猪木×アリ戦を考えることはプロレスを考えること~『徹底検証!猪木vs.アリ戦の“裏”』発刊
33年前に行われた「アントニオ猪木VSモハメッド・アリ」。2/7(土)夜のテレビ朝日50周年記念番組で同試合が特集の一つに取り上げられてから20日弱が経過した。直後の当サイト記事はこちら。
・ 2009.02.08 カクトウログ: テレビ朝日が猪木×アリ戦を検証~猪木の主張「がんじがらめのルール」がそのまま放映される
基本的に週プロを毎週読んでいるし、“ファンタジー活字”たっぷりを漂わせる当サイト。だけれども、プロレスファンとしての見解が求められていると感じられる局面では、それなりの記事は記しておきたいと考えている。普段から不勉強なボクは、少なくとも2007年のプロレス・格闘技系でベストセラーとなった『1976年のアントニオ猪木』(柳澤健著/2007年)との照らし合わせは必要だとも思った。わざわざ・・・いや、当然の作業として読み返した。
自分が整理しておきたかったこともあるんだが、それ以上に「この番組を観たプロレスファンは『がんじがらめルールで闘った猪木はこんなに偉大なのだ』と繰り返すだけでしょ、何もわからずに」と思われることがイヤだった。
じつは、記事を書いた後にも関係者から複数メールが届いたり、さらに文献をあさったりもした。自分の目前で“プロレス界での定説”と“定説の裏に仕掛けられたカラクリ”が激しく交錯する。贅沢な答え合わせの時間を楽しみつつも、すべてが解決されないイライラがあった。
そんなところに、電子書籍でこちらが発刊された。
・ 徹底検証!猪木vs.アリ戦の“裏” [tanakatada022.krm] - 1,050円 : 武道・プロレス・格闘技 ファイト!ミルホンネット
▼new!徹底検証!猪木vs.アリ戦の“裏” <電子書籍>テレビ朝日が開局50周年記念としてトンデモ番組を放送した。題して『テレビ朝日が伝えた伝説のスポーツ名勝負~いま明かされる舞台裏の真実』。テレビが伝えなかったアリ猪木戦の裏の裏を暴く!
かなりのボリューム。「そうは言っても、あの事実はどうだったんだろ?」と指摘されがちな点への見解が、ことごとく記されている。
当時・新間寿営業本部長がルールを東スポに書かせた背景、テレビ朝日でも登場した通訳・ケン田島氏が「リアルファイト」と証言した背景、判定への考察など、これまで世に出た文献レベルにとどまらず大幅加筆検証された。端的にいうなら、“知りたい人”にとって“いちばん詳しく書かれている”のがこちらの電子書籍となる。
なんだよ、もうちょっと早く出してくれれば、いろんなものを買ったりしなくてもよかったのに! そう思ったものだが、それだけ筆者も、改めての検証に時間をかけたんでしょう。あえて中身の引用はしないが、猪木を、そしてプロレスのことを真面目に考えたい向きには必携の書だと思う。ぜひご一読を。
なお、見えない道場本舗さんが“「1976年のアントニオ猪木」増補文庫本出版記念メールインタビュー”を著者の柳澤氏に行っている。同サイト管理人さんはボクと同じく新間氏の発言がひっくり返っていたことに着目していらっしゃったが、直接その件を問うている。ご参照ください。
・ 2009-02-24 - 見えない道場本舗
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柳澤「新間さんは大変正直な方です。新間さんは猪木さんを死ぬほど愛しています。ですから、猪木さんと喧嘩別れしている時は、基本的に本当のことを全部暴露する。関係がうまくいっている時は、マネージャーの気持ちに戻って猪木さん擁護に回る。ただそれだけのことです」
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こういうファンからの作業ももちろん、ファンからのできうる限りのアプローチである。アプローチ法はいろんなやり方があっていい。一方で、テレ朝の番組を観ていないという柳澤氏には驚いた。ジャーナリストとしての態度を疑う。
OMASUKI FIGHTさんは純粋に、「猪木 vs アリ」特番試合映像からの分析を試みている。
・ OMASUKI FIGHT 猪木とアリだけに聞こえる犬笛
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・・・全く個人的な、根拠もない感想を言えば、柳澤氏の結論に異を唱えることにはなるが、やっぱりリアルファイトじゃなさそうだな、という強い印象を持つ。むしろ、できそこないのフィックス・ファイトに見える。結果は決まっていただろうが、プロセスや試合イメージがまるで合意できていないように見えた。両者の汚さと意地とアドリブ技術とサービス精神が入り交じって、結果的にたまたま、こういう成果物ができあがったと見える。あの存在感のないレフリーが、関節技禁止など複雑なルールのリアルファイトをテキパキ裁けるようにはとても見えない。試合中両者の間を飛び交っていた無言のコミュニケーションは、プロレスラー同士のものに他ならないようにも見えたし、そのコミュニケーションじたいはガチだったのかもしれない。
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画面スーパー・ナレーションや思い入れに過度に左右されることのない、素晴らしい検証眼をもっているなぁと感じます。
ミルホンネットにはプロの記事を見せてもらい、同時にファンのいくつものアプローチに出会った。このほか、掲載はしないがボクの観戦仲間にもウムムと思わされる見解をもらった。きっかけとなったテレビ朝日よ、ありがとう。
主役のアントニオ猪木は66歳になった。
・ 2009.02.20 カクトウログ: 「アントニオ猪木の誕生日を祝う会」生中継を見に来た?ただいま猪木酒場池袋店/速報まとめ
予定調和を無視して泥酔し、中継後半をブッチした猪木が猪木酒場にいた。そのおかげで、ボクはまた、たいへん理解が深まるものをみてしまう。
祝う会中継の変わりに放映される猪木-ルスカ、猪木-モンスターマン・・・これらははっきり言って、猪木-アリとはまったく違う! 猪木は相手の動きに委ねながら闘うプロレスをキッチリしている。
その“違い”を誰よりも気づいていたのが猪木だったんだろう。だからこそ、“なぜ、アリ戦がつまらなかったか”の理由をつくる必要があった。そりゃ後付けの“がんじがらめのルール”づくりは必然だったよな、なんて妙に納得させられもした。先のミルホン『徹底検証!~』にも、この点が指摘されているのだが、ようやく全体像が頭に整理できた思いだった。
“がんじがらめのルール”が定説となり、プロレスファンだけを対象にしていないはずのゴールデンタイムでそのまま大々的に扱われ、時代を超えて高い視聴率を獲得する。これこそが猪木のプロレスであり、ハッスルでは足元にも及ばない迫真のスポーツエンターテインメントであったのだ。
猪木×アリ戦を考えることは、プロレスを考えることである。
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山口敏太郎事務所 くまき由佳画伯
ある雑感【INOKI SPIRAL】タダシ☆タナカ シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦の“裏”を読む。(筆者注;このコラムはミルホンネットブログ欄とダブルポストにて記したものです。)
いよいよと言うべきか?或いは、やはり一筆したためられたのだなとの想い。タダシ☆タナカ先生の最新作、
『タダシ☆タナカ シュ-ト活字委員会 徹底検証!猪木vs.アリ戦の“裏”』(ミルホンネット刊)
を読ませていただいた。
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