「格闘技人生45周年」ではなく「UWF解散24周年」だった前田祭り~前田・船木・みのるが新証言【週刊 前田日明】
前田日明が足りない世の中に、とことん前田日明を発信してみる。毎週日曜日は、前田日明関連の動きをできる限りカクトウログが追う「週刊 前田日明」の日です。連載第146回のラインナップ▼リングスベストバウトはアレキサンダー・カレリン戦、4位に田村潔司vsヘンゾ・グレイシー戦を選出▼「格闘技人生45周年」ではなく「UWF解散24周年」だった前田祭り~前田・船木・みのるが新証言・・・
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土曜ですが、新春特別更新。
情報をキャッチしていながら、最新1週間(月曜から土曜まで)で取り上げなかった前田日明の話題、あれば翌週送りせず日曜にまとめる。あと、1週間で取り上げた前田関連記事、主要記事リンクも再集約しておくことにします。
(週刊前田日明バックナンバー →「週刊前田日明」参照)
この連載を毎週見ておけば前田関連の動きは逃さない!
理想はそこですが、どうなるか。
▼▼▼ W E E K L Y A K I R A ▼▼▼
リングスベストバウトはアレキサンダー・カレリン戦、4位に田村潔司vsヘンゾ・グレイシー戦を選出
12月31日、前田日明の格闘技人生45周年を記念したライブイベント『MEGA BATTLE LEGEND 2014大晦日~前田日明に触れてみよ。 ZERO』がディファ有明にて開催された。こちら足を運んできました。
撮影NGでしたので、写真はTwitter等からの引用のみとします。
■前田日明 格闘技人生45周年
『MEGA BATTLE LEGEND 2014大晦日?前田日明に触れてみよ。 ZERO』
ディファ有明
2014年12月31日(水) 12時開場/13時開演 [16時半終了予定]
総合司会:三田佐代子・井上崇宏(KAMINOGE編集長)
《第一幕》前田日明が選ぶ「リングス・ベストバウト・カウントダウン」
名場面上映。ゲスト解説:谷川貞治(元格闘技通信編集長)
《第二幕》前田日明の歴史を検証する。
元「週刊プロレス」編集長ターザン山本、元「格闘技通信」編集長谷川貞治を迎え、前田日明の歴史、数々の逸話、伝説を、徹底検証!
KAMINOGE編集長の井上崇宏も聞き手として参加。
《第三幕》前田日明VS大物格闘家、試練の4本勝負。
VS 桜庭和志
VS 船木誠勝
VS 佐竹雅昭
VS 鈴木みのる
《最終幕》前田日明に触れてみよ。
ガッチリ握手により前田日明を来場者全員でリアルに体感。
《第一幕》は前田日明が選ぶ「リングス・ベストバウト・カウントダウン」。K-1のテーマ曲に乗って登場した谷川貞治氏。前田からイベントに呼ばれて心底嬉しい様子だ。リングスというと、「総合格闘技」というジャンルを開拓した存在として知られる。開拓者だけに、会場を借りるのも一苦労。喧嘩のようであってルールのある格闘技であることを説明することが難しい。
前田「武道館に説明にいくと、武道館の人に『当事者が自ら説明に来たのはあなたが2人目です。1人目は矢沢永吉さん』って言われ、おおっ、オレもななかなかやるやんけと思った」とプチ自慢。
谷川「それにしてもリングス旗揚げは、前田さん以外は無名でしょう。それでもやったのだから凄い」。
前田「リングス・オランダなんか全員が“アウトサイダー”だからね。もともとリングス・オランダの起源は、ミュンヘン・オリンピック柔道代表選考試合で、クリス・ドールマンがウィリアム・ルスカに勝ったこと。ドールマンが選ばれるはずなのに、委員会は実績やなんやでルスカを選び、ドールマンは干された。そのドールマンに憧れていろんな不良が集まってきた」。
リングス・オランダ勢のヤンチャぶりエピソードは尽きない。
前田「飛行機の中で下半身フルチンでどこまで行って来れるかとかね(笑)」。
エピソードが語られながら、ベストバウトの紹介が進む。前田自身が選出したとされるライナップ。
1位 1999年2月21日 前田日明vs.アレキサンダー・カレリン
2位 1991年12月7日 前田日明vs.ヴォルク・ハン
3位 1999年12月22日 アンドレイ・コピィロフvs.カステロ・ブランコ
4位 2002年2月6日 田村潔司vs.ヘンゾ・グレイシー
5位 2001年2月24日 ヴォルク・ハンvs.アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
6位 1994年7月14日 前田日明vs.ディック・フライ
7位 2000年12月22日 エメリヤーエンコ・ヒョードルvs.ヒカルド・アローナ
8位 1997年6月21日 アレクサンドル・ヒョーロフvs.アジウソン・リマ
9位 1991年12月7日 ディック・フライvs.ウイリー・ピータース
10位 1992年10月29日 佐竹雅昭vs.長井満也
1位は前田の引退試合、アレキサンダー・カレリン戦。オッと思ったのは、前田と絶縁状態にある田村潔司の試合(ヘンゾ・グレイシー戦)が4位に入っていたこと。特に言及はなかったが、リングスの一員であり田村がグレイシーに勝利したことは心底から嬉しかったことをボクは思い出す。
よく語られる、カレリン引っ張り出しのエピソードに。
前田「カレリンとはやる・やらないでモメてね。パコージン(ロシアン・トップチーム代表ウラジミール・ パコージン)が最後は泣きながら『ペレストロイカで食えなくなったロシア人をマエダは何人助けたかわかんない。一度は闘ってほしい』とカレリンを説得した」。
カレリン戦の振り返り。
前田「カレリンは首のコントロールの仕方が凄いんですよね。(前田は)タックル取ってテイクダウンかエスケープ狙いでいく。でも、首をつかまれてゴボウ抜きのように上下に振られて首がイッてしまいましたね。カレリンの闘い方は総合格闘技での大きなヒントになっている。まず首を仕留めるっていうね」。
《第二幕》は「前田日明の歴史を検証する」。ターザン山本氏が前田の天敵・安生洋二のテーマ曲で、観客に手を振りながら意気揚々と花道を入場する。
しかし、これが“過去に権力を持った編集長”と“今をときめく編集長”の違いなんだろう。かつての週プロ編集長・ターザン山本氏がリングインするやいなや、司会者であるはずのKAMINOGE編集長・井上崇宏氏が羽交い絞め。こ、これはかつて谷川貞治氏が犠牲になったというデコピン連打の図ではないか!
館内大爆笑。みるみる赤いコブになるターザンの額。
前田日明のデコピンテロにあって額がたんこぶ、痛いよおおおおお。 pic.twitter.com/jqZdFpz4VH
— ターザン山本! (@tarzany) 2014, 12月 31
井上「この顔合わせを長州さんに言いましたらね、『アキラに言っとけ、殺せって』って言われました(笑)」。
週プロ誌面「ザッツ・レスラー」コラムで「前田は自宅に招いてもお茶さえ出さない」とかつてターザンに書かれた前田。それを前田が「ウチに来たこともないやろ」と追及すると、ターザンは「あれは谷川から聞いた話で」と反論する。
谷川「あれは、お茶も飲まずに電気も真っ暗なままで前田さんが真剣に話してくれた、という『いい話』として言ったのに。それを山本さんが端折ってああなった」。
前田「当時、『裏で金もらってるんだろ』と聞いたら(ターザンは)否定してたのに、ザンゲ録みたいな本(ターザンの著書『「金権編集長」ザンゲ録』)読んだよ。こと細かく、あっちこっちから金を引っ張ったな。あのとき神(第2次UWFの神社長)が山本さんに記事を書いてもらうよう“包んだ”からって。包まなくなったら(ターザンはUWFの記事を)書かなくなっちゃってね。それが山本なんですよ。ずっこいんですよ。彼の前の奥さんはオレのファンで『前田に会わせてやる』って山本が誘ってヤッちゃったんですよ」。
前田が水を得た魚のようにマシンガントーク。
ターザン「スゴイ前田劇場。楽しいね。その通りですよ!」ドッと観客も沸く。
前田「堀辺(骨法の堀辺正史)だけは山本に借りがあります。他の人は借りはない」。
ターザン「これだけ前田さんに語られて嬉しいねぇ。今日は眠れないなぁ。オレはミーハーだから。さんざんA級戦犯とも言われたし」。
前田「A級戦犯ですよ。そうとう馬場さんからもらって。佐山さん(佐山聡)を煽って喋らせて、大幅に加筆して『ケーフェイ』(プロレス暴露本)って本にしたんですよ」。
ターザン「詳しい!!」スタンディングダウン状態のターザン。
それでも、何か爪跡を残すべく、ターザンが反撃を試みる。
ターザン「前田さんはプロレスラーなんですか、格闘家なんですか?」
前田「オレは格闘家だよ。職業で格闘家と言ったのはオレが初めて。プロレスラーはクビになったじゃん」。
ターザン「猪木さんと前田さん、どっちが強いんですか?」
前田「わかんないよ。どうだっていいよ。スカウトされたんで、猪木さんには恩義がある。強い・弱い言えないよ」。
まったく持って前田の完勝だが、ターザンはやり切った感からか最後に前田にハグを要求。これに前田が呼応し、デタラメだがカタチだけは感動的な場面で場内拍手。
事前に「ターザンには線でなく面で攻める」と謎の予告をしていた前田。さすがの攻めっぷりを見せたのであった。これでイベントの掴みは完全にOK!
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「格闘技人生45周年」ではなく「UWF解散24周年」だった前田祭り~前田・船木・みのるが新証言
《第三幕》の「前田日明VS大物格闘家、試練の4本勝負」へ。
VS 桜庭和志
VS 船木誠勝
VS 佐竹雅昭
VS 鈴木みのる
4人の順番はテーマ曲がかかるまでわからない。まずはスピード2に乗って桜庭和志が入場。
2014年9月13日放送の「極上空間」(BS朝日)で、桜庭は前田宅で粗相をしてしまった話を打ち明けていたが、、、
・ 桜庭和志が前田日明の自宅での「お漏らし」を告白 前田のイジりに今も困惑 - ライブドアニュース
(酒を呑んでいたこともあってか、トイレをガマンしながら前田の話を聞いていた。限界のところで、前田に断りを入れトイレに駆け込むが「漏らしてないです、こぼしたんです」)
案の定、この話で前田にいじられる桜庭。
前田「この小便たれが!」
桜庭「垂れたんじゃないです、こぼしたんです! 前田さんの話がすごい長くて」。
前田「プロレスに移ってきたときに『前田のように顔面を蹴れたらラクなのにな』って言ってたそうですけど、蹴れましたかぁ?(後輩を脅すような口調)」
桜庭「(KAMINOGE井上崇宏編集長に)“さん”はつけましたよね。プロレスは…難しいですかね」。
前田「プロレスというのは、知り尽くした上で動くか、ビビらして相手を動かすか。オレはビビらして動かしてた」
ここから関西弁講座となり、話の流れで「出てこいやー」は関西弁なのか?という話になる(もちろん、「出てこいやー」は前田と絶縁状態にある高田延彦のキメゼリフ)。
前田「『出てこいやー』は変な関西弁。うんこ出すときとかに言う」。
前田と桜庭は自身の股をのぞき込んで「出てこいやー」と次々に悪ふざけ。さらには新日本プロレス時代のHのうんこ漏らし事件に言及。
前田「藤波さんがリング上で『お前、Hだろ』って言った事件があったけど、オレは『お前、ウンコ垂れだろ』って会場で被せてた。Hは『なんてことを言うんだ』って怒って、怒って」。
小便、うんこの言葉が飛び交うとんでもない展開に。
前田が突然仕掛ける。
前田「ズバリ聞くけど、高田は何でヒクソン(ヒクソン・グレイシー)に負けたん? 高田は昔、バックランド(ボブ・バックランド)にスパーリングさせたことがある。高田はフェースロックを普通に決めていた。なぜヒクソンにやられた。腰が悪いっていうレベルじゃない。動けてなかった」。
桜庭「マウント取られたからじゃないですか」。
前田にジャージの上から金玉を小突かれる桜庭。
前田「行ってオレ、目が点になったんです」。
この話は他の話題で立ち消えになったが、いったい前田がどんなオチを用意していたかは非常に気になった。
前田「プロレスどう? プロレスっていうのはラクにはできない。一個の受け身を下手に取ったら死ぬときがある。受け身は完璧に取る。でも、10年やると体はダメになる。さっさと金を貯めて辞めた方がいい。稼いだお金はどうしたの?」
桜庭「金が飛んで行っちゃうんですよね」。
前田「PRIDEのとき、1試合3000万もらったやろ? 桜庭Tシャツが億単位で売れてたの知ってる?」
稼ぎはすべてお前の懐まで抜かれずに行ってたのか、と問いたげだった前田。桜庭は言葉を荒げることはなかった。
2人目は船木誠勝が登場。
前田「うちの息子(長男・武慶(たけちか)君)が船木のところのライアン君とよく遊んでるよ」。
船木「今は9歳。パンチと蹴りは3歳から護身のために教えてます。前田さんにはお世話になってて、昨年の大晦日。前田さんの家で泊まってるんですよ。HERO'Sがきっかけで仲良くさせていただいてます」。
ここでサプライズ、藤原喜明が登場。藤原が「何をバラせばいいんだ!?」と2人を冷やかす。話は船木がUWFに移籍したときの話に。
船木「UWFには神社長と高田さんに声をかけられました。前田さんには『自分が行きたがっている』という風に伝わるようにしたんだと思います」。
お馴染みの、藤原がガンで入院した際の、前田と藤原のどっちが先に連絡してきたか談義がここでも。
前田「(藤原が現役だが、自身は)現役復帰というのはないですね。できないと思ったときにパッと辞めると。ただ現役のときに選手に専念したかったというのはありますね」。
藤原「マットよりもベッドの上の方がちょっと好きかな」。
前田・藤原・船木。この顔触れは、第2次UWFでもある。
前田「UWFはみんな世間知らずでね。あと勘違いした。みんなの意見を聞かなきゃと思った。リーダーが決めてしまえばよかったのに、変に民主主義みたいな。みんな意見なんてないんですよね。若かったですね」。
この前田のくだりは新鮮。これまでは、例えば『KAMINOGE』vol.28では「UWFのときの俺は完璧だったと言い切れる。あれ以上のことはたぶん誰にもできないと思う。そして、前田日明、びっくりするくらい大人でしたよ」「UWFは全員身の程知らずだったんですよ。でも俺は身の程を知っていたんです。だから必死だったんですよ」等の意味合いが目立った。この日は、自身の反省も込めた、ニュアンスが違う新証言となった。
船木「時代だと思うんですよね。誰かが手を挙げたら団体がてきて、後楽園ホールが満員になった。日本が上がっていくときだった」。
藤原「UWFは『俺こそは』って人が集まって、統率が取れるわけがなかった。そういうことかなと」。
3人目は佐竹雅昭。
現在は京都で「平成武師道」という人間活学塾を設立。空手関係の手伝いもしているという。関西芸人ばりのマシンガントークで観客をびっくりさせた佐竹。
佐竹「PRIDEを辞めたあと、12年前、もう一回、今度は精神面に戻って京都でブシドウを始めた。空手を始めたきっかけ? 少年時代にもらったチラシにDo enjoy 空手って書いてあって『それはないやろ』と思ったけれど、キックミットプレゼントという言葉に引っかかった。行ったらすごい館長がよくしてくれて」。
伝説の角田信朗の結婚式エピソードへ。
佐竹「オ○ンコを連呼していた前田さんがオシッコって言うから、トイレに連れていってチンチンを持ってお尻叩いてね。大変でしたよ」。
前田「記憶が途中でなくなっちゃってね。『オ○ンコ』を連呼してたんだけど、角田は『オメデトウ』と言ってると思って涙ぐんで」。
佐竹「K-1もPRIDEもすべては前田さんが始まり。K-1という団体設立には(前田さんにお世話になったんで)反対したんですけど、『よく考えてみ、俺たち打撃しか』と諭されまして。本当は前田さんと一度闘いたかったですよ。前田さんはこれからの格闘技界をどう考えてらっしゃいますか」。
前田「やっぱりヘビー級ですよ。そうじゃないとブームにはならない。最低でも17-18歳から面倒見ないと一人前にはならない」。
プロたるもの、闘うだけではなく、喋りも含めたトータルが大事という見解は二人とも一致する。
佐竹「今でも格闘技に関わっているのは、自分を有名にさせてくれて食べさせてくれたわけだし、恩返しなんですよ」。
4人目として鈴木みのるが登場。お馴染みの『風になれ』タイミングでのリングイン。
【シャチョー】2014も仕事納め。2015/01/01は0時よりこの新作Tシャツが登場だ!Dragooooon !!! 良い年をお迎えください。 pic.twitter.com/R85H1EN4aT
— PILEDRIVER公式 (@_PILEDRIVER_) 2014, 12月 31
花束とボトルを持参したみのる「今日は戦闘の意志はないということでお酒を」。
前田「(みのるの振る舞いを見て)もうすっかりプロレスラーだね。びっくりしたよ」。
井上「いつ以来なんですか」。
前田「2005年にね、HERO'Sの流れで上井さん(上井文彦)が間に入って『鈴木みのるが会いたがってる』と。なんだろう? なぜ会いたい?って思った記憶が」。
みのる「みなさんが年の瀬に前田日明に会いたいと思うのと同じですよ。人前で会うのは25年ぶりくらい」。
みのるの言う意味での“人前で会う”には入らないものでは、当サイトがキャッチしている最近の2人の顔合わせ情報はこちら。
・ 2010.01.19 鈴木みのるが前田日明と2人きりで対面していた~船木誠勝には「彼はいつも自分だけ」とバッサリ カクトウログ
・ 2010.07.05 前田日明と鈴木みのる、なんと同じリングに立つ! 渋谷修身引退セレモニーで【週刊 前田日明】 カクトウログ
U系の呉越同舟が期待された金原弘光興行だが、こちらではかなわず。
・ 2013-03-10 U.W.F…|鈴木みのるオフィシャルブログ「今日も明日も風まかせ~」Powered by Ameba
筋と礼儀を通しさえすれば人との距離はいかようにでもなる、それが前田の主張。ただ、その意見を知る・知らないに関係なく、みのるからは感謝の言葉が自然と出てくる。もう言えるほどに大人になったということなんではないだろうか。
みのる「むかし試合ないときに給料配ってくれてありがとうございました。思い出? 『コトナ』とか『宇宙人』とか、UWFのときはあだ名をつけられましたよ」。
みのるにとって前田の存在とは?
みのる「ぶっちゃけボクは、前田日明というプロレスラーが大好きでして。14-15歳のとき第1回IWGPの際のサイン会、日本橋の高島屋に行ったことが。坂口征二とセットだったんで(当時は)坂口さんはいらないなぁと思っちゃいましたが(笑)。次の週の猪木さんのサイン会も行きましたけど」。
前田「鈴木の名は知らなかったけど、若手が足りないという話はしていて、鈴木という威勢のいい奴がいるってことで」。
みのる「初めて顔を合わせたときのこと、覚えてますよ。『はじめまして鈴木みのるです』って挨拶すると、斉藤由貴のウチワで仰いでて『どうや、由貴ちゃんかわいいやろ』って」。
UWF時代は不仲だったのか?
みのる「傍から見るとなかよくないことになっていますが、オレが言うことを聞かないだけ。合同練習に遅刻して怒られたことを根に持ったりしていた。20代の頃は嫌なことに目を背けて生きていた」。
前田「ドームでスミス(1989年11月、骨折した船木誠勝の代役で 東京ドーム大会「U-COSMOS」で、モーリス・スミスと異種格闘技戦)とやったとき、自分でこいつ“寝た”んですよ。なんで寝たんだと」。
みのる「前田さんは土足で入ってくる。見透かしてくる。心臓の中を素手で握られている」。
リングスとパンクラスが対立していたころの述懐。
前田「あのころ、リングス・パンクラス含めて誰が一番頭がよかったか? (パンクラスフロントの)Oだよ。金儲けをした。衛星放送で毎試合2000万という契約をした」。
みのる「(UWF分裂、UWFインターナショナル設立は高田の)クーデター説? わかんないですよ。(前田日明の自宅に)呼ばれて話聞いてて、(『オレを信用できるか』と問われ)『正直前田さんにはむかつくし』と心の中では思いましたけど、でも『やります』と(即答)。まわりは『お前が言うの?』という雰囲気で、特に宮戸さん(宮戸優光)とか。オレにとってUWFが続くことが一番大事だったから(そう答えた)」。
心の底からの賛否という単純話じゃない。それぞれがギリギリのところで発言をしていたのが解散ミーティングだった。
みのる「そのあとも前田さんと一度会って話をしましたけど、もう藤原さんとやるという話になっていた」。
前田「そりゃないな、会ってない」。
みのる「ただ、あのあと自分でチケットを売るとか、自分で知ることができてプラスになりました。前田さんにはさんざん失礼なことをしていたなぁと。チケット半券をバイトと一緒に数えて、お客さんからお金をもらっていたことを実感しましたし」。
井上「鈴木さんは、もうみんなと仲直り?」
みのる「ボクはみんなと大丈夫」。
この日、どの格闘家に対してもにこやかな前田だが、ヒートアップしてくると前田の“怒り”が露出する。
前田「船木が(ヒクソン戦後に一時引退した際に)工事現場で働いてたって話を聞いて、当時は鈴木はこの窮地に何をやってるんだ(なぜ船木のために抗議しないんだ)と思った。船木に聞いたら、船木ってヒクソン戦で600万しかもらってないからね。(スポンサーの)サミーに聞いた話と違うんだよ」。
みのる「ヒクソン戦の前くらいから(船木と)疎遠になってしまって。道場が二つに分かれて」。
みのるの船木との現在の関係はどうなのか?
みのる「半年くらいプロレスで対戦(抗争)して、金網(デスマッチ)やってスッキリしましたけど」。
前田「俺たちがやっているのは命をやりとりする商売。ないお金が払われないのはしょうがないが、ある金が配られてないのは頭にくる。許せない。オレは頑固ジジイでね」。
みのる「なかったことにするつもりはないですが、過ぎたことをどうこうするつもりはボクにはないですね」。
どちらが正解とかではない。ただ、過去へのこだわりと未来へのつながり。どちらもなければ業界は成り立たないし、どちらもなければファンは乗れない。
前田「インタビューのゲラチェック。あれはオレが最初に始めた。(団体名を拝借した)無断出版も辞めさせた。ちょっと(この業界の)マスコミがまともになったのはUWFのおかげですよ」。
プロレスに身を置くみのるへのメッセージ。
前田「プロレスはね、ナメてやってるとしっぺ返しが来る世界。完璧な受け身を取り続けても10年やるとまともな関節はなくなる。気をつけてもらいたい。プロレスは人間性がすごく出るんだよ。一生懸命やろうとすればいくらでもできるし、手を抜こうとしたらいくらでも抜ける。頑張ってやってほしい」。
みのる「4日後には桜庭とやります。どの試合にも負けない、これがプロレスという試合をやります。サクラバですよ! 世界中みんなが知ってるんだから」。
最後に前田と記念撮影をするみのる。自身のスマホをスタッフに渡してパチリ。加えて自画撮りの要領でもパチリ。そのあとに、前田と撮れたことからガッツポーズを無邪気にしたみのるが最高だった。
前田日明トークショーへのゲスト参加。なかなかディープな話が出たけどオモロかった。やっぱり過去の話より未来へ向けて行かなきゃな。リング上での記念の一枚。 pic.twitter.com/Lm3cLqLtPM
— 鈴木みのる (@suzuki_D_minoru) 2014, 12月 31
これだけのゲストがいながら、イベントはなかなかテンポよく進んだ。ステージとなったのはリング。四方に囲む観客席にはギッシリと、遠征組含むファンが約500人も詰めかけた。
熱かったあの時代。今も途切れない熱さ。プロレス&格闘技界大晦日イベントの一つ、前田祭りを堪能。とても不思議な気持ちになる。過去も今もプロレスが大好きなんだな、自分は。
イベントは握手会(《最終幕》前田日明に触れてみよ。)へ。先にプレミアムチケット(パーティ出席権利つき2万円)の列からスタート。100人ほどいることに驚く(ボクは6800円席)。順番がまわって来て、前田の手を両手で握った。全てを受け止め、あるいは吹っ飛ばすこともできる、とてつもなく分厚い手だった。
当記事のタイトルに『「格闘技人生45周年」ではなく「UWF解散24周年」だった前田祭り~前田・船木・みのるが新証言』とつけた。歴史をひっくり返すものがあったわけじゃない。だけれどもUWF解散(1991年1月、前田宅での選手ミーティング)について少しずつニュアンス違いだったり、どう思っていたかがわかる新証言あり。それだけで生で聞ければお腹一杯になるし、関わっていたレスラー本人たちにとっても一生の分岐点だったことがわかる。
歴史にifはないと言われるけれども、“解散”がなければどうなっていたんだろうとやはり考えてしまう。聞けば聞くほど不可避だった気もする。
“解散”に振り回され、そこからスタートしたものを追いかけさせられたボクらの青春。その答え探しにさまよい続けて卒業したファンが大多数だけれども、こうして大晦日の前田祭りに足を運ぶことができたのは最高の幸せなんである。
【週刊 前田日明】はここまで。
今年も前田日明を追いかけます!
昨年最後のKAMINOGEは前田日明が表紙でインタビューも掲載されてます。
▼new! KAMINOGE 37
12月22日発売!前田日明「ひとつ言えることは、筋と礼儀を通しさえすれば人との距離はいかようにでもなる。みんなそれがわかんないから、逆鱗に触れるんだよ」 安生洋二 来年3・19『Y・A IS DEAD』後楽園ホール大会で引退へ「前田さんに対して、ボクは何もないですよ。まあ髙田さんと一緒で、引退試合の相手として一番いいと思うんですけど、これも実現不可能ですもんね」
↓週刊前田日明バックナンバー、カクトウログ前田日明記事、関連サイトリンクはこちらで
・ 週刊 前田日明 ~unofficial~
□第145回 通常チケットでも2ショット実質可能、藤原喜明も参戦、猪木祭りのハシゴ観戦方法=前田祭り最終情報【週刊 前田日明】
* 通常チケットでも2ショット実質可能、藤原喜明も参戦、猪木祭りのハシゴ観戦方法=前田祭り最終情報
* リバーサル制作の前田祭り公式Tシャツ公開~「新格闘王」誕生のニールセン戦フィニッシュなど3種類
□第144回 鈴木みのる参戦で12・31前田祭りは桜庭・佐竹・みのる・船木の4本勝負に~谷川貞治氏ゲスト追加【週刊 前田日明】
* 鈴木みのる参戦で12・31前田祭りは桜庭・佐竹・みのる・船木の4本勝負に~谷川貞治氏ゲスト追加
* クラッシュギャルズの由来は新日プロ時代の前田の呼称「クラッシャー」~長与千種が連載で明かす
* 999円で拝める前田日明は20試合~前田ファンも動画サービス「新日本プロレスワールド」に登録だ
□第143回 前田の表紙は売れる? 今の前田はもったいない?=闘道館トークライブ「前田日明とは何か」レポート【週刊 前田日明】
* 前田の表紙は売れる? 今の前田はもったいない?=闘道館トークライブ「前田日明とは何か」レポート
* 鈴木みのるが興味!? 佐竹雅昭、ピーター・アーツ、水道橋博士がメッセージ=大晦日イベント続報
= 事実誤認・誤字指摘メール =
左サイドバーのココログマーク下から直通メール→大変助かります。
カクトウログへの苦情やご希望もお寄せください。
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