“前高山”について口を閉ざした前田日明~論語シンポジウムをレポート【週刊 前田日明】
前田日明が足りない世の中に、とことん前田日明を発信してみる。毎週日曜日は、前田日明関連の動きをできる限りカクトウログが追う「週刊 前田日明」の日です。連載第70回のラインナップ▼“前高山”について口を閉ざした前田日明・・・[記事全文]

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情報をキャッチしていながら、最新1週間(月曜から土曜まで)で取り上げなかった前田日明の話題、あれば翌週送りせず日曜にまとめる。あと、1週間で取り上げた前田関連記事、主要記事リンクも再集約しておくことにします。
(週刊前田日明バックナンバー →「週刊前田日明」参照)
この連載を毎週見ておけば前田関連の動きは逃さない!
理想はそこですが、どうなるか。
1日遅れましたが(しかも不定期ですが)、いきましょう!
▼▼▼ W E E K L Y A K I R A ▼▼▼
格闘家の前田日明(株式会社リングスCEO)が29日(土)、二松学舎大学・中洲記念講堂での 「現代に活きる『論語』」シンポジウムに登場。「特別対談」の部に招かれて、熱弁を振るった。
こちら(午前)に参加してきました。
=シンポジウム概要(要予約・無料)=
日時 平成20(2008)年11月29日(土)10:00~16:45
場所 二松学舎大学 中洲記念講堂
テーマ 「現代に活きる『論語』」
■特別対談/10:15~11:45
前田日明(株式会社リングスCEO)
「自分になる為の『論語』」
◎対談者:白井雅彦(二松学舎大学非常勤講師)
◎進行:竹下悦子(二松学舎大学教授)
■報告1/13:00~14:00
弓巾和順(北海道大学大学院文学研究科教授)
「中国思想と『論語』解釈」
◎司会:田中正樹(二松学舎大学教授)
■報告2/14:15~15:15
浅野進太(二松学舎大学附属高等学校教諭)
「人間学としての『論語』に学ぶ」
◎司会:椎木伸治(二松学舎大学附属沼南高等学校副校長)
■報告3/15:30~16:30
溝本(安岡)定子
(文京区「文の京(ふみのみやこ)こども論語塾」講師)
「こどもと楽しむ『論語』」
◎司会:三樹敏(株式会社明治書院代表取締役社長)
冒頭では学長があいさつ。論語シンポジウムの開催が4年目であること、今年は例年以上の参加者があって中洲記念講堂が手狭に感じられることを、その中で触れた。人気者・前田が"論語愛好者"以外の集客をもたらしたということなんだろう。
二松学舎大学教授・竹下悦子氏が説明をする。混乱の現代。「今こそ、『論語』という古典の“正義”と“徳”が求められる」のだと。
・ 論語 - Wikipedia
なぜ、前田に白羽の矢が立ったのか? 人選の会議の際に、若いスタッフから「『闘う為の論語』というCDを出した、前田日明という格闘家がいます」という声が出た。それがきっかけで、リングスの事務所に足を運ぶ。前田と実に4時間以上の話が盛り上がり、実行までの流れとなったという。
対談者は、二松学舎大学非常勤講師でありプロレスファン・前田ファンの白井雅彦氏が務めた。気になったやり取りを中心に紹介しておきたい。
(以下、論語はネットで検索できたものを使っています。問題ありましたらご指摘を)
■為政第二
子曰、
吾十有五而志于学、
三十而立、
四十而不惑、
五十而知天命、
六十而耳順、
七十而従心所欲、不踰矩。
子曰く、
吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳従う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。
孔子が云う、
「私は十五才で(学問の道に入ろうと)決めた。
三十才で(学問に対する自分なりの基礎)を確立した。
四十才で戸惑うことがなくなった。
五十才で天命を悟った。
六十で何を聞いても動じなくなった。
七十になってからは、心のおもむくままに行動しても、道理に違うことがなくなった」と。
まずは、この有名な一節を用いて、前田の人生との照らし合わせが解説される。
29歳で第二次UWFを設立して「三十にして立つ」。
「四十にして惑わず」40歳のとき“人類最強の男”アレキサンダー・カレリン戦で現役引退。
49歳でアウトサイダーを設立して「天命を悟った」。
そんな解説をする白井氏の手には、前田が29歳のときに著した『パワー・オブ・ドリーム』(角川文庫)が握られている。この本の中で前田が「おじいさん」を語るくだりに儒教の思想があらわれていると解説。
この白井氏、イベント中に前田の試合が写っている『週刊プロレス』を持参。その週プロを指差ししつつ、「最前列に自分が写ってるんですよ」と。いやはや、けっこうなマニアだ。
■學而第一
子曰、學而時習之、不亦説乎、
有朋自遠方来、不亦楽乎、
人不知而不慍、不亦君子乎、
子の曰<(のたま)>わく、学びて時にこれを習う、亦<(ま)>た説<(よろこ)>ばしからずや、朋<(とも)>あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずして慍<(うら)>みず、亦た君子ならずや。
先生がいわれた、「学んでは適当な時期におさらいする、いかにも心嬉しいことだね。[そのたびに理解が深まって向上していくのだから。]だれか友だちが遠いところから訪ねてくる、いかにも楽しいことだね。[同じ道について語りあえるから。]人がわかってくれなくても気にかけない、いかにも君子だね。[凡人にはできないことだから。]」
白井 「朋(とも)あり、遠方より来たる」はまさに前田さんにとって、アレキサンダー・カレリン(ロシア)、ウラジミール・パコージン(ロシア)、クリス・ドールマン(オランダ)ではなかったかと思うんですが、いかがでしたか。
前田 (引退試合の相手)カレリンとは(試合)ギリギリ直前まで、できるかできないかでバタバタした。(ロシアの)冷たい気候風土から、冷たく感じる人が多いと思うんです。でも、彼らは“東洋人”なんですね。「友情」を熱く語るんです。自分が父の膝の上で聞いたような懐かしい気持ちになる。
(ペレストロイカ体制でロシア人を助けてくれた恩人が前田だと、パコージンがカレリンを説得。カレリンは取り巻きが全員反対している中で前田戦を)それで、決断してくれたんです。
ドールマン(オランダ)も直談判すれば解決するやつでね。
白井 頑固な選手も多かったと思うんですが、こういうものがあります。
■述而第七
子曰、奢則不孫、儉則固、與其不孫也寧固、
子の曰わく、奢(おご)れば則ち不孫(ふそん)、倹なれば則ち固(いや)し。其の不孫ならんよりは寧(むし)ろ固しかれ。
先生が言われた、「贅沢していると尊大になり、倹約していると頑固になるが、尊大であるよりはむしろ頑固の方がよい」
前田 当時、オランダは格闘技のレベルが高かった。ドールマンの口癖は「自分は不誠実が嫌いだ」。
自分としては、UWFを、ちゃんとした、進化した技術を見せ合うプロレスとして原点回帰しながらの試行錯誤の場だと捉えていた。その過程で淘汰される選手も出てくるだろうと思っていたんです。ところが、このUWFという場が(あまりにも成功したため)“終着点”だと勘違いする奴もいた。蓋を開けたら「クーデター」騒ぎ。自分にとっても衝撃的で、滅入ってしまって、外部との連絡を絶ってしまったんです。
ドールマンはそのときどうしようとしたかというと、自分が目が覚めるのを待ってくれていたんですね。クーデターは本当に自分(前田)の不徳のいたすところなんですが、もう「(他メンバーが離れた今、自分だけで旗揚げしたとしても)半年も持たないだろう」とも踏んでいた自分としては、ドールマンに支払っていた契約金は全部あげるから、もうやめると自分はドールマンに言いました。でも、ドールマンは「やってみないとわからないじゃないか」と。彼は本当に、(リングス)旗揚げへの精神的な支えになってくれました。
竹下 今のエピソードも「徳」や「信」が最後に残っていくということを物語っていると思います。
■述而第七
子曰、我三人行、必得我師焉、擇其善者而從之、其不善者改之、
子の曰わく、我れ三人行なえば必ず我が師を得(う)。其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にしてこれを改む。
先生が言われた、「私は三人で行動したら、きっとそこに自分の師を見つける。善い人を選んでそれを見習い、善くない人にはその善くないことを[我が身について]直すからだ。」
白井 新生UWF(第2次UWF)では、まさに“我れ三人”といわれる存在が、前田日明・高田延彦・山崎一夫の“前高山”だったと思います。もちろん他の選手もいましたけれども、この3人はもっとも身近で、一緒に過ごした選手でもあったんじゃないでしょうか。この3人で切磋琢磨したようなことはありましたか。
前田 UWF自体がですね、一般的な(プロレスの)大会をやって、彼らで客が呼べるかはクエスチョンマークだったわけなんです(知名度不足)。どうやったら彼らが注目を集めるかを考えました。プロとしての「見せ方」をすごく考えましたね。
切磋琢磨という点では、各界の著名人とつながって視野を広げさせてもらいました。
その過程で、当時、「プロレスの原点回帰って何ですか?」って聞かれたんですが、原点回帰とはガス灯時代のプロレスの原風景に戻るだけではなく、パンチやキックもあるので、たとえるならば「総合格闘技」という言葉になるでしょう、ということを自分は言い始めました。
当時は営業の手売りだったチケットもチケットぴあを導入したりと、あの期間は「売り方」「見せ方」を経験しましたね。
白井 既存の団体とどう連携するか。それをやってきたのがそれまでのプロレスでした。そうではなくて、新しい組織を世界に作っていったリングスは、まったく新しいことだったと思います。
そして、“五十才で天命を悟った”というところで、(アマチュア総合格闘技大会)ジ・アウトサイダーを旗揚げ。青少年育成など思うところはありますか。
前田 世の中全体が冷たくなっていると思うんです。親子であったり兄弟であったり師弟であったり。メンドクサイという言葉の元に、伝えられなきゃいけないものがそうではなくなっている。そんな社会の中で一般的に埋もれている人から、原石のような選手を見つけられたらいいかなと思っています。
白井 ゴング格闘技に「走りながら考えるんだよ」という前田さんの言葉がありました。これも論語の中にあたるものがありますので紹介しておきます。
■
子貢問君子 子曰 先行其言 而後從之
子貢が君子クンシについて質問シツモンした。先生は言われた。「まず行動を言葉に先行させる。しかる後にやったことを説明する。」
白井 さて、最後に、全国の大学が戦々恐々としている薬物汚染(大麻)でありますが、そういう背景もひっくるめて、前田さんからの若者へのエールをお願いできますでしょうか。
前田 若い人の世界は、今の大人の縮図だと思うんですよ。いろいろ読んでいるとね、価値観の崩壊が気になるんです。新しい価値観が求められているんだと思います。それをやっていかなきゃいけない政治家が何をやっているのかというと、ある政治家に聞いたら「重箱の隅の突付き合いをやっているだけ。予算は官僚がつくる」って言うんです。これではいけない。
自分が自分の名前にどういう意味づけをしたいのか。その大切さを教える大人がいない。「自由」ばかりが主張されている。「自由」には「義務」があるはずなんです。大麻についても「タバコより害がない」とか「外国は規制がない」とか書いてる雑誌も出てきている。でも、それで大麻についての規制を変えようと行動するわけではないでしょう。文句があったら選挙に行って変えるべき。その「義務」を大人が教えない。
外国の新聞を見ているとね、新聞によって意見が違うんですよ。でも、日本は、何で同じことばかり書いているのかな、と思う。こういう世間の中では、多感な子が「見つからなきゃいいじゃん」となってる部分もあります。すべてを問いただす時期に来ていると考えています。
こうして、シンポジウムにおける前田の登場は10:10~11:45という午前の部を全うした。拍手を浴びた前田は、ロビーへと移動。リングスTシャツを購入したファンにサインや記念撮影に応じていた。
白井氏をはじめ主催者の構成がよく練られており、論語・格闘技の両面から楽しめるイベントとなった。前田の言葉に耳を傾けた論語愛好者・格闘技ファン約500人は、大きな拍手を前田に送っていた。
ただ、年配の論語愛好者は序盤から“脱落”して読書体制に入る人も。論語という入り口をもとに、前田の世界的な交友からの教訓、格闘技人生でのこだわりが聞けたイベントではあった。だけれども、かなりマニアックな内容で、格闘技に関心のない人にはキツかったとも思います。このあたりは持っていきかたが難しいですね。テレビ番組だと、うまくダイジェストにまとめればいいが、ナマモノとしての難しさはどうしてもある。
※もちろん、愛好者にとっては午後の部もありましたので大丈夫ですが。
そのぶん!?格闘技ファンとしては、前田を招いてくれて、前田の口から直接、エピソードを無料で聞くことができて、大満足。ある意味、贅沢な経験をさせていただきました。
みなさんは、どのトークに関心を持ったでしょうか?
ボクは“前高山”についてのところ。これは白井氏が聞き出そうとチャレンジしたのか、当然聞けると踏んだのか、正面から聞こうとした姿勢にドキドキしました。特に前田と高田は新日本プロレス~UWF時代に兄弟のような間柄だったが、両者は現在交流を断っている。
↓参考
・ カクトウログ: 三回は我慢するが…高田延彦との関係【週刊 前田日明】
この点について振られたものの、前田はまったくのスルー。ここには、今もなお横たわる因縁が見え隠れして感じられた。論語愛好者にはこういった点は当然、“解釈”不能だったことでしょう。前田の言葉は、いつだってガチンコなんである。
今週の【週刊 前田日明】はここまで。
次週も前田日明を追いかけます!
↓マット界をキャプチュード!さんもレポートされていました。ご参照ください
・ 前田日明リングス総帥、実践してきた論語を語る - マット界,前田日明,リングス―マット界をキャプチュード!
↓週刊前田日明バックナンバー、カクトウログ前田日明記事、関連サイトリンクはこちらで
・ 週刊 前田日明 ~unofficial~
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