アンサー本でもノンフィクションでもない『証言UWF』なれど、いくつもちりばめられた“最後の真実”あれこれ【週刊 前田日明】
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前田日明が足りない世の中に、とことん前田日明を発信してみる。毎週日曜日は、前田日明関連の動きをできる限りカクトウログが追う「週刊 前田日明」の日です。連載第173回のラインナップ▼アンサー本でもノンフィクションでもない『証言UWF』なれど、いくつもちりばめられた“最後の真実”あれこれ▼第2次UWF元社長・神新二氏が最終の夢実現、2016年11月に『NEW VISION アカデミー』を開校・・・
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情報をキャッチしていながら、最新1週間(月曜から土曜まで)で取り上げなかった前田日明の話題、あれば翌週送りせず日曜にまとめる。あと、1週間で取り上げた前田関連記事、主要記事リンクも再集約しておくことにします。
(週刊前田日明バックナンバー →「週刊前田日明」参照)
この連載を毎週見ておけば前田関連の動きは逃さない!
理想はそこですが、どうなるか。
※不定期連載となっています(全く週刊になっていません、ごめんなさい)。
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アンサー本でもノンフィクションでもない『証言UWF』なれど、いくつもちりばめられた“最後の真実”あれこれ
1月に発売された『1984年のUWF』(柳澤健著/文藝春秋)への賛否が話題となり、ちょっとしたUWF回顧ブーム。著者が発売記念トークショーで自説を披露すれば、UWFの長である前田日明らが否定的なコメントをトークショーなどで打ち出す。そんな中で、宝島社がUWF本を発売した。
▼new! 証言UWF 最後の真実(宝島社) 5月17日発売!前田日明+藤原喜明+山崎一夫+船木誠勝+鈴木みのるほか17人のレスラー、関係者による禁断の告白! プロレスと格闘技の間を漂流し続けた男たちの葛藤、内紛・・・・・全内幕! 『1984年のUWF』への前田日明の反論
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本書は、新間寿が1984年3月に創立、85年9月に活動休止した第一次UWF(ユニバーサル・レスリング連盟)、
そして前田日明が88年5月に旗揚げし、90年12月に崩壊した新生UWFに所属、関係したレスラーおよび関係者、
17名による証言集である。内紛、確執、不和……プロレスと格闘技の間を漂流し続けた男たちの魂の叫び――。
第1章 「前田日明」の苦悩と怒り
前田日明 「メシが食えるのなら、間違いなく佐山さんの言う通りにやった」
第2章 「U」創成期の真実
更級四郎、杉山頴男、ターザン山本
3人の〝黒幕〟が語る「UWFと『週刊プロレス』」全内幕
第3章 「U」に賭けた男たち
藤原喜明 組長が語る「天才・佐山聡」の功罪と「メガネスーパー」
山崎一夫 「前田さんの“暴言"をフロント陣はこっそり録音していた」
第4章 「U」に翻弄された男たち
新間寿 「猪木、タイガー、ホーガン」招聘計画はどこで狂ったのか
上井文彦 「『海外UWF』と書かれた水色の給料袋を忘れたことがない」
第5章 「新弟子」たちの叫び
中野巽耀 「前田さんは力任せ、スパーリングで一番だったのは髙田延彦」
宮戸優光 「前田さんと若手の分断を画策していた神社長が許せなかった」
安生洋二 「前田さんが宮戸さんを『新弟子』と呼び続けたことがすべて」
第6章 「新生」を生き抜いた男たち
船木誠勝 「『なんでやっちゃわないんだ?』と言われたが、できなかった」
鈴木みのる 「前田さんへの確執はあったが存続させるためにウソをついた」
田村潔司 「選手全員が神社長から興行の売り上げデータを見せられている」
垣原賢人 「道場の練習をそのまま出してはいけないのか?」という葛藤
第7章 「崩壊」の目撃者たち
川﨑浩市 「前田さんには伝えず、神社長は自分の給料を上げ続けていた」
尾崎允実 「“解散宣言”直後に前田は涙声で『俺、どうしたらええんやろ』」
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まだ一巡で読んだにすぎないが、新鮮な気持ちのまま書評として記しておきたい。
発売されたタイミング、そして表紙オビに「前田日明の反論」とあることから、ノンフィクション『1984年のUWF』へのアンサー本との見方もあった。だけれども、『1984年のUWF』を直接の引き合いに出してはいない。『証言UWF』全体としての見解をまとめたわけでもなく、17人のインタビュー集として個々人の見解の差異は存在したままとなっている。
さりとてアクの強い選手・関係者同士の目線は合いようもないのだろうとも思わされた。逆説的に、柳澤健氏がひとつの見解をもって『1984年のUWF』を編成しようとしたことに、かなりの無理があったのかもとも再認識させられる。
アンサー本でもノンフィクションでもない『証言UWF』。されど、『1984年のUWF』で話題となった視点への回答は、『証言UWF』選手・関係者インタビューの随所にちりばめられている。読者それぞれが拾ってくる“最後の真実”に違いが出る点にはイライラする向きもあろうが、編集としては現実的であろう。むしろ、個々人の見解の根幹にある強い意志にまで手を加えてしまっては本末転倒になる恐れもある。
このタイミングで証言集が出ることの意味も感じられた。プロレスと格闘技それぞれが隆盛を乗り越えたからこそ、今という時代にあらゆることが赤裸々に語られる土壌はある。踏み込みが甘いと言いはじめたら切りがないが、全体的にブレーキを踏まずに語られている感をボクは感じた。
内容に関しての感想としては、『証言UWF』ではUWFでの練習やスパーリングが多く語られているというのが、意外というか新鮮であった。UWFを語る際にはどうしてても、前田と佐山聡の対立、前田と神新二社長の行き違いが軸になりがち。ボクらはいつしかUWFへの見方が毒されつつあった。
ところが実際の団体の実体となる選手の多くの時間は、ハードな練習に割かれる。理不尽なまでの体力づくりとスパーリングは「これを乗り越えてこそプロレスラー」との洗脳を強要する。トップ選手のスパーリングの機会が限られた時期もあったようだが、日々潤沢というわけではない生活の中でのやりがいは強さの追求にあった。自分が手を合わせた選手の強さへのいくつかの言及も唸らされた。これが戦士たちのプライドとなり、3派に分裂したとしてもそれぞれに脈々と受け継がれていったのがUWFなのだ。
UWFはプロレスなのか格闘技なのかという点についての選手の思いも興味深い。マスコミの打ち出しに「プロレスではなく格闘技」というものもあったが、現場では“自分たちこそプロレスであり格闘技”“真剣勝負にいつでも打って出られる鍛錬”との意志が徹底している。いつかは競技に移行することを想定しながらも、今やってしまっては観客が受け入れないし、怪我人が続出する。その折り合いを探し続けるための実験の日々がUWFであった。
言葉は独り歩きする。前田は「UWFを真剣勝負だとは言ってない」とも言うし、「真剣勝負との称賛に迷いはなかった」とも言う。実際には、UWFがプロレスか真剣勝負かという二元論ではないのだ。いつでも真剣勝負に打って出られる鍛錬をしているから、真剣勝負の追求という姿勢で伝えられていてもしっくりくる。
『1984年のUWF』では、UWFのフォーマットをつくったのは佐山なのか前田なのかというような論争になってしまった。だけれども、UWFの実体が答え探しの旅であり、その旅の一座に居続けることを選ばなかったのが佐山で、座長であり続けたのが前田だったのだと思う。
神社長の功罪に対しての見解も多く選手から明かされた。UWFを社会的なブームにもっていったことへの神社長の貢献は疑いようもない。日々忙殺される中で、前田に経理面の説明をしっかりできなかったことも確か。前田以上の報酬をもらっていたとしたらケシカランとか、いや仮にそうであったとしてもそれだけの役割を果たしたとか、いろいろ言われる。だけれども、前田引退試合に神氏からの詫び状が届けられたことで一つの“決着”をみている。『証言UWF』では、神社長のいろんな面に(各人の証言を通じて)出会うことができる。
『1984年のUWF』の視点というわけではないが、UWF3派分裂にクーデターがあったのか否かについて。
前田以外の選手たちの証言からはクーデターがなかったことが一貫して語られている。ボタンの掛け違いと、早期に動かなければ次の活動場所が確保されないという焦り。これはもう、クーデターではなかったんじゃないかなぁという感想を持った。
松本大会での万歳プランへのくだり。船木誠勝・鈴木みのる・宮戸優光が高田延彦に相談し、高田が「いい案だね」と賛同する。高田が加わって前田に提案した際に前田は躊躇するも、高田は「前田さん、やろうよ!」と言い放つ。UWF解散までの2か月間は前田が選手たちの給料を立て替える。解散宣言ミーティングの帰りにも、高田は「前田さんがいなくなっては無理だ」と船木に漏らしていた。
田村潔司は前田に眼窩底骨折に追い込まれたことを「あれでよかった」と振り返り、「引っ張ってくれたことは感謝してもしきれない。前田さんがいなかったらUWFが生まれなかった」と総括する。
あの時代に熱くなったファンには、ぜひ『証言UWF』という感動本をご一読のうえ、“最後の真実”を見つけていただきたい。
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第2次UWF元社長・神新二氏が最終の夢実現、2016年11月に『NEW VISION アカデミー』を開校
第2次UWF元社長の神新二氏が2016年11月に一般社団法人「NEW VISION」を設立、『NEW VISION アカデミー』を開校していたことがわかった。
・ 一般社団法人 NEW VISION | 幸運を呼び込む人生のナビゲーションシステム
代表メッセージ。
・ 神新二代表メッセージ|一般社団法人 NEW VISION
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代表の神 新二には、10代の頃から持っていた『大きな夢が2つ』ありました。1つは、小さな頃から大好きだったプロレスの会社に入り、プロレスを愛するファンの方々に「夢や希望を与える事が出来る様な団体をつくる事」でした。この夢は20代の時に「株式会社UWF」というプロレス団体を立ち上げ、日本武道館や大阪球場や東京ドーム等でイベントを開催し、そしてプロレスという枠を超える様な体験や社会的ムーブメントと共に、1つ目のその夢は20代後半までで実現する事が出来ました。様々な事がありましたが、とてもワクワクする貴重な体験でした。
さて私には、10代の頃から持ち続けていた夢がもう1つありました。それは一言で言うと「学校をつくる」事でした。しかし、その学校とは今世間にある既成の学校のことではありません。例えば、テストの為にただただ暗記だけを繰り返したり、社会に出て殆ど役に立たない様な事ばかりを教える様な学校ではなく、人がイキイキと生きる上で”一番大事なことを教えてくれる学校”を設立する事が『2つ目の大きな夢』でした。
(中略)
年齢も男女も、学歴も、その立場も何も一切関係なく「人生に於いて最も大事な事を学びたい」「新しい人生を歩みたい」「他人の為に生きたい」と願う者たちが集える本物の学校を創りたかったのです。この度、その人生にやり残した夢の2つ目を実現させる機会を頂きました。それが有志8名で立ち上げました一般社団法人 NEW VISIONが主催し開校する『NEW VISION アカデミー』です。いよいよ最終の夢の実現です!
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会社は大阪に構えているようだ。詳細はサイトでご確認いただきたい。神氏は「最終の夢の実現」を宣言している。
気になったのは「11月29日」という設立日! そう、1989年11月29日、第2次UWF「U-COSMOS」東京ドーム大会と日付が符合する。業種は違えど、ここにも夢の続きに向かう意志を感じずにはいられない。
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前田がプロデュースするアウトサイダー5月21日(日)15:00ディファ有明大会。
・ 「THE OUTSIDER 第46戦」大会概要 -- Rings
・ 「THE OUTSIDER 第46戦」対戦カード -- Rings
前田日明関連バックナンバー。
□ 全7章からなる『証言UWF 最後の真実』もくじが判明! 尾崎允実「“解散宣言”直後に前田は涙声で『俺、どうしたらええんやろ』」
□第172回 『証言UWF 最後の真実』田村潔司、安生洋二、宮戸優光、ターザン山本、尾崎允実ほか全17人の証言者が判明【週刊 前田日明】
* 『証言UWF 最後の真実』田村潔司、安生洋二、宮戸優光、ターザン山本、尾崎允実ほか全17人の証言者が判明
* 5・11「SEI☆ZA」に前田日明が来賓来場、谷川貞治氏、ターザン山本氏らと親交を温める/ほか前田短信
□ 『証言UWF 最後の真実』(宝島社)のオビ含むカバー写真~山崎一夫「前田さんの“暴言”をこっそり録音していた神新二」
□ 噂の『証言UWF 最後の真実』(宝島社)が5月17日発売! 前田日明はじめ17人のレスラー、関係者による禁断の告白
□第171回 UWF回顧ブームでトークチケット即日完売! 前田があの本を「読ませるためだけに書いた御伽話」と一刀両断【週刊 前田日明】
* UWF回顧ブームでトークチケット即日完売! 前田があの本を「読ませるためだけに書いた御伽話」と一刀両断
* 募集継続中! アウトサイダー5・21ディファ有明大会での前田と握手&撮影権つき観戦ツアー情報
□第170回 スポンサー現る!? 前田日明「中国で大ブームを起こしてと頼まれ、日本のリングスも応援させてよって話に」【週刊 前田日明】
* スポンサー現る!? 前田日明「中国で大ブームを起こしてと頼まれ、日本のリングスも応援させてよって話に」
* 5月3日(水祝)13:00新宿「吉田豪の復活!雑談天国」ゲストに前田日明登場~チケットは残りわずか
□ 25日(火)21時ニコ生「月刊リングス4月号」前田日明が出演/『前田に謝れ』提唱・徳光康之先生「最狂超プロレスファン烈伝」第5.2巻配信開始
□第169回 ブッカーKが語る「1988年の新生UWF」~大阪球場&東京ドーム不入り説、神社長横領の噂の内実とは?【週刊 前田日明】
* ブッカーKが語る「1988年の新生UWF」~大阪球場&東京ドーム不入り説、神社長横領の噂の内実とは?
* 前田日明「前田史観って言ってるらしいけど・・・」俺たちのプロレス7号で『1984年のUWF』に反論
□ 藤波辰爾45周年リング去り際の前田日明を長州力が挑発!?/前田と握手&撮影権つき5・21アウトサイダー観戦ツアー情報
□ 藤波辰爾45周年興行をアントニオ猪木、長州力、前田日明らが祝福/ベイダーが久々に日本参戦するもリング上で倒れる
□第168回 1986年の藤波辰巳「みんな選手が前田に触りたくなかった」シングル戦舞台裏は当時ファンの見立て通りだった【週刊 前田日明】
* 1986年の藤波辰巳「みんな選手が前田に触りたくなかった」シングル戦舞台裏は当時ファンの見立て通りだった
* 『1984年のUWF』談義は継続! 柳澤健氏「前田日明はUWFをプロレスファンの外側にいる一般大衆に届けた」
* 関西テレビ「桃色つるべ」今後のゲスト出演者予告に前田日明が登場! 関西ファンは続報を待て
□第167回 前田史観を巡る攻防! 『1984年のUWF』著者・柳澤健氏vs『前田に謝れ』提唱・徳光康之先生トークバトル詳細版【週刊 前田日明】
* 前田史観を巡る攻防! 『1984年のUWF』著者・柳澤健氏vs『前田に謝れ』提唱・徳光康之先生トークバトル詳細版
* 前田「去年女の子が生まれたんですよ」ちょっと来いTV収録で第2子誕生を報告。坂田亘フルボッコ動画についても言及
□第166回 高田伸彦(当時)の「俺、佐山さんをぶち殺しますから」発言とは!? 未読の『1984年のUWF』を前田日明が1時間激語り【週刊 前田日明】
* 高田伸彦(当時)の「俺、佐山さんをぶち殺しますから」発言とは!? 未読の『1984年のUWF』を前田日明が1時間激語り
【週刊 前田日明】はここまで。
今週も前田日明を追いかけます!
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