芯の詰まったプロレスラーたち/石澤常光から柴田勝頼へ
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1週間前の金曜更新分、携帯サイト「kamiproHand」にて、鈴木みのるvs武藤敬司3冠戦のレポート。元ゴングの金沢克彦氏が記していた。題して、「14年前にカシンが予言した一言とは?」。
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93年の暮れから94年初にかけて、1人のレスラーが人生の進路について悩み、葛藤していた。石澤常光(のちにケンドー・カシン)である。93年7月、『藤原組』のリングで藤原喜明相手に打撃なしのシュートマッチを行った石澤はますます、そちらの世界を意識するようになった。本人の中ではパンクラス移籍の意志が固まりつつあったものの、「そこで食っていけるのか!?」の長州現場監督の一言に結局、新日本に踏みとどまった。
そのとき新宿の居酒屋で石澤は私にこう言ったのだ。「レスラーは強くなきゃいけないんじゃないですか? じゃあ、ウチのトップと言われている人たちの中で、鈴木みのるにスパーリングで勝てる人っていますか?」。無論、当時の野毛道場で、スパーリング最強の男は元アマレス全日本王者の石澤だった。あの頃は、本当に真っすぐな若者だったのだ。そこで私が「ウーン、武藤敬司ならどう?」と振ってみると、石澤はオッという顔をして、「ウン、武藤さんなら互角かな」とポツリ。その瞬間からだった。私の中で、武藤vs鈴木は自分勝手な黄金カードに成り上がっていったのである。
(中略)
武藤夫人の久江さん「武藤が負けちゃいましたけど、本当にいい試合でしたね。全日本なのに新日本みたいな感じがしました。やっぱりルーツは一緒なんですね」。
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レポートとして試合を描いた部分(そこも実に秀逸だった。みのるがカール・ゴッチから直接学んだドラゴンスクリューは武藤よりも年季が入ってるとか)よりも、この前後が記憶に残った。直前に柴田勝頼のHERO’S参戦が決定し、石澤常光の名前も出ていたことで余計に印象として強くなったのだ。
石澤による「互角かな」という14年前の予言が炸裂した3冠戦・・・そんな視点でレポートが書けるのは金沢さんくらいのものだろう。試合の意味合いを正しく理解し、選手と突っ込んだ付き合いを重ねてきたからこそのエピソードを多く持っている。
改めて、プロレスラーの強さって何だ? スパーリングでの強さがあればいいんだろうか。否。プロレスラーとは、観客に伝わる強さを備えなければならない。みのるがなぜ3冠王者になれたのか? 小島聡や武藤敬司の強さを極限まで引き出し、表現させる、その上で、自身の強さを見せつけることができるようになったからだ。みのるが3冠王者を防衛し続けるということは、みのると武藤に共通するプロレス像として、現状のところ「スパーリングで実際に強く、リング上でも強さを表現できることが本当の“強さ”」というプロレスの定義にたどり着いたということ。ボクはそう思っている。
その典型的なスターレスラーがアントニオ猪木だったということも、ボクらは知っている。アントニオ猪木がかつて創設した団体を「新日本プロレス」と言う。
新日本プロレスで役員も務めた経験がある上井ニ三彦プロデューサー(上井ステーション)は、7/12発売分「東京スポーツ」(東スポ)紙で、コラム「マット界の暴走仕掛け人 土下座外交録」にこんなエピソードを書いた。
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16日にはHERO’Sも開催され、柴田勝頼選手の勇姿が久々に見られます。BML時代に船木さんと柴田選手の2人が東京は桜新町の「すし処 しま田」で、天龍さんと会食したときのお話をしましょう。BML徳島大会の前だったので、2005年以降のことだったと思います。
なぜ船木さんが天龍さんと会食したのか。それは私の頭の中に「船木さんのレスラー復帰が実現した場合、対戦相手はぜひ天龍さんで」という思惑があったからです。
天龍「最近のマスコミの連中も全くわかってないよね。『柴田は対戦相手に恵まれてますよね。だから柴田の試合は良い試合が多いんですよ』ってオレに言うから、思わずこう言ってやったよ。『おまえらいったい何見てんだ! 仮にオレが川田とやっても、いい試合ができるかどうか分からないよ。それなのに柴田は、オレとやっても川田とやっても好試合になる。まして武蔵や長州とだってそういう試合ができた。ということは柴田がすごいってことなのよ』って。だから上井さん、柴田だけは大事に育てなさいよ」
さらにこの天龍さんが船木さんに語りかけた次の言葉が忘れられません。
「船木、必ずプロレスラーとしてもう1回復帰してくれよ。今、プロレス界が大変な時だから、そっちの力で何とかしてくれよ。オレはな、プロレスラーとしては見せかけだけの大木で、中が空洞なんだ。そっちはしっかり芯が詰まってるだろ。だから、柴田もしっかり芯が詰まったレスラーにしてやってくれよ! 頼むよ!」
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天龍源一郎だって、相撲出身の芯が詰まったレスラーには違いない。なのに自身を“中が空洞”だと言い切る懐の広さ。この言葉の解釈はいろいろできるんだろうが、新日本プロレスでデビューして、UWFからパンクラスで総合格闘技への移行プロセスを歩んだ船木に期待した点はあったということではないか。
それぞれのコラムで中心人物となった石澤と柴田。そして、石澤はかつてグレイシーと交わり、柴田はグレイシーともうすぐ交わろうとしている。
プロレスラーはつい、いろんな面で強くなろうとする。まったく合理的な世界ではないが、そこで葛藤して上達していくプロレスラーたち。それを観ていくのが、プロレスファンは大好きだ。ぶざまな負けを観てしまって、選手をその場で責めたとしても、また許して応援したくなる。不器用な生き方を貫いているプロレスラーたちを好きになってしまったボクらがいる。
いろんな強さを備えているプロレスラーが、いまナメられている。柴田勝頼の総合格闘技へのチャレンジは、「スパーリングでプロレスラーが強いってところも見せてやるぜ」ってところも多分にあるに違いない。
・ OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦~(HERO'S公式)
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HERO‘S2007~ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦~
7月16日(月・祝)横浜アリーナ 16:00
▼スーパーファイト/1R・10分、2R・5分
ハレック・グレイシー(ブラジル)
vs
柴田勝頼(日本/ARMS)
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芯が詰まったプロレスラーに踏み出せるか。柴田勝頼、グレイシー戦まであと3日。■□















































