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2006.11.25

小川直也の失言と、1億円の演出費・・・ハッスルよどこへ行く?

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2005年11月。第1回ハッスル・マニアは強い衝撃で、新ジャンルの誕生を予感させた。あれから1年、ハッスル・マニアが横浜アリーナに還って来た。いったい、何が起きた・・・

                * * *

 速報におつきあいいただき、ありがとうございました。
・ カクトウログ: 11・23ハッスル・マニア2006横浜アリーナ、速報観戦記まとめ

 ビッグマッチゆえにアクセスは盛り上がると思ったが、新日本プロレスほどじゃなかった。主催者が公式サイトの方で速報をやってましたからね。

 いや、それだけじゃない。ハッスルに対する求心力も落ちているような気がしてならない。それほどに、残念ながら当日の会場は“白けた”空気が漂い続けていた。

 一夜明けの報道。「東京スポーツ」紙(紙面写真のみ紹介)。
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 「日刊スポーツ」では・・・。
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・ アイドル海川ひとみ失神/ハッスル [ニッカン 24日09:25]
・ 笑い、涙、サプライズも/ハッスル [ニッカン 24日09:25]
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・ 薄暗い照明の中「ゴー」という風が流れるような、音が鳴り響く。赤い目で、一切感情を表に出さない、高田総統の戦う化身エスペランサーのおどろおどろしい雰囲気が会場を支配した。手を拳銃のようにかざすアルティメット・ビターンで、入場口の柱が爆発音とともに、火を上げて壊れた。HGがピンチに陥ると、ニューリン様がオカリナのメロディーに乗って登場。これをエスペランサーが撃ち抜き、ニューリン様の右胸は爆発、煙が出た。エスペランサーがHGを軽々とフォールすると、会場の盛り上がりは頂点を迎えた。
・ 肉体をぶつけ合うだけではなく、会場全体を巻き込んだ。火薬を使った特殊効果など演出費は1億円に達した。プロの演出家が、米国ラスベガスのショーを参考にミュージカル仕立てにした。小川は「新しい形を模索し続けるのがハッスル。これが21世紀のプロレス」と胸を張った。史上初のパブリックビューイングも開催。プロレスの新たな形はすっかり定着した。

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 何を言ってるんだ、小川! あれだけふがいないキャプテンぶりを大観衆の前で詫びていたのに、その“演出”に胸を張るだなんて。

 ニッカンの書き方は過剰と言わざるを得ない。盛り上がりに欠けた試合がずっと続き、やっと鈴木みのる、ニューリン様でいい流れになってきた。ところが、メインが不完全燃焼で興行としては“コケた”格好となった。

 1年前のハッスル・マニアには、“芸能人がプロレスをやる”というサプライズがあった。6月のハッスル・エイドには、“高田が予告なく復活”というサプライズがあった。その先が期待された今回のハッスル・マニアであったが、そこにあったのはエスペランサーが演出に“逃げた”姿。これでは観客にはフラストレーションがたまる。

 逃げるのに使った費用が1億円と聞かされると、なんともいえない気持ちになる。

 逆風だったことは百も承知だ。一時期は上昇気流にあったのに、フジテレビとDSEが絶縁。地上波放映の芽が断たれ、芸能人参戦もワイドショーに取り上げられることがなくなった。その中でスタッフが一丸となって、ストーリーをつないでいった。努力の結晶がハッスル・エイドにはあったと思うし、地上波(ワイドショー)なしでも観客を揺さぶったハッスルにはさらなる期待を抱いた。

 何が足りなかったのか。元週刊ゴング編集長の小佐野氏はこう書き記している。
・ ハッスル・マニア@maikai 小佐野景浩
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 去年のハッスルマニアは和泉元彌、HG、インリンを投入することで世間的にも話題になった。実際に彼らはパフォーマーとして一流のところを見せたし、私自身は芸能人を“客寄せパンダ”にすることで、どうあれ一般の人たちの目をプロレスに向けさせ、その上でクォリティーの高いプロレスによってファンにしてしまえばいいと思っていたから、ハッスルの手法をよしとしていた。
 だが、1年経ったら、主役は芸能人でプロレスラーは脇役。当然、芸能人のプロレスには限界があるから、試合も演出頼りになってしまう。リング外のストーリー・ラインはどんなに面白おかしくても構わない。でも、リング上だけは実の部分があってほしい。“闘い”があってほしい。
 ハッスルはファイティング・オペラと称しているが、昨日のハッスル・マニアはソープ・オペラの部分だけでファイトがなかった。そこに“闘い”がなかったと思う。

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 いつまでも“芸能人”に頼るべからず。ただ、けっきょくこの1年、芸能人を上回るファイトをするプロレスラーが出てこなかった。そこに旧来ファン・関係者の誤算とジレンマがあるのではないか。

 もともと芸能人をリングに上げるハッスルは、プロレスとしては破綻している。たとえば、業界でいちばん硬派な前田は1992年にこのように言っている。(岡山での学園祭講演会)
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◆司会(T.SAKAi) いまプロレス団体が増えてまして、こういう状態は・・・よく演劇(の劇団)みたいになっているんじゃないかと。
●前田 でも、リングっていうのは言葉喋るところじゃないんですよね。からだ動かすところでね。言葉喋るんだったら、舞台に立てばいいだけであってね。あそこ(リング)は、観客の肌身に伝えていくところでね。ケガするかもしれない、死ぬかもしれないという気持ちでね。

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 さいきんの発言では、こうだ。
・ カクトウログ: 前田さん、ハッスルは是ですか?
【週刊 前田日明】

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Q.前田さんの中でハッスルは是ですか? エンターテイメントは奥が深いと思いますが、ハッスルのエンタメ路線はいかが思いですか?
A.ハッスルは、別にレスラーがやる必要はないと思うんですよね。今までいろんなレスラーが出て、観客動員に結びつかなかったのが、和泉元彌やハードゲイのお兄ちゃんとか、お笑いの人や芸能人で固めてやってからだけのことでね。誰でもできることなので、レスラーが何のためにやるのか分からないですね。
自分がハッスルのプロデューサーだったらもうレスラーは使わないし、もっと良い企画があると思うんですけどね。正直、レスラーとプロレス業界がかかわる意味が分かりませんね。あれだったら正直レスラーがやる必要もないですね。脚本を書いてる、プロデューサーの紙のプロレスの山口がレスラーを使って儲けしようと思ってるんじゃないですかね。うまく考えましたね、あの小僧。

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 こういったスタンスから頑なまでに離れないのが、プロレス関係者やプロレスファンである。ボクだって、読者から「ハッスルをカクトウログで取り上げたことがショックだった」という声も聞いた。

 だけれども。

 これだけ一流のプロレスラーが次々と参加してつくろうとしている、応援したい。

 DSEという企業がバックにあり、推進してくれる。プロレス復興のひとつの可能性かもしれない。

 そう思っているわけだ。

 いや、それもキレイごとかもしれない。

 はっきり言って、ハッスルには常識を超えたバカバカしさと感動がある。

 なんでタマゴを生んで、そこから生まれるのが誰か考えないといけないのか。空中元彌チョップが何なのか見届けないといけないのか。PWが効くのか。

 と思ったら、“高田”がヒクソン・グレイシー戦を彷彿させる花道入場をみせる。ハイキックを放つ。小川直也は自身の行き詰まりを、高田総統にリアルに指摘される。

 腹をかかえて笑わせてくれる。なんだかホロリとさせられる。つい報道を追いかけてしまう。“感情”が“理論”を超えていく。主催者との知恵比べに、ハマっていく。

 きっとね、プロレスファンが積み上げてきた理論を、ハッスルが理論で超えていくことはないんだと思う。でも、喜怒哀楽で超えようとしているんだよ。強引過ぎるくらいに揺さぶって、これまでこだわってきたことを忘れさせるくらいに。

 今回はビターンにこだわらず、エスペランサーは“試合”をすべきだった(この点は小佐野氏の見解と同じ)。あるいは、途中でHGを戦闘不能に追い込んだエスペランサーが、その場で小川を指名して2戦目開始とか。

 そこにサプライズする空間に身を置きたかった。それがファンの気持ちでしょう。なのに、オカリナに苦しむという想定内以上のものを見せられず、“高田”は演出頼みでリングを去った。ニューリン様、HGはかなり頑張ったのに。

 エイドでは、実は小島聡がゲスト参戦していた。あのときは、エスペランサー登場の衝撃が全部をさらっていった(小島は本当に記憶に残らなかった)。今回のマニアでは、逆に「あー、鈴木みのるの試合がなかったらヤバかったね」というカンジ。小池栄子さんのサプライズも印象深い。

 今回のハッスル・マニアは、観客を没頭させるレベルが低かった・・・。

 ボクは“試合”だけにこだわれなんて野暮なことは言わない。サイドストーリー込みでかまわない。もっと揺さぶって、僕たちが守ってきたプロレスの常識とやらを忘れさせてくれよ。あれっ、つまんないことにこだわってきたんじゃないの、こっちの方が面白いじゃん。そう思わせてくれよ。そう、“試合”じゃないんだから、もっと確実に観客を揺さぶれなきゃおかしいでしょ。オペラに感動できない結末を用意しても仕方がないんだから。

 ハッスルのリベンジを期待する。

■□T.SAKAi
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