秋山成勲、復帰決定。シビアな闘いが始まる
10月1日、韓国でHERO’S韓国大会(10/28開催)について記者会見。ここに、昨年大晦日の桜庭和志戦でクリーム塗布の事件を起こして無期限出場停止になっていた秋山成勲が姿を現す。主催者から韓国大会での復帰が発表された。その後に待ち受けるのは、日本での1年ぶり復帰、大晦日決戦となるんだろう。
記事内容に慎重になっていたためか、HERO’Sホームページ記事更新は当日23:45頃にも確認できず。その後深夜に更新された模様。主催者側による経緯説明がなされている。
・ 韓国での熱い待望論により秋山成勲の復帰が決定
(HERO'S公式)
ブラックアイさんが関連記事を紹介。「kamipro .114号『秋山成勲再考』という座談会の中から、韓国在住ライター、大川“隊長”義之氏が秋山をとりまく韓国内の状況を語ってくれています」
・ 秋山成勲が韓国で復帰~韓国で彼は被害者扱いなんです:be2
他の情報。まわりの反応や対戦相手は?
・ 「リングで恩返しを」秋山28日復帰(スポニチ)
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対戦相手にはハレック・グレイシーらの名前が挙がっているが、同大会に出場するキム・ミンス、金泰泳らからは反対意見も続出。秋山にとって約10カ月ぶりのリングへの道は厳しいものになりそうだ。
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このスポニチ記事は、“反対意見”が何にかかっているかがわからなかったが、日刊スポーツ(10/2付紙面)のニュアンスが正しいようだ(のちほどニッカンバトル面にも出るはず)。
(※リンク追加:「秋山が韓国で復帰会見も“針のむしろ”」「秋山の母「温かく見守ってください」」)
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「秋山復帰会見 針のむしろ」
・ すべてを水に流して再出発、という空気ではなかった。秋山は5選手が出席した会見に1人だけネクタイ姿で現れ、直立不動で謝罪。それでも、今後同じリングで戦う可能性のあるファイターたちは本音をぶつけた。ヘビー級のキム・ミンスは「彼の復帰について同じファイターとして直接申し上げることはできない」と言った。ベテラン金泰泳は「言葉よりも姿勢で見せてほしい」と厳しく指摘した。
・ 「自分は何を言われてもいいです。それは自分が悪いのだから。ただ、家族に迷惑をかけて本当につらかった」。7月下旬、新潟中越沖地震の被災地を見舞った時、秋山が漏らした言葉だ。悔いと後悔の約9か月。
・ 5日に日本でも復帰会見を行うが、秋山にとって祖国韓国よりも厳しい空気が待ち構えている。対戦相手は未定も、強豪外国人選手と組まれるのは必至。
・ 会見席上の後ろでハラハラしながら見守った母の劉銀華さんは笑顔をみせた。「これでやっとほっとできます。これから、皆さん、温かく見守ってください」と韓国、日本のメディアに限らず、HERO'S関係者にまで丁寧にあいさつして回っていた。
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キム・ミンスと金泰泳は、秋山が犯した反則について、同じファイターとして到底許しがたい感情を吐露した。このあたり、“韓国では秋山は被害者扱い”とも伝えられた韓国国民感情とは別のニュアンスでの反応がみられた。当然でしょう。
ニッカン記事には母親も取り上げられている。家族に対して何らかのアクションを起こした格闘技ファンはいないと信じたいが、じっさいにプロレス界のスーパーヒールだったラッシャー木村は、庭にモノを投げ込まれるなどの被害に遭っていた(飼い犬が円形脱毛症になったとのエピソードも)。嫌な思いをしたこともあったんでしょう。
これらが復帰会見関連で今のところ伝えられている情報のほぼすべて。
ファンのブログの更新状況をみても、この問題に対しては盛り上がってません(会見が韓国。報道が少なかったこともひとつの要因だと思われるが)。「秋山、許すまじ」との空気も、事件から9か月たっては薄れてしまった。さらに、何度も「復帰か→正式発表延期」が繰り返されたことで、食傷気味なところもある。
一方で、格闘技自体が食らったダメージは計り知れない。大晦日のビッグマッチで前代未聞の反則。
とにかく業界は、この秋山成勲復帰問題と“闘って”いかなければならない。信頼回復に値する試合前チェックの体制強化。その流れを止めてはならない。周辺的な対応として、ルール精緻化・運用など、選手や審判団と連携をとっての整備につとめていく必要がある。
そして、何より選手たちに頑張ってもらいたい。
あの大晦日決戦、桜庭和志は近年まれにみるコンディションのよさで闘いに臨んでいった。「ルールが守られた中でなら勝てたのでは?」そう信じたい。「日本人が世界に通用する」「頑張れば上にいける」という夢を桜庭にみせてもらった他の選手は、ここで秋山に立ち向かわなければならない。それが、口先だけではない、ファンの夢を背負って闘うということでもある。“逃げた”と思われるのはまっぴらだ。
・ 関連記事2007.01.30 カクトウログ: 桜庭和志の怒りと、命懸けの記事
格闘技というのは強さを競い合う「競技」なんだが、じっさいには、強さを競い合う「世界観」が魅力であり、売り物である。選手たちは、「競技」を超えた世界で闘ってきたはずだ。そのために、秋山をリングに引きずり出して勝利する必要がある。さいきんの総合格闘技、特にHERO’Sには、こういう対立概念が圧倒的にたりなかった。「世界観」をつくりだすのは、対立概念に他ならない。
格闘技をまとう暗いイメージを吹っ飛ばす作戦は、幾通りもあるものではない。日本格闘技は、もうそこまできている。業界、そして選手は、このシビアな闘いに勝利できるか。
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