後援者でもある福田氏個人を気遣ってのもの」
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新たに出た情報は、永田裕志の8・20ビッグマウスラウド参戦が長州力の指示だったということ。もちろん、永田だからこそBML出陣が“絵”になったし、“新日本プロレス、ここに在り”を見せつけてくれたわけだ。永田自身が事情をここに来て明かしたのには、首をかしげざるを得ない。せっかくファンもまわりも美談として受け止めたんだし、そういう話でいいじゃない! 英雄視されたことに負い目を感じたんでしょうか。
上井文彦氏の疑惑が“金銭絡み”というのは、ファイト流の逃げたような書き方。ここは何とも言えません。
ファイトでは、ゼロワンMAXの中村祥之氏の主張だけが真っ直ぐすぎるくらいのもので救いがあった。いい意味でのファイナル興行ができるんであれば、そこに向かってほしいと思う。
続いて、『週刊プロレス』No.1332(8/30発売、9/13号)。
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・ 村上はゼロワンMAX8・24新宿大会に出場している。
BMLスタッフ「会見を開く前に(上井氏と)話はすると思いますね。泥仕合になってもしょうがないですから」
村上「会社のことに関しては会社のこととして会社としての対応をしますんで」
・ いまは一日も早くBMLが会社としての対応を示すことで、ファンへの説明義務を果たしてもらいたい。もちろん同じことは上井氏にも言える。旗揚げ時に掲げた団体コンセプト「新しいプロレスの実験場」。今回の分裂がその実験結果だとしたら、あまりにせつない。それともまだ実験は続いているというのだろうか・・・。
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週プロらしい“検証”が珍しくなし。ただ、絶縁を断言しているように思えた村上のニュアンスとは違い、BMLスタッフの「話はすると思いますね。(上井氏と)泥仕合になってもしょうがない」という発言は嬉しいところ。
『週刊ゴング』No.1141(8/30発売、9/13号)では?
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菊池 「俺があるマスコミから聞いた話では・・・上井クンと村上の確執があったみたいだね」
新間 「上井と柴田の関係はそのままだけど・・・上井と村上、柴田と村上の間が、方向性やその他のことで意見が合わなくなってしまったみたいだね」
門馬 「前田と船木を取り込んだり、その関係が破局に至った段階から・・・もうBMLの限界は見えていた感じだったよね。団体に確固たる理念が備わっていなかったしね」
菊池 「この先、この問題がどういう形で波及してくるのかはわからないけど・・・柴田にダーティーなイメージだけは絶対につけたくないよな」
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どうしたんだろう、三者三様らしからぬ“浅い”展開に感じた。そんなことをわざわざ専門誌が語る必要はないのでは?
以上、ファイト・週プロ・ゴングの報道、みなさんはどう感じただろう?
ボクが追いかけてきたぶん、BML記事には“救い”を要求していることは間違いない。ただ・・・。
分裂劇を批判することなんて、野次馬でもできる。ただ、起きている事実だけではなく、これまで所属レスラーや関係者に直接接してきたところからの検証ができるはずなのが専門誌・紙のはず。そこからいくつかの、次につなげる可能性を示すことが使命となる。前田日明の登場で売り上げが伸びたんでしょう? ファンと一緒に盛り上がったんでしょう? 最後まで粘りましょうよ! 少しばかりの可能性がある限り。
団体プロレスが破綻し始め、フリーレスラーが謳歌するマット上。もしかしたら専門誌・紙でも、その傾向が起きているのかもしれない。元ゴングのフリー記者・金沢克彦氏だけが、連載でひとり気を吐いていた。(まるで、いつも金沢さんを誉めてるみたいになってるが、心が動いたからしょうがない)
『週刊ファイト』No.1986(8/29発売、9/6号)内、連載「あのGKがマット界に評決!」から。
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・ 永田自身、G1クライマックスの疲れを癒すため、千葉の実家でのんびり過ごしているときの緊急オファーだったから断ったという。しかし、そこはおとこ気というか、行動派として知られる男だけに、再度のオファーを受託し、前日にみっちり汗を流してできる限りのコンディションを作ってBMLのリングに立った。
・ 「現場監督からはGO(サイン)をもらった。会社がどう判断するかはわからない。村上に頑張ってほしいという気持ちと、相手が高山&鈴木ということで受けた」。さらに突っ込む報道陣に対しては「いろいろと事情があるみたいだけど、ここではあえて言いません」と釘を刺している。
この辺が永田の賢いところ。余計なリップサービスでもすれば、よそさまの団体が抱える事情、問題点にまで話が及んでしまう。あくまでリング上の闘いにつながる話にとどめておく姿勢が大人である。
実際、BMLは水面下で激動していた。BML(村上)サイドと上井文彦氏(ビッグマウス代表)との対立が抜き差しならない状態まで来ていた、というのだ。だから、新日プロに直接ではなく、新日プロ関係者に打診を行ったのは上井氏で、実際に永田本人にオファーを出したのは村上サイドという複雑な事情もあったようなのだ。
・ 村上は、一部スポーツ紙の取材に答え、柴田にはエールを送りながらも、上井氏に対しては「重大な裏切り行為があった。法的措置も考えている」と痛烈に糾弾している。上井氏とは旗揚げからの同志であるI専務やY氏も村上に同調する構えだという。
・ ただ、一つだけ言っておきたいことがある。またまた「GKは甘ちゃんだ!」と言われるのだろうが、私はこのプロレス界に悪人はいないと思っている。特に、柴田、村上の両選手は業界にとって大切な人材であり、すなわち宝でもある。彼らがどれほど好青年であるかは、関係者の全てが知るところだ。宝を腐らせてはいけない。
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永田が関係者と一緒につくっていった流れを金沢氏がこんなに大事にして(「あくまでリング上の闘いにつながる話にとどめておく姿勢が大人である」と記して)いるのに・・・あぁ、永田ってヤツは・・・。
金沢氏はファイトよりも突っ込んだ事実経過を一部で押さえつつも、最後に村上と柴田が持つ“レスラーであり社会人個人としてのポテンシャル”に期待している。せめてここまでやってこそ、専門誌(紙)足りえるんじゃないか! とボクは言いたい。
おおむね振るわないマスコミ陣だったからこそ、柴田勝頼の言葉がこの1週間も気になった。何を語ったんだろう?
携帯サイト「プロレス格闘技DX」連載、柴田勝頼8/30更新分「REAL TALK」から。
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(前略)何かといろいろとお騒がせな人ですが、この前の試合で「なんでこの人はプロレスラーにならなかったんだろう・・・」と疑問に思いました。久々に週プロを立ち読みしたら、上井さん・・・プロレスラーの顔をしてるんですよ!若干、若返ったかのようにも見えます。この表情からして、上井さんが常々掲げていた『必死~』が、そこにはあったのではないでしょうか?
試合を観てない人にはわからないかもしれませんが、自分と上井さん、ガッチリと握手をしている状況になったんですよ、リング上で。あの時、交わした会話の内容なんですけど、上井さんは自分に“エール”を贈ったつもりでしょうが、自分は上井さんにこう言いました。
「この歓声は上井さんに対するみんなの期待の現われですよ! テメーがやらなきゃ誰がやるんだ! しっかり受けとめろ!」と試合直後だったので、こんな感じの口調で伝えたような。上井さんは片耳が悪いので、聞こえたかどうかはわかりませんが、伝えたい事は伝わったと思います。
「カラダは痛いけど、とても清々しい風がカラダの中を吹き抜けた!」と会う度に言ってるので、よっぽどでしょう! 上井さんにとって一生忘れられない大会になったのでは? 実際に上井さんが俺の手を挙げた時よりも、俺が上井さんの手を挙げ返した時の方が、歓声がデカかったので素直にそう思いました。
8.20の大会は、ハッキリ言って上井さんの意地で成し遂げた大会だった。大会での裏方をすべて一人で頑張っていたのも知ってる。(至る所で弱音を吐きつつ・・・)
決して真面目とは言い切れないけど、人間が一生懸命になって何かに打ち込んでいる姿というのは美しい!(Yシャツが破れて腹が大変な事になっていたが・・・)なので、上井さんには今後も山口県人の意地で頑張ってもらいたい!(対戦カードはお早めに・・・)
実は大会の数日前、上井さんから「フリーになってノビノビと試合したらどう?」と言われたのです。自分の中でもフリーになろうと決めていたので、その日の会話は今までに無いくらい噛み合った。でも、上井さんから「フリーに・・・」というのが意外だった・・・・(中略)
とにかくレスラーのやりたい試合をさせる・・・この辺の考えは背広組としては非常に珍しい気がします。そして「ワシもそんな試合が観たい!」と言えてしまう上井さんはリスペクトに値する。
「本音を言うと自分の手で柴田勝頼というレスラーを育てたかった・・・」という言葉も聞いているだけに、自分としては今後、フリーという立場の仕事は出来る限りやっていきたい!というのは本音。立場は少し変わったけど、コレがお互いにベストな関係であると思う。どう考えても“自分と上井さん”・・・“腐れ縁”な気がします。
そんな腐れ縁の上井さんに対するイメージはですね・・・例えるなら『運動会のお母さん』。小学校の運動会で子供より頑張っちゃうお母さんですよ。張り切って我が子を応援するけど子供からは「もぉ~、お母さん恥ずかしいからやめてよ~」って感じの(笑)あんなイメージがありますね。解説の時は、その本領を発揮してしまうので、解説に向いているのか向いていないのかわかりません(笑)ただ、一つ言える事は・・・“熱い!”という事。コレは一番大事な事だと思います。日記でフライングしたり、いきなり突拍子もない事言ったり・・・時には、とんでもないダメ親父ぶりを発揮するのですが、この人のプロレスに対する熱意だけは“ビッグマウス”ではない気がします。
自分の周りにも上井さんに期待している“上井派”(笑)の人が、以外にも沢山いる事を最近知りました。自分が思うには・・・やはり上井さんみたいな熱いオッサンは、プロレス界に一人くらい必要!(もう、この際オッサンでいいです!)あんな熱いオッサンはどこ探しても見当たらないし、いなくなったらプロレス界が寂しくなる。なので上井さん!これからもお互い頑張りましょう!・・・と誉めているのか貶しているのかよくわからない感じになってしまいましたが・・・まぁ、そんな感じで。
最後に御愛読ありがとうございました。それでは! また会う日まで!
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この日記、柴田は“最終回になってもいいように”という切り口で書いたとのこと(BMLから外れる必要があると、自己判断をしたんでしょう)。
ここまでしっかりと上井さんを称えることって、スゴイ勇気のいることだと思う。村上が疑惑の可能性に触れているだけに・・・。でもですよ、柴田は自分の感性で、上井氏について書ききった。もう、どこがポイントって絞り込みづらいくらい、全ての文が熱い。
特に、リング上で上井氏に放った言葉・・・こういうのは好きだな。
たとえ“空中分解”したとしても、上井氏との絆や恩はしっかりと残る。それを糧に柴田は進んでいく。本人がそこに突き進もうとしているのだから、まわりがバックアップしなくてどうする!(誰に言ってるんだ、ボクは?)。
柴田の言葉、もう一丁!
『東京スポーツ』8月30日号より。「俺は生涯一匹狼 BML退団柴田」。
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自由を全身に感じる。肩の荷が下りた。
退団した翌21日、柴田は都内で単独会見を開いた。さまざまなしがらみがなくなった解放感からか、近寄り難い空気が完全に消えていた。それでもこれからは一人ですべてを背負わなければいけない。責任感だけはヒシヒシと伝わってきた。
柴田「新日本を退団した時、白いキャンパスに自分なりの絵を描きたいと言っていたが、それをすっかり忘れていた。やっぱり会社に属していると甘えが出る。サラリーマンみたいになっていた。今後は自分で自分のケツをふく。全部自分の責任になる。前田さんも言っていたけど、プロレスの試合で追い込もうと思ったら、いくらでも追い込める。逆に楽しようと思ったら、いくらでも楽できる。今後は自分次第」。
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BMLにはちょうど1年間在籍した。その間、スーパーバイザーの前田日明氏や船木誠勝氏との決別、新日プロ3.19両国大会で予定されていた棚橋弘至戦のドタキャン事件など、トラブルが相次いだ。上井文彦プロデューサーの一本気な性格が災いしてか、BMLは業界で孤立し、柴田はいつしか「孤高のエース」と呼ばれるようになった。それでも今回の退団に際し、会社批判は一切しなかった。
柴田「前回に新日本を辞めた時は、みんなの気持ちを代弁しようと思ったが、今思うと・・・。社長(村上和成)や上井さんには感謝している。BMLにはお世話になって育ててくれたのは事実だから。しゃべりたいことはいっぱいある。それは何年後かにムックか別冊宝島あたりで書きます(笑い)」。
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人生で最も苦労が続いた1年だった。人間的にも成長した。葛藤ばかりではない。貴重な出会いもあった。3月に戦った格闘家の門馬秀貴(門馬道場)戦は一番の思い出で、今後はタッグを組んでみたいという。船木氏は今でも良きトレーナーであり良き相談相手でもある・結果的にはたもとを分かったが、上井氏のプロレスにかける情熱を最も理解しているのも柴田だろう。
柴田「門馬戦はBMLのリングだから実現したというのがあった。今後もBMLの興行があれば出るつもり。上井さんみたいな人がこの業界からいなくなるのは寂しいし、今の時代にああいうオッサンが一人はいた方がいい。(リング外の)仕事に関してはノウハウがないんで上井さんに聞いて勉強していきたい」。
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フリー初戦となるのはこれまで2度参戦したノアだ。9.9日本武道館大会では「ソウルメイト」と呼んではばからないKENTAと組み、田上明、潮崎豪組と対戦する。フリー初陣の相手が何を考えているか分からない“黒魔術師”田上とは、嵐の船出を予感させるが、柴田は闘志満々だ。
柴田「田上選手とはずっとやりたかった。もちろん普通の田上選手じゃダメ。田上火山とやることに意義がある。秋山選手にも借りを返したいし、三沢選手とは首の状態がいい時にシングルをしたい。別に褒めているワケじゃないけど、ノアの舟はしっかりしている。そんな舟に乗ってみたい。ただオレはノアの色に染まらないし、染まったらおしまい。常連になるんだったらノアに上がる意義がなくなる。常に異質な存在でいたい。オレは生涯フリーでいくと思う」。
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フリーになっても反骨心だけは絶対に失うつもりはない。これが喧嘩屋の真骨頂だ。血わき肉踊るリングがあるなら、どこへだって駆けつける。インディだろうが、デスマッチだろうが、海外であろうが、どこでもOK。柴田に国境はない。
柴田「海外にも行ってみたい。今、面白いなって思っているところはアメリカのTNAとROH。ROHにはKENTAが出ているから、フリーになると(参戦が)現実的になってくるかもしれない。TNAは「トータル・ノンストップ・アクション」という言葉が好き。常に動き続けるアクション。共感できる部分がある。向こうに行っても日本のプロレスをしたい」。
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目前には大きな海が広がる。“生涯浪人”を決断した今、柴田は希望に胸を躍らせながら、坂本龍馬のように、大海原に飛び出す。
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「孤高のエース」って初めて聞いたよ! だけれども、どこかで柴田の言葉を待っている自分はいる。同様に、「孤高の天才」田村潔司の言葉もボクは待っている。言葉の出しすぎはいけない。
そう思えば、安易な記者会見で言葉を流しっぱなしにするよりも、専門誌・紙や携帯といった限ったメディアで発信する柴田や田村は“上手”だとも思う。それくらいのタメもある程度は必要なのだから。レスラーたるもの、言葉を待望されるくらいであれ。
柴田勝頼、生涯フリー。大海原へ!
そんな柴田に味方はいるのか。団体を超えて、この男が口を開く。
『東京スポーツ』9月3日号「待ってたぜ柴田 “魂の友”ソウルメイト来たり!!」からKENTAの言葉を。
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ノア9.9日本武道館大会で柴田勝頼と約9か月ぶりに再合体するKENTAが1日、コンビ定着を熱望した。2人は“黒魔術師”田上明、潮崎豪組と対戦する。柴田を「ソウルメイト」と公言してはばからないKENTAは、晴れてフリーとなった柴田のノア定期参戦→コンビでの米国進出をブチ上げた。
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柴田は8月20日付でビッグマウス・ラウド(BML)を退団。26歳の若さでフリー戦士となった。「再会」をあきらめていた時もあったがこれで何の支障もなくなった。
「今でもオレにとって最高のソウルメイト。ずっと組みたいと思い続けていたし、連絡も入れていた。あの年齢で月に1試合ってペースはストレスがたまっていたと思う。フリーになったことでウチにも上がりやすくなっただろうし、今後はチームを定着させれればいいっスね。武道館ではタッチ・ザ・スカイ(合体技)も決めたい」
初結成は昨年11.5武道館。いきなりGHCタッグ王者に挑戦した。12.4横浜では三沢光晴、潮崎組と対戦。チーム初白星を挙げ「さぁ、これから」という矢先にBMLの諸事情もあってか、柴田のノア参戦は中断されてしまった。だからこそ9.9武道館から大攻勢を仕掛ける。
「色々と大変だったと思うけど、電話で話したときも明るさは失われてはなかった。チームとしては一から実績を積み重ねていく。タイトルうんぬん以前に、まず武道館のお客さんを沸かせること。それができなければその場で解散してもいいし、逆に手応えが感じられれば、2人でどこでも出て行きたい。ちょうどオレは米国(定期遠征)に行ってるし、チームで米国に行くのも面白い」
この日の長野大会では大田一平を猛虎原爆固めで一蹴。ROHヘビー級王者、ブライアン・ダニエルソンへの挑戦(9.16、米国ニューヨーク州)も正式発表された。会場のマンハッタンセンターはKENTAが好きなリンキン・パークなどもライブを行っている大会場だ。
「エンターテイメントの中心地でどれだけ目の肥えたファンを沸かせられるか。タイトル以上にそれが大きな勝負ですね」。
そのうえで柴田との「ソウルメイツ」で米国再上陸を果たす。KENTAの決意は固い。
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柴田とKENTAの出会いは、新日本プロレスを柴田が辞める直前(柴田本人の記憶で、2004年11月か12月)にまで遡る。共通の知人づたいで呑み会に突入、酔った勢いで「ノアはどーなんスか!?」「新日本はどーなんスか!?」とぶっちゃけトーク。ついには「けんちゃん!」「かっちゃん!」と言い合いながらの、上半身裸で逆水平合戦。テキーラのボトルは3本空いた。(携帯サイト、バックナンバーから)
感性が合うことを確認した後、お互いの試合をチェック。ファイトスタイルや主張で合致。
柴田をタッグパートナーに据えるのは、自分にある程度の自信がないとできないことでもある。KENTAへのまわりの期待も高まるチョイスを、KENTA自身がしたってこと。
分裂は“終わり”じゃなくて、次への“ステップ”。柴田にはKENTAという味方がいる!
ときには傷つくことだってあるさ。
ときにはあきらめそうになるさ。
ただ、大きな可能性につながる道筋をレスラーに対して求め続けていくのが、ファンの我がままであると同時に、やるべきことなんじゃないか。
いや、そんなファンでありたい。そう思うのだ。
■□T.SAKAi
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