PRIDE身売り騒動の真相、その解説
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PRIDEは窮地にありながら、身売りについてはDSE榊原信行代表が否定。されど、買収のニセ情報は流れ続ける。何が本当で、何が間違いか。なぜニセ情報が流れるのか・・・
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日本発の総合格闘技、PRIDE。その質たるや、世界一であることは間違いない。二度のラスベガス大会も大成功となった、それだけのコンテンツがPRIDEにはある。だけれども、フジテレビが昨年放映を中止。代替局も決まらず、海外での提携等も具体化しない。PRIDE存続を願うファンにとっては、危機感があることだろう。
格闘技系のニュースがファンによって書き込まれるブログ形式のサイトでは、こちらが有名。
・ 総合格闘技ニュースブログ NHBnews PRO
ここで最近よく話題になるのが、「PRIDE買収」に関するもの。様々な噂が書き込まれるが、デマであろうとなかろうと書き込まれるのが特徴だ。
そこで、検証。何が本当で、何が間違いか。なぜニセ情報が流れるのか。
検証の出発点となるのは、こちらの電子書籍宣伝用に公開されている一文。
・ EliteXCがPRIDEからの提案を却下、HERO'Sと提携交渉へ (ファイト!ミルホンネット お知らせ)
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米国大手プレミアム・ケーブル放送局SHOWTIMEの巨額資本を背景に、ブームが加熱する総合格闘技市場に参入した新興プロモーションのEliteXC(エリート・エクストリーム・コンバット)が、2007年の日本の格闘技界を席捲するのは確実と見られている。PRIDEからの打診を却下してK-1陣営のHERO'Sと提携を模索していることが、運営会社ProEliteの関係者により明らかになった。
現在インターネットによる無料の格闘技関連サイトは、日米ともにプロのライターが情報を流さなくなったことで、デタラメな偽情報ばかりが氾濫、信頼度が著しく低下して死滅状態にある。ファンが主催するある米国のサイトでは、「UFCが邦貨にして75億円でPRIDEを買収した」という、明らかなインチキが流布されるなど、その混乱ぶりは目に余りある状態にあるようだ。
弊社による新刊本「PRIDE身売り騒動の真相」にその経緯と理由が詳細されているように、PRIDEが米国資本に買収されることはありえない。また、榊原社長がマスコミ向けに繰り返し答弁しているように、「PRIDEは売りに出していない」のだから、米国資本が「売らない」と公言しているものに、手を出すことはないだろう。
今回の騒動は、インターネットを使った情報戦であり、英語の格闘技サイトはUFCからお金を受け取って書き込む工作員と、PRIDE米国事務所の工作員による局地戦争の様相を呈している。もちろん、無料のインターネット媒体に真実が明かされることはない。踊らされている末端の信者たちが、置いてきぼりにされている格好になる。唯一、DSE取締役会で決定したのは「ハッスル」の離別に他ならない。
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そして、こちらが電子書籍となっている長編ルポタージュである。
・ PRIDE身売り騒動の真相 [tanakatada011.krm] - 315円 : 武道・プロレス・格闘技 ファイト!ミルホンネット
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・ UFCによるPRIDE買収説は、プロレス流の因縁の抗争作りに成功し、未曾有の大躍進を遂げたズッファ社の拡大戦略を背景に広まった。実際UFCは、バス・ルッテン、クイントン"ランペイジ"ジャクソンらを擁してPPV旗揚げ大会を開催したものの、継続不能状態にあったWFAを選手契約ごと買収している。しかし、買収説なるものがプロパガンダとしてネット上を徘徊する頃には、UFCがDSEを引き受ける理由は消えていた。ミルコ・クロコップの獲得に続いて、ノゲイラ兄弟やジョシュ・バーネットの去就に注目していただきたい。
・ DSEはすでに10億円の債務超過にあるとさやかれているが、巨大ブランドであるかのごとく振舞うことで自転車操業を続けている。
・ UFC、ボードッグ、SHOWTIMEと、軍資金は豊富のようである。ただし、スター選手の離脱が止まらないエンタテインメント会社の資産価値は、最後はブランドが生むのれん代と映像ライブラリーの価値だけだ。榊原代表は「1200億円でも売らない」と強気のコメントを発しているが、彼にしてみれば、米国代表のフィッシュマンに「身売りしたら、お前の面倒はベガスで見てやる。こちらのホテル&カジノ経営を教えてやる」などと、プロパガンダのネタにされてしまったのはさぞかし悔しかったに違いない。
・ DSEの結論は、「売りたくても売れない」だ。なぜか? それはPRIDE、そしてハッスルが、名称権などあらゆる原契約を、榊原社長個人が押さえてしまったことにある。
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ミルホンネットには、かなり情報がぎっしりと詰まっている。実話系雑誌のようにページ数が限られるわけではないし、筆者のダイレクトな指摘が編集部によって差し障りない表現に書き換えられる、なんてこともない。ただ、ボクのようなプロレスファンで“格闘技のこともちょっと知りたい”ファンにとっては、ミルホンは難度が高い。
なので、ここでは、自分用整理をかねて行間を読んでいきたいと思う。当サイト読者の方にとっても、何か参考になると思います。
こちら3つのポイントを整理する。
(1)なぜ、PRIDE買収説が流れるのか
(2)なぜ、米国資本はPRIDEを買収しないのか
(3)なぜ、榊原信行氏はPRIDEを売りに出さないのか
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これについては、「今回の騒動は、インターネットを使った情報戦であり、英語の格闘技サイトはUFCからお金を受け取って書き込む工作員と、PRIDE米国事務所の工作員による局地戦争の様相を呈している」とある。
UFC側にとって、PRIDE買収説を流す目的は何だろう。「プロレス流の因縁の抗争作り」とあるが、抗争作りによって、UFCそのものに対する愛着を強化することはできるだろう。と同時に、UFCはアピールすることができる。『UFCは格上だから、PRIDEを買うこともできる。もの凄くたくさんの金を出すこともできるんだよ』と。
DSE側にとって、PRIDE買収説を流す目的は何だろう。これは駆け引きだと考えられる。DSEにとっては、“母国”である日本の有力企業に買収される、もしくは提携することが最善策。そのためには『UFCに買われるかもしれない』という噂を流して、『できればUFCなどよりもPRIDEのよさがわかっているあなたの会社に提携してもらいたい』とアピールしたいのだ。
買収金額についても、噂となる金額が高くなるほど、UFCにとっては“格上”のアピールになるし、DSEにとっても“釣り上げ”になる。だから、お互いに噂を強く否定する必要がない。むしろ否定しないほうが有益となる。噂に振り回されるのは、ていねいに情報を海外から拾ったファン、という構図なんである。
「UFCが邦貨にして75億円でPRIDEを買収した」という噂は、「EliteXCが、PRIDEからの打診を却下してK-1陣営のHERO'Sと提携を模索している」とぶつけるように発信された。これも、DSEサイドとしては“漁夫の利”を得んとするK-1に肩を並べたかったんでしょう。“肩を並べた”ことをアピールして、“ウチは安全ですよ、提携しませんか”とどこかに呼びかけたかった?
こんな駆け引きは日本では考えにくいが、背に腹は変えられず、巨額が動くとしたら仕掛けにいくのはありえる話だ。しかも、ネットに噂を書くのはまったく罪にならない(名誉毀損などに当たらなければ)のだから。
ひとつは、記事に「それはPRIDE、そしてハッスルが、名称権などあらゆる原契約を、榊原社長個人が押さえてしまったことにある」とある。フジテレビ同様に、榊原氏と組むことで生じるかもしれない日本でのトラブルを回避したいため、米国資本はPRIDEを買収しないということ。エド・フィッシュマン米国代表による「身売りしたら、お前の面倒はベガスで見てやる。こちらのホテル&カジノ経営を教えてやる」という発言は生々しくも思えてくる。
もうひとつは、買収する必要がないこと。主力選手を引き抜けば済む話で、実際にUFCはミルコ・クロコップは抜いた。ひょっとしたら、イチからPRIDEをつくるくらいのお金があるんである。
生き残るために、他の資本と組みたいということは、当然榊原氏は考えている。ただ、氏は「自分の子供は売れない」という発言(米国記者会見)もあった。『完全買収』ではなく『資本提携』というラインで模索しているんでしょう。EliteXCやボードッグと資本提携できれば、いちばんいい。
「あらゆる原契約を、榊原社長個人が押さえてしまった」というほどに、榊原氏はPRIDEと自身を一心同体で考えている。だからこそのこだわりはある。「自分の思い通りにできない」契約にはしないのではなかろうか。
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読み取れるのは以上となる。
実際に、最新の情報によると、フィッシュマン代表はむしろ、DSEに契約不履行の訴訟を提起したという。
・ 悪女の嫁入り大騒動 - おまえらの好きにはさせねえ!
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・ 訴状によると、DSEとフィッシュマン側は3年契約を結んでおり、フィッシュマン側に最大2年延長のオプション権があるそうです。フィッシュマン側が提供するコンサルティングやマーケティングに対する年間報酬額は20万ドル、そのほかに米国大会の入場料収入の1割を支払うという内容だったと言うことです。
・ 訴状では、実際には、初年度報酬しか支払われなかったということです。
・ 請求金額は明らかにされていませんが、MMA Weekly, Sherdogともに、1000万ドル(約12億円)に上るのではないかとはじいています。
・ またフィッシュマンは、デュー・ディリジェンス(※詳細調査)の結果、自分はもはやDSE買収には興味が無くなったと語っています。
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PRIDE買収?・・・噂が何度も流れると、「今度の噂は本当ではないか」とつい注目してしまう。それがボクらに染み付いた習慣だ。しかし、噂は何らかの意図があって流されるということ。なんだか東スポなんてかわいらしいとも思えてくる(笑)。そこに振り回されないためには、今回のような有料書籍も含めて、自分で行間を読みながら判断していくことが必要となる。そのための重要なヒントをミルホンネットは与えてくれる存在になろうとしている。
ボクも今回の話を検証していく際に、コンビニで立ち読みできる実話系コミックスも読んだ(買いました)が、逆に振り回された(この原稿を書くまで時間がかかった)。実話系の雑誌にも、虚実がまじっている。タダシ☆タナカ氏がしきりにミルホンネットの「PRIDE身売り騒動の真相」を薦めているのは、ネットだけではなく雑誌にもインチキなもの・事実をわかりにくくしているものが増えているってことを言いたいんでしょうね。
もちろん、それらを読む・読まないはボクらの自由なんですが。
二度目のラスベガス大会。PRIDEが使った“SECOND COMING”には、実は“キリストの再降臨”という意味がある。興行の面白さは神がかり的だった。されど、PRIDEの本音は、「経営の点でも、神よ降りてきてくれ!」だったのかもしれない。PRIDEは追い込まれている。
※最新情報3/24 11:05更新
・ カクトウログ: 公開記者会見とは「地上波(フジテレビ)復活を目指すための新会社の設立発表」/PRIDE
■□T.SAKAi
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