鈴木みのる、全日本制圧でみせたもの/横浜感想
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正直、ピンと来なかった。何がかというと、みのるが武藤との試合が決まるやいなや「武藤敬司vs高田延彦」を引き合いに出してきたことにだ。既存プロレスvsUWFなんて・・・
・ 7・1横浜結果<カクトウログ速報/スポーツナビ速報>
・ 全日本を完全制圧したことで次期挑戦者はフリーの大物選手確実。3冠戦では鈴木と未対決の佐々木健介が8月26日両国最有力候補(デイリー)
・ 三冠王者・みのるが一夜明け会見で爆発「馳にトドメをさす」/“パシリ”武藤には「海外の強豪選手を連れて来い!」
(スポーツナビ)
・ “オワリ”とは“ハジマリ”のコト。新しい闘いが…すぐに始まる。(鈴木みのるブログ)
* * *
武藤敬司を相手に三冠ヘビー級タイトル防衛。試合では衝撃の金髪(白髪? 銀髪?)をみせた鈴木みのるは、さっそく黒髪に戻して一夜明け会見。
佐々木健介? ミル・マスカラス? ハルク・ホーガン? 馳浩? いよいよ全日本所属選手には対戦相手がいなくなった。
近年のプロレス界は、プロレス団体がいかにフリーレスラーと付き合うかが団体の浮沈を大きく握る。盟主と化したノアも、初期で高山善廣が王者になったことが団体のリアルさを浮き彫りにしたんだとボクは思っている(柴田勝頼を受け止められなかったのは後退だったが)。一方で、フリー選手や外敵をワンポイントでしか使いこなせなくなった新日本は、どうしても“強さ”から遠ざかってしまった。
そんな中で、武藤敬司・全日本プロレスは踏み出した。フリーレスラー鈴木みのるに「強さを軸としたプロレス、やり切ってみろ」とでも言いたいがごとく、表舞台に引っ張り出した。
以前にも書いたように、みのるの試合はドッカンドッカンとは沸かない。より過激な攻防をみせることを“安易”だととらえ、技の組み立てによる“納得感”を生もうとしている。「オレが表現するのは、トップロープから飛び降りる非日常ではない。階段を一段踏み外すという非日常、それだってじゅうぶんな恐怖なんだ」。
みのるが三冠王者になってから、なんどプロレスへのコダワリを聞いた(読んだ)ことだろう。どれほどまでに、多様な団体に出撃するみのるを見せられたことだろう。みのるはプロレスを楽しみ、プロレスラーへとどんどん変貌を遂げていった。必ずしも名勝負とはならないことで非難も多少浴びたが、試合の中に闘いを織り込もうとする姿勢は興味を引きつけて離さない。
正直、ピンと来なかった。何がかというと、みのるが武藤との試合が決まるやいなや「武藤敬司vs高田延彦」を引き合いに出してきたことにだ。既存プロレスvsUWFなんてとっくに乗り越えたところに武藤もみのるも生きていると思っていた。ネタづくりとして唐突すぎるんじゃないの?
ところが!
会場に「風になれ」が流れ、みのるが場内に現れる。えっ、白いトランクスと白いシューズ。いやがおうにも、新生UWFでのモーリス・スミス戦(東京ドーム大会、みのるのKO負け)を彷彿させた。白いタオルを取ると頭も白い(金髪)! これはもう、あらゆる意味で“死”を意味しているようにしか思えなかった。
UWFをそういったカタチで背負うのか、みのる!
みのるは負けるのか!
武藤はここ一番でみせるヒザ攻撃のフルコース。みのるはスリーパー地獄に持ち込むも、逆落としやゴッチ式パイル、卍固めまで尽きた。見えない、みのるの勝ちが見えない。
されど、この手があったか。UWFが分裂してできたパンクラスで最初に(負傷者続出で)“禁じ手”となったヒール・ホールド炸裂! 武藤の弱点であるヒザを攻めるそぶりがなかったのに、ここ一番で飛び出したことに異常なインパクトがあった。多くの観客にとって、この技の歴史はわからなかったかもしれない。わからない観客からすれば、違った意味で恐怖に映ったことだろう。(ただし、みのる本人は「新日本での新弟子時代に真っ先に身に付けたカカト固めだった」という言い方をしている)
“死”を予感させておいて、逆に“死”んだ技で勝利をつかむ。UWF系の裏技を持ち出して、鈴木みのる見事に勝利。気が付いてみれば、みのるはUWFという記憶の中の「ドラスク→4の字固め」以上の深いところをえぐり出していた。勝負あった!
みのるの強さが引き出されたのは、相手が武藤だったからでもある。おいおい、オマエのスタイルにつきやってやるぜ。闘いを織り込むプロレスでもオレは第一人者なんだから。チャンカンではドッカンドッカンさせたけど、オレはこっちもやれるんだぜ。覚えてるだろ? 高田との東京ドーム2連戦を。
かくして、闘いを織り込むプロレス、固め技重視のプロレスで走りきったのに、会場は沸きっぱなし。みのるプロレスを、グイッとグレードを上げて開花させた武藤の技量には舌を巻く。(しかも、半月前に‘化身’がインリン様と闘ったばかりという幅広さ)
みのるvs武藤には、高田vs武藤以上の緻密な攻防と、高田vs武藤に匹敵する盛り上がりがあった。IGFもよかったけれど、こっちの方が何倍も熱くなれたよ。だって、期待させておいての期待以上なんだから。
みのるのここ1年のトライアルに惹きつけられているボクは、みのるに声援を送った。高田vs武藤では武藤に声援を送っていたんだけれども・・・応援していた選手に勝ってほしいと声援を送る“熱さ”はあのときと同じ!
「高田vs武藤」という例えは、単なる図式じゃなかった。グレードの問題だったのか・・・。みのるvs武藤の闘いに「東京ドーム級」がはっきりとみえたんである。
もうひとつ言うと、8月の両国。もう1回、武藤敬司が挑戦でもいいんじゃないか。そう思っている。
■□T.SAKAi
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