中邑真輔「プロレスは自分の人生を表現するためのもの」~青山学院大学「青山祭」講演会レポート
pick up ▼ニュース 橋本大地vs関本大介! ZERO1本日11・6(火)後楽園全カード/ZERO1道場にて前日会見┃11.11新日本・大阪でIWGPジュニア2大王座戦決定=全カード決定/小島聡、ノア参戦のため12月9日秋田大会欠場のお知らせ┃齋藤をポールシフトで下して丸藤が初日、潮崎が新技「足極め式肩固め」を披露=ノア沼津結果┃全日本12.7 新潟大会「田中稔&金本浩二vsカズ・ハヤシ&近藤修司」アジアタッグ戦┃天龍「夢でうなされ」ても復帰戦へ順調!┃ハタナカヨウコと引き分けてタッグリーグ優勝がなくなった文子が、GAMIの言葉に涙!渋谷&朱里は望みをつなぐ勝利=WAVE┃AKINO、栗原、飯田による3世代トリオが快勝 「秋の栗ご飯興行~炊きたてアツアツ」結果リポート┃熱い人情に感動。志田光・松本都さんと湯の街復興プロレスに行って来ました@山本雅俊 ▼情報&コラム 新日本プロレスに鉄腕アトムモチーフのオリジナルマスクマン登場@多重ロマンチックさん┃ももクロ:男子祭りにプロレスラー乱入 ファン2万人大喜び ▼格闘技 菊野vs.岸本の判定が引き分けから菊野の判定勝ちに変更=DEEP┃11月10日(土)25:00新宿バルト9でUFCマカオ大会パブリックビューイング日沖発がゲスト┃ペトロシアンが70kgトーナメント優勝 「グローリー」ローマ大会 現地リポート┃超大型新人・井上尚弥が自室に貼った「戒めの言葉」~プロ転向初戦、鮮烈なKO劇
2日、青山学院大学『青山祭2012』にて新日本プロレス・中邑真輔の講演会が開催され、中邑が150人の“後輩たち”に囲まれた。テーマは「過去、現在、未来」。社会人もちょこちょこいましたが、ボクも学生にまじって足を運んできました。[記事全文]
* * *
撮影禁止でしたので、写真はありません。
青山祭の思い出ですか? 基本的にレスリング部とか体育系でバチバチやってるところは出し物はやってなかったんですよ。さきほどパンフレットを見ると、「パンケーキサンド販売 青山学院大学レスリング部」って、、、何をやってんだよと!(会場笑い)。驚きました。
レスリング部のほかに美術部、そしてデザインラボラトリーというサークルにも入ってましたね。ファッションショーをやる団体で裏方で手伝って。
プロレスとの出会い? 物心ついた3~5歳の頃に、オヤジと一緒に野球中継を見るのが嫌で、祖父の部屋に避難して見たのが最初ですね。ずっと見ていたわけじゃないですが、小学生のときにまた流行って。もともとボクは喧嘩は弱くてビビリ症だったんですが、この人たちは強そうだなと。マスクマンもいて華やかな世界で。
中学生の三者面談では、卒業後の進路として、忍者になるか、香港でカンフーを習ってジャッキー・チェンみたいになるか、プロレスラーになりたいと。けっこうマジに先生はとらえてくれまして。
まず忍者は「そんな職業はない!」と(会場笑い)。ジャッキー・チェンについては、中国の日本人学校に行ってから師範学校に行って中国で生活するというのはどうかと。テンシン師範大学というところのパンフレットを取り寄せて調べているうちに、そこは行きたくなくなったんですよ(会場笑い)。
プロレスラーについては中卒でなれるかもしれないと思ったし、早く強くなれると思ったんですが、さすがに親が「潰しがきかない。親孝行として高校は行ってくれ」と。まぁ、そうだよね。で入学してその日から、プロレスラーになるためにレスリング部に入りました。
そのころはプロレスと同じものだと思ってました。見学して「ブレーンバスターやジャイアントスイングを俺だったら使う」と考えたんですが、打ちのめされましたね。レスリングで実績を出したらいくつかの大学からスカウトが来ました。
恋愛? 唐突ですね(会場笑い)。普通に彼女もいましたし。金銭的に余裕がなかったんで、バイク乗ってたんですけど多摩川に行ってましたね。
デートでプロレス? いいとは思いますけど、いいとは思いますけど、いいと思います(会場笑い)。伝え方が難しい? こういうジャンルならではのカルチャーショックを与えるといいんじゃないでしょうか。試合が怖ければ怖いほど、恋愛もうまくいく(会場笑い)。吊り橋効果的に。
年間130試合が目安ですね。オフは基本的にどの選手もトレーニングをしていると思うんですよ。トレーニングが生活の一部。まったく練習をしない日もあるとは思いますけど、基本は毎日のようにやっていると。オフは最近は釣りを始めました。
ボクは手放した趣味もけっこうあったんですけど、プロレスだけは飽きなかった。もちろん、やっていても楽しい。やればやるほど難しく感じたりもするし、毎日やってても変化がある。いろんな条件の中で試合をする、毎日が同じじゃない。やりがいはいつもありますね。新しい自分の感覚が生まれることもありますし。自分自身に刺激や変化を求め続けてますね。
手が合う選手? カールアンダーソンだとか後藤洋央紀とか。手が合うというか読みやすい、フィットするというのはありますね。天山選手ですか? 2003年から幾度となく試合してますんで、お互いが研磨されていく感じで。この前のG1と当時との違い? 顔の大きさは変わんないですね(会場笑い)。すごいデカイ。
頭蓋骨が普通の1.5倍厚いらしいです。天山選手が脳震盪で、救急車で運ばれたときに一緒に乗って、天山選手が暴れまして「出て来い長州!」って(会場笑い)。もういなかったんですよ、長州は。病院に行って検査を受けたら、「普通の人より頭蓋骨が1.5倍厚いんで大丈夫」と(会場笑い)。
デビュー10周年。10年間の経験は自分を表現する上での財産になってますね。デビュー当時は自分を大きく見せようとしてハッタリもかましましたけれども、今は余裕がある、表現も違うアプローチでできる。
クネクネ? 自分をどんどん掘り下げていって、どういう動きをしたいか自問自答するんです。身体を揺らすことによってバランスをとるとか、やわらかさはボクの武器というのもあるし、相手をおちょくるというのもありますね。いかに印象づけるかという点でも役立ってます。
田口とかに真似される? イラッとすることもありますし、「下手くそ!」って(会場笑い)思うときも。田口に関してはさいきん阿部寛に似てるなって(会場笑い)。もし阿部寛がパンツ一丁であんなことをしたらと思うと面白い(会場笑い)。
痴漢撃退法? 唐突ですね(会場笑い)。確実に自分を触っていると思ったら、その手を取って小指を思いっきり掴んでください。簡単に折れますから(会場爆笑)。声を出せないなら、折ってみようと。喧嘩というのは相手を引かせるには、いきなりガツンと。
この(モヒカンの)髪型? 中学校の時にやってたんですよ。メキシコいく前にやってみようと。以前のパーマ? 天然パーマですね。湿度でウェーブが変わってきます。
(司会「高校時代に後藤選手が、中邑選手とお互いプロレスTシャツを着ていてライバル意識が生まれたと」)後藤が? ボクはこいつも好きなんだくらいにしか思いませんでした。当時はけっこういましたよ。ボクは橋本真也の破壊王Tシャツを着ていて、ブラザーヤッシーこと藤本は馳浩Tシャツを着てて(会場笑い)。後藤は新日本のライオンマークで。
(橋本選手のファンだった?)ではないですね(会場笑い)。サイン会をやってたんですよ、観に行った京都大会で。好きだったのは、いぶし銀な感じで木戸修選手とか、エル・サムライ選手とか。憧れというより、お気に入り。木戸さんの髪? どうなってんだろうと近くで見ますよね。あれはアイロンパーマです。触った? 触れないです(会場爆笑)。木戸さんには1日15分でいいから日焼けしろと言われました。「俺は色白なんだ」と言われました、木戸さん(場内微妙な笑い)。
どのような思いで試合を? いかに試合全体をコントロールするか。自分が支配したいので。五感を使っていかに試合を進めるか。見ている人たちにいかに楽しんでもらって、インパクトを残せるか。見ている人の感情に波が立つように狙ってやっています。
どんなプロレスをしていきたい? ボクが関わる、新日本プロレスというものを特別なものにしていきたい。他団体の選手が上がろうと思っても入りこめないと思うような世界観をつくりたいなと。そして、自分にしか出来ないものを確立させたいです。
ボクは総合格闘技も含めてガンガン膝蹴りをもらって、顔面への膝蹴りによって一番ダメージをもらったわけですよ。2003年の大晦日のアレクセイ・イグナショフ戦とか。高山善廣選手だとか。やられて効いたことを逆にやるようになったのがボマイェですね。
プロレスは自分の人生を表現するためのもの。クネクネにしても、自分がやりたいと思ってやっていることなんで。職業だとかプライベートとか分けて考えないですね、すべて「中邑真輔」だと。試合もオフも。その感覚を大事にして、試合では何を吐き出して、そうじゃないときはこれを吐き出そうとか。
大学のときは、誰かに青学のぼっちゃんとか言われましたが、金銭的な余裕はなく、とりあえず動いて楽しみましたね。レスリング、美術部、ゼミ、サークル、総合格闘技の練習、彼女もいてバイトもして。悔いは残ってない。もっと勉強をしておけばよかったとは思いますけど。
メッセージ? 東京は刺激の多い街ですし、価値観をもっともっと広げてほしい。人間性を厚くするために自分で足を運んで目で見て聞いて頭でっかちにならずに行動して、いろんなことに興味を持って行動するといいと思います。
(プレゼント抽選会を挟んで、相手のバランスを崩す実演。いかに効率的に相手を倒すかの研究の説明)
卒業生として呼ばれることは光栄だと思ってます。自分がやるプロレスっていうのは闘うだけじゃなくて自分自身を表現する舞台というか、手段だと思ってます。自分のプロレスが何がしか影響を与えることができたらと思っています。これからもよろしくお願いします(会場拍手)。
(中邑にお礼の花束。レスリング部から色紙。ゼミの長谷川先生からのメッセージ色紙。開始前に練習した司会「一番スゲエのは」観客「中邑真輔なんだよ!」でシメ)
ファッションはこちらでチェックを。
・ 新日本プロレスリング:中邑真輔が母校・青学の『青山祭2012』で講演会!! 「過去、現在、未来」を語りまくった!!
* * *
いつものテーマ曲で入退場した中邑は、体を“そらす”まではいかないが“揺らす”という動き。試合会場と同様に、ほとばしる感情を外に出していた。
司会者はいくつもの質問を十分に準備していたものの、中邑の回答には十分なリアクションをしたりしなかったりという独特の進行が中邑本人や観客のペースを狂わせる。だけれども、それさえも中邑は笑いに変える懐の深さを発揮。少しずつ角度が違うだけの微妙な違いの質問にも、ほぼ即答で頭の回転の速さをうかがわせた。
60分という限られた時間であり、どういう層をターゲットに繰り広げていいのか、主催者側も中邑も手探りだったと思うが、どんなお客さんにも届いたのは「プロレスラーは、こんなにも一生懸命に考えてプロレスをやっているんだ」という事実だったのではないだろうか。
講演を文字にしてみなさんにどこまで伝わったかはわからないが、本人であり肉声でありを目の前にすると、中邑という「人間」をダイレクトに感じざるを得なかった。もっとも印象に残ったのは、この10年間の変化と、それを中邑が楽しんでいること。
暗黒時代を含め“離脱”することなく新日本プロレスをみてきたボクらからすれば、中邑に様々な期待をしてきたプロセスがある。総合格闘技としての強さを求められたことも、アントニオ猪木に反発したことも、会社に噛みついたことも、ベストバウトを連発してきたのも、全部をボクらは見てきた。
どこに本当の中邑の気持ちがあるんだろう? そんなことも何度も考えさせられた。それだけ中邑と“つき合う”ことも面白い作業であった。改めて思ったのは、どれも本当の中邑であり、いつでも中邑は一生懸命であり、しっかりと変化しているんだということ。
食らい続けてきた顔面への膝蹴りが、自身の必殺技ボマイェに昇華した。強みであるバランス感覚、相手をおちょくる姿勢がクネクネを生んだ。それがいまの中邑の表現の軸となっているのだ。
この先にも、さらなる変化を中邑が欲する局面もあるに違いない。
変化することで失ったファンもいるだろうし、獲得したファンもいるだろう。それでいて、中邑は常に自分本位であることをブラさない。自身の表現を中心に置く。かくして新日本プロレスは“復活”し、その中心に中邑はしっかりと腰を据えている。ボクなんかは見ていただけなんだけれども、その過程を見れたのは幸せなことだ。
講演としては、過激発言、注目発言はなかったし、プロレスラーらしい豪傑エピソードを連発したとかそういうのでもない。が、求道者としての姿勢をみせつけ、プロとはかくあるものかと学生も思ったに違いない。
間違いなく、中邑がしっかりと場を「支配していた」講演会だった。
■□T.SAKAi
[プロレス・格闘技人気ブログランキング]
= 事実誤認・誤字指摘メール =
左サイドバーのココログマーク下から直通メール→大変助かります。
カクトウログへの苦情やご希望もお寄せください。
===========================
[カクトウログ■TOPページに戻る▲]
« ヴォルク・ハン引退記念興行12・16横浜文化体育館チケットは8千円席・6千円席が早くも完売! | トップページ | 桜庭和志「試合を組んでくれたら(中邑と)やりますよ」柴田勝頼「なんでそこで出し惜しみすんのかな」 »
« ヴォルク・ハン引退記念興行12・16横浜文化体育館チケットは8千円席・6千円席が早くも完売! | トップページ | 桜庭和志「試合を組んでくれたら(中邑と)やりますよ」柴田勝頼「なんでそこで出し惜しみすんのかな」 »